音楽と楽器で自分の内側を知る

前回の記事で、私の作る新作ヴァイオリンが小さいことの説明をした。
 
言い訳みたいだが、同じ機能が出せる最小のものを作ることは
設計者としては一般的な考え方。
私の専門はソフトウェアなので、機能が同じなら、
使うメモリは小さいほど良い、というのと同じ。
 
次は、その機能から、今度は極限を考えてみる。
その機能を研ぎ澄ました時、目的に対してピンボケしていないか。


音楽の目的って、何なのだろう。
 
ヴァイオリンの機能、性能を研ぎ澄まして拡張した時、
音楽の目的がよりクリアに見えてくるべきと思う。
上達は、目的ではないのかもしれない。
 
私は、ヴァイオリンを小さくすれば、上達が加速すると言っているが、
嘘ではないが、それ程簡単でもない。
 
実際に私は、ヴァイオリン演奏の上達のために、
週3日1時間のランニングの中で、次のことを考え実践しながら走っている。

(1) 肩甲骨を後ろに引いて、手首の自由を確認。
 
(2) ボウイングの右手首は、外転の方が都合がよいことに最近気付いた。
  以前は内転させていたが、UPボウでタイミングが遅延しやすかった。
  この外転を確認するために、右手にタオルを持って
  手首の柔らかさとを確認しながら走っている。
 
(3) これが一番難しいが、上体を、頭を前傾させずに走ること。
  人間普通に歩くと、自然に体は前傾させている。
  しかし、演奏時は前傾せずに、バランス状態にしたい。
  だが、バランス状態で走ろうとすると、うまく前に進めない。
 
  そして、1つの方法に気がついた。
  骨盤左右を交互に前後に動かし、大腿骨を前後に大きめに動かせば
  まさに足の筋力で前に進むことができる。
  この時、足首を柔らかく使うことが必要になるが、
  上体がバランス状態なら、足首を柔らかく維持できることがわかった。
  
  解決したい問題は、演奏時に足首をかたくしてしまうことで、
  歩行時の前傾の感覚をバランス状態と錯覚していることにある。
  つまり、演奏時に上体が前傾していることで、
  自動的に足首は柔らかさを損なってしまう。
  これを回避したい。
  
 
以上(2)と(3)は最近の思い付きで取り組んでいて、
長い付き合いのアレクサンダー・テクニークの
プライマリーコントロールもあるが、
これらを、演奏が上達したい人に強要したいとは思わない。
 

そこで、もう一度、音楽の目的ってなんだろう。
 
私は、自分が製作するヴァイオリンの中に、
演奏者が今日よりも明日、もっといい演奏ができるはず、
という可能性を見せることが重要と感じてきた。
 
演奏者が自分の内側を工夫して、
お客さんに良い演奏を聴かせたいと思うこと。
そう精進したいと、せずにはいられない性能を
私は機能として作らないといけない。
 
多分、音楽は、自分の内側を探検するための道具。
その探検に導く道具が、ヴァイオリンという楽器。
 
私は、演奏者にもっと楽しく音楽を探検できる
ヴァイオリンを提供したい。
 
 
 
 
#ヴァイオリン
#バイオリン
#ヴィオラ
#ビオラ
#音楽
#上達
#肩甲骨
#ランニング
#アレクサンダー・テクニーク
#プライマリーコントロール

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?