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次代をしょって立つ若者の、活き活きした顔をこれからもずっと見たい

前職は愛媛の山中で20年間、村おこし。
その間15年にわたってインターンシップを担当し、深く関わった学生は150名を数える。

用意したプログラムは2週間の住み込みで、自分探しが目的。
慣れ親しんだ環境から隔絶されて、自分の内面を見つめ直す2週間だ。
愛媛だけでなく関西、関東から集まった学生たちは、いきなりの共同生活の中、昼は仕事、夜はディスカッションを繰り返し、自分を探し続けた。
ほとんど修行僧といっていい。

そんな迷える学生の自分探しに連日連夜つきあった。
今日見つけた新しい自分を書き出し、そんな自分をどう思ったか語らせる。
明日はどんな自分を演じてみるか、また書き出させる。
そんな作業を通じて、自分像を確立していくのだ。

会社のPRに終始し、学生とのマッチングを図る今どきのちっぽけなインターンとは趣を異にする、社会に出る学生を応援するインターンだった。

だからか、自分を大切にした就職をする学生が毎年何人か出た。
採用予定の枠がなかったホテルへ、文具店へ。
大学の就職課からそれはムリでしょうと言われながら、自分の思いを明確にして果敢に挑戦し、その固い扉をこじ開けていった学生たち。

夢を自分でたぐり寄せる学生の真剣な眼差しに、ただただ惚れた。

***

近隣のいろんな大学から呼ばれ、学生を前に講演することも多かった。

自分がいいと思う自分であればいいのでは?
嫌なところも含めて、まるごとの自分を認めた方が楽ではない?
勘違いでもいいから、自分にしかできないことを探してみない?
自分が他の誰でもない自分であること、それが存在価値。

以前も書いたように、高校でも中学校でもたびたび講演した。
学校での講演は基本ノーギャラだけど、呼ばれれば必ず応じた。
果ては小学校でも、学年に応じて言葉を選びながら、同じ話をした。

講演では、実践していた村おこし――それは希望を失いかけた村に価値の灯を点し、村民の誇りを取り戻す取組に他ならない――の話を交えた。
話がリアリティを帯び、自らの価値と誇りという琴線に触れるからだろう、多くの学生がしっかりと目と耳をこちらに向けてくれた。

ある大学では、話し終わるや演壇に駆けてきて、心に深く刺さったとわんわん泣き出す女子学生もいた。
彼女の夢を聞き、いっしょに作戦を練ったが、残念ながら夢は破れる。
しかし、東京で夢とは遠からずの職に就いたと連絡をもらい、後日会ってみたら、昼からビールを痛飲しながら今から仕事だとそれはそれは楽しそう。

***

次代をしょって立つ若者の、活き活きした顔をこれからもずっと見たい。

来月には久しぶりに地域の価値について講演する機会が舞い込んだ。
相手は関西の大学生たち、地域の話にそっと自らの価値の話を埋め込んでみるつもりだ。

(2022/1/29記)

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