記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

映画の元ネタ探し&感想(ネタバレあり)「Everything Everywhere All at Once(エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス)」

*この記事は映画のネタバレを含みますので、御覧になる方はその旨を理解してからお読みください。

アカデミー11部門ノミネートの話題作。
なんか、凄まじくぶっ飛んでましたwww

とにかくハチャメチャなコメディでもあり、SFでもあり、ホームドラマでもある。そこにセクシュアリティの問題や哲学的な要素、下ネタ映画パロディなんかがてんこ盛り…そんな映画でした。

あらすじ

ざっとあらすじを起承転結で書いてみると、
(多少話の前後、詳細は間違ってる部分あるかもですが)

「起」

エブリンは、夫ウェイモンドと共に、コインランドリーを経営している中華系の女性。

旧正月のお祝いに父親がやってくるので、パーティーの準備をしないといけない。そこにレズビアンの娘ジョイが彼女を連れて帰ってくる。同時に、税金の申告漏れで国税局からも呼び出されており、忙しい中、国税局に出向かなければならない。

国税局を訪れ、担当のデアドラというおばさんにネチネチと文句を言われ続けていると、急に夫のウェイモンドが別世界線のアルファ・ウェイモンドになって(見かけはそのままだけど)、国税局の職員が敵になって襲ってくるから戦わないといけない!と言い出す。

「承」

アルファ・ウェイモンドが説明するには、この世界とは別の世界線で、ジョブ・ツパキという凶悪な悪の帝王がいて、そいつが手下を使って襲ってきているという。国税局員が敵になってエブリンたちに襲い掛かってきているのもそのせいだと。

アルファ・ウェイモンドがやってきた世界線で、他の世界線へ移動できる技術が開発されており、それを使ってアルファ・ウェイモンドはこっちの世界へやってきたという。
その技術は、他の世界線でカンフーの使い手になっていたり、シェフになっていたり、歌手になっていたり、様々な経験をした別の自分の中に移動したり、習得したスキルや記憶を、一瞬にして今の世界線の自分にインストール出来てしまう技術。

ただ、そのインストールする方法が、紙で指の又を4か所切るとか、オシッコを自分にかけるとか、お尻の穴に何か突っ込むとか(このバカげた描写で笑いを取りに来ている)、素っ頓狂でおかしな行動をすることがキッカケになって、他世界線のデータのコネクトが可能になるという設定。

最初は、「え~、どういうこと~!?」と理解が追い付かず、また躊躇しながらも、アルファ・ウェイモンドに促され、窮地に立たされ、次第に色んなスキルを身に着けて、襲ってくる敵と戦うエブリン。
(ココはギャグ要素とカンフー・アクションを素直に楽しめばいいという感じだと思います)

「転」

そして敵と戦っているうちに、最大の敵ジョブ・ツパキが現れる。
それは娘ジョイの別世界の姿だった。
別世界のアルファ・エブリンが、このマルチバースを移動しまくる技術?能力?が娘にあるのを知って、娘に限界まで酷使させまくったせいで、アルファ・ジョイの精神が破壊されジョブ・ツパキへと変貌してしまったらしい。

いろんな世界線に行きまくって超進化したジョブ・ツパキは、自由自在にいろんな世界線に現れて(珍妙な発動行為はしなくてもOK)、自由自在に人を操り、殺したり、紙吹雪に変えてしまったり、とにかく何でもできる全能的な存在。
それに対抗するために、エブリンもバカなことを繰り返して、いろんな世界線に飛びまくって、自分自身もぶっ壊して超進化し、ジョブ・ツパキに対抗できる存在になる。

一方、エブリンの父親のゴンゴンもアルファ・ゴンゴンとして現れ、この世界線のジョイを殺せば、別の世界線からやってくるジョイの別人格であるジョブ・ツパキのマインドが来ることが出来なくなるから、エブリンにジョイを殺せと迫ってくる。しかしエブリンは娘を殺すことなんかできない。

そしてジョブ・ツパキと戦う中で、ツパキの真の目的が明らかになる。
彼女は、すべての世界線を経験したことで、もう存在すること自体に何の意味もない、バカバカしいと思うようになっており、自分が作り出したベーグル型のブラックホールに飲み込まれて存在自体を消そうとしていた。そしてそこに、同じ境遇になり、自分のこの虚無感を唯一理解してくれる存在になったエブリンも一緒に連れて行こうとする。

しかし、ブラックホールに飲み込まれそうになるところで、エブリンはウェイモンドの言葉、そして二人の結婚生活での幸せな時間などを思い出し、「意味がないなんてことは無い!」とハッと我に返り、ブラックホールに飲まれることを回避する。

「結」

そして、エブリンを連れて行くことを諦めたジョブ・ツパキは、ひとりでベーグル・ブラックホールに入って行こうとする。

エブリンはそれを制止しようと試みるが、ジョブ・ツパキの手下たちがエブリンに襲い掛かる。エブリンは力で戦うのではなく、ウェイモンドが教えてくれた「Be kind (親切にする)」という戦い方で、手下たちの悩みを解消したり、欲望を叶えてあげたりして、皆を幸せにしていってあげるという戦い方でジョブ・ツパキに迫る。

