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[週刊 未亡人生活] #15 『PERFECT DAYS』を観たことを今年中に記しておきたくて

今年中に書いておきたい! 


ごきげんよう,ある未亡人です。

今年もあっという間に,本日の,大晦日までやってまいりました。この未亡人,家中のお掃除をササっとしながらnoteを更新しております。

ぜひ,今年中に書いておきたくて,ですね!

昨日,ヴィム・ヴェンダース監督の映画『PERFECT DAYS』を観てきたのです。

素晴らしかったです。何度も涙が出ました。

この映画は上映中に何度も映画館に観にいこうって思っているので,これから書くのは1回目を観た感想になります。

控えめに言って,とても素晴らしかった!

以下,ネタバレにならない程度に記します・・・

映画では,東京の片隅を舞台に,主人公の平山という老年期の男性を役所広司が演じています。

平山は静かに生活を送っている老年期の男で,仕事として東京の公衆トイレを掃除して生計を立てている。日々,多少の残業などはありながらも,規則正しい生活を送っており,明け方の外を掃く竹ボウキの音で目を覚まし,大事に育てている植物に水をやってから仕事に出かける。ちなみに,缶コーヒーは必ず飲む(BOSS)。

仕事をしているといいことばかりではないけれども,気が滅入りそうな時には馴染みのある木々を見あげて,微かな笑みを取り戻す。

お昼には,神社の一角で樹木に囲まれながら毎日決まったものを食べている。最低限に関わりのある顔見知りはいるものの,平山のほうから何か言葉を発することはほとんどない。

平山は丁寧にトイレ掃除の仕事をし,その日の仕事を終えると自宅にまっすぐ帰る。それから,銭湯に行き,一番風呂をいただいた後,行きつけの飲み屋の一角で一杯だけ飲む。帰宅してからは,本を読んでいる。そして,眠くなったら眠りにつく。

あらすじ by ある未亡人


日々の繰り返しのなか,平山の過去は描かれず,いままさに彼が見ているもの,彼に起きていることなどから,わたしたちはただ彼について想像するのみです。

果たして・・・過去になにかがあった結果として彼はいまの生活を選んだのか,なにかがなくても彼はいまの生活を送っていたのか,それは描かれず,明らかにされません。

ヴィム・ヴェンダース監督の作品に『ベルリン天使の詩』という途轍もない名作がありますが,あたかもわたしたちは監督から特別に「天使の目を持つ」という祝福を授けられて,この映画を通してだけ,平山という男の「完璧な日々」をこっそりと見ることができているかのようです。

なにしろ,わたしは監督から許された「天使の目」をもっているので,平山の表情の微かな変化にも気づくことができます。感情の表し方が穏やかで言葉も少ない平山ですが,それでも痛みや憤りやよろこびを彼と一緒に感じているかのような瞬間が,役所広司という俳優の肉体を通して,わたしのようなものにも,もたらされるのです。

わたしは平山のなにを知っているわけでもありません。

ただ,数日間の彼の一部を,ヴェンダース監督からいただいた目を通して見ていただけです。

わたしはなにを見ているのだろう・・・


ここで,ヴェンダース監督の映画から「にわか天使の目」をいただいた「わたし」について,記してみようと思います。

わたしは,未亡人です。

自分の喪失体験がきっかけとなり,臨床心理学を学ぶようになりました。

そして,今年の春,都内の心理系大学院の修士課程・臨床心理学コースに入学しました。

2025年に修了し,試験に合格したら,公認心理師と臨床心理士の資格をダブルで取得する見込みです。

早いもので,来月には,修士1年目の学びを終えようとしています。

わたしはなにかを学べているのだろうか・・・
わたしはこれまで人間のなにを見てきたのだろうか・・・
わたしはなにを学んだのだろう・・・

ある未亡人の告白

そんな疑問を持ちながら,大学院の講義のために登校する日々を重ねてきました。

授業を受け,実習に行き,ゼミの教授や先輩から指導を受け,事例や専門書などをたくさん読んできているので,臨床上のいろいろな知見や教えが,わたしの頭の中でただいま盛大に渋滞しております。

ある書物には人を類型的に捉えるための秘訣が書かれてあり,また別のある書物には人間を知るのに秘訣なんてないのだということがざっくばらんに綴られています。

高いお金を出して,研究会にもいくつか入りました。

高価な研修も受けました。

そこで出会った心理職の先輩の中には,「あなたの防衛機制はこれこれこんなふうだから,ダメなんじゃないの?」などと,激しくマウントをとってくるかたがいらっしゃいました。

怖かったです。そして・・・,それは決して少数ではありませんでした。

そのかたたちが言ってくることの内容は極めて類型的で,かつ,推測の域を出てなくて,雑誌に載ってる雑な心理テストとなんら差がないようにわたしには思えました。

まあ,人間なので,「なにかしら言えば,なにかしらは当たるのでは?」って感じです。

それよりなにより,「親しくもなく,お金を出しているクライエントでもないのに,わざわざ人の内面を当てようとしてくるあなたのマウント行為のほうが,わたしにはよほど気になりますよ」と思いました。

正直,そのかたたちが精神的にお健やかかと問えば,まったくそんなことはないのです。心理臨床の研究会で,そのような先輩を見るにつけ,「関わりたくないな・・」とか,「マウントだけ取ってくる心理臨床ってなんなんだろうな・・・」と思ってました。

そう思っていたのですが,学校が冬休みに入り,せっせと映画館に通っているうちに,ハッと気づきました。

あたしも同じじゃん・・・。

あたしには「天使の目」なんてないのだから,せめて,いまここにいるその人を見て,その人の話を聴こう・・・。

ある未亡人の告白

というわけで,今年最後のnoteに,真摯に告白してみました。

さんざん本を読み,研究会や研修に参加してきたけれども,この未亡人が大晦日に思ってることをまとめると,こんな感じでございます。


来年は,目の前のことを大切に,私的生活では心理的安全性を第一に,言われたことをひとまず胸のどこかに置いておき,穏やかにたくましく生きていきたいです。

こちらでご縁があった皆様,今年もお世話になりました。

また来年も出会えますように。

良いお年をお迎えください❤️
















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