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スーツをほぼ着たことがない

大学を出てそろそろ30年。
主夫をしていた7か月間を除き、どこかの会社に属してきた。

その間、僕はスーツをほぼ着たことがない。
今でこそオフィスカジュアルなどという言葉もできて、ラフな格好で仕事をすることも増えてきたが、30年前はまだそんな時代ではなかった。

最初に入った出版社では入社式の日もジーンズで行ったので、慌てた総務課長が記念撮影の時だけジャケットを貸してくれたりもした。
仙台の学会に泊まりがけで出張した2日間だけは、どえらい先生に会うからと事前に釘を刺され、やむなくスーツを着た。

次の村おこしの会社では、当初ペラペラのスーツを支給されたので、さすがに2か月ほどは黙って着ていたが、山の観光施設で客をスーツで迎えるのはいかがなものかと提案し廃止した。
その後、株主総会に出席する時も、市長に会いに市長室に行く時も、僕は常にジーンズだった。

次に入った今の職場は、入社の日こそ良識ある大人として?スーツを着ていったが、翌日からカジュアル全開だ。

そして現在に至る。
この30年弱でスーツを着たのは都合3か月にも満たないことになる。
今持っているスーツもかろうじて1着だけだ。

ボトムスはジーンズかチノパン、トップスも襟なしのTシャツルック。
学生時代から型にはめられることが苦手だった僕は、社会に出てからもそうした自分のスタイルでずっとやってきた。

が、このところフリー稼業の打合せなどをポツポツやるようになり、少なくともWebに映るところだけはと襟付きを着る機会が増えた。
ついに相手が受ける印象などを考えるようになったのだ(上半身だけ)。

奔放な自分のスタイルは会社に対する反骨の意思表示でもあったのだけど、それを支えていたのは案外、会社という後ろ盾だったのかもしれない。

ただ、襟付きは、暑くて熱い。
正直こんなの着てられない。
意識は変わっても、身体まではそう簡単には変えられない。

(2022/6/23記)

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