ここでブラックホールの世界線と、現実のコインランドリー前での母娘の会話が重なる。理解し合えない母娘関係に絶望して家族の元から去ろうとしているジョイと、世界に絶望して消えようとしているジョブ・ツパキ。
一旦は娘に行かせようとするエブリンだが、「待って」ともう一度ジョイを車から出して引き留める。「私なんかいない世界で、好きに生きることが出来るでしょ?」というジョイにエブリンは言う。「どこにだって行けるし、結局、世界がクソみたいに意味のないものだったとしても、それでも私はあなたと一緒にいたいの」と。そして二人は抱きしめ合う。

後日、家族で国税局のデアドラを再訪する。申告問題は解決でき、もう別の世界線の敵も襲ってこない。エブリンの脳裏に何かが去就するのか、一瞬心ここにあらずになるが、平和な日常に戻って…終劇。


感想

頭の悪い私には、最初、”マルチバース”の概念はわかるんだけど、そこからあっちの世界、こっちの世界に飛びまくる設定を理解するのがちょっと難しかったです(;^_^A。

そして、何より、そのSF設定を理解しないといけないし、飛んだ先の世界が何かの映画なりのパロディだったりするので、それに対して考えを馳せたりしてる間にとめどなくギャグもいっぱい挟んでくるから、それも笑わないといけないし…とにかく脳での情報処理が追い付かない!!

で、ものすごくザックリいうと、家族再生の物語…ということに尽きるでしょうかね?

厳格な父親の反応にビクビクし、夫からも離婚届を突き付けられる。レズの娘との関係も最悪で、娘は家に寄り付かないし、家族を捨てて遠くに行こうとしている。経営するコインランドリーも危機的状況。
そんな最悪の状態の中で、主人公エブリンはいろんな世界線に行き、色んなことを経験することで真理に辿り着く。自分にとって何が一番大事かということに。

愛が冷めていた夫との関係も見つめ直す。
頼りない男だと思っていたけど、彼は優しさでもって世間と戦っている。そしてグーグルアイ(動く目玉シール)をいろんなものに付けて、何でもないようなものに面白味を加えることで、人生を少しでも楽しいものに変えようとしている、そんな素敵な人だったと気付く。

娘のジョイとの関係が一番大きな戦い。
これはエブリンが母親としての Unconditional Love 無条件の愛に気付いて、娘の全て、あるがままを受け入れ、彼女が自分の世界にいてくれることだけが最大の望み、喜びなんだとジョイに伝える。この場面が映画の最大のクライマックスでした。ジョイと言う名前の意味もココに掛かってくるんでしょうねぇ。

それまでは自分みたいな人生を歩んで欲しくないから、自分の理想を娘に押し付け、それにそぐわない娘に文句を言い、失望し続けてきたわけです。

しかし娘にしたら、自分の人生を歩めない(特にレズであるというセクシュアリティの問題がたぶん一番大きいんだろうけど)ことが辛くて仕方ない。なので、目的もなくフラフラと生きる結果になり、またそこで自己嫌悪、母親のことも憎んでしまうし、自分のことも益々嫌いになる。負のスパイラル。だからお互い傷つけあうだけだから、家から去ろうとする。

映画では「家から去る」のを「ブラックホールに入る」と表現していましたが、私にはジョイが死のうとしているように思えて仕方なかったです。LGBTQ+の自殺率の高さのことを考えると、そういう意味も含まれているのかな?とも思いました。なので、そういう子を持つ親たちへのメッセージでもあるんだろうなぁ、とも思いましたね。

しかしエブリンは気付きます。いろんなタラレバの世界線があるだろうけど、娘として出会い、この子がいる世界、そこにただいてくれるだけいいんだと。
自分の理想を投影するなんてことはバカげた、クソみたいなことだったと。

自分の意識が少し変わるだけで、娘を絶望から救うことが出来る。
これはこの映画が伝えたい大事なメッセージですよね。
愛する者を失うことと、自分の囚われた考え方を固持すること、果たしてどちらが大事なのかと。囚われた考えを選んで本当に幸せになれるのかと。

私も家長制度の封建主義、自己中で、自分の理想を人に押し付け、パワハラ、モラハラ、暴力で支配しようとする父親の元に生まれました。一緒に住んでいた時も、そして未だにわかり合えることもなく、今はもうほぼ絶縁状態。
なので、気付いてくれたエブリンに感動したし、ジョイが心の底から羨ましかったです。
まあ私の父親がこの映画を観たとしても(まず観ることはないだろうけど)、たぶんそういう考えには至らないだろうという絶望しかないのがツラい😢。

ブラックホールに入ろうとするジョイを、エブリンだけじゃなく、父親のゴンゴン、そして夫のウェイモンドも、みんなで力を合わせて止める描写。アレが家族再生、家族が漸く一つになれた場面として描かれる。
額に目ん玉付けたおばさんと、変な機械付けた爺さんと、パッと冴えないおっさんとが、マーベルヒーローみたいに力合わせて戦ってる姿…わたしゃ何を見せられてんだ!?ってなる、なかなかにシュールなところがまた乙ですねぇ~www

さあ、果たして、アカデミー賞ではどれくらいの賞が獲れるでしょうか?結果が楽しみです。

最多11部門でノミネートされてるそうで、その内訳は

作品賞
監督賞
主演女優賞ミシェル・ヨー
助演男優賞キー・ホイ・クァン
助演女優賞ジェイミー・リー・カーティス
助演女優賞ステファニー・シュー
脚本賞
作曲賞
歌曲賞
衣装デザイン賞
編集賞

主要キャストが軒並みノミネートされてるのがスゴイですね。

まあ、ミシェル・ヨーは絶対獲りそうな気がします。ゴールデン・グローブも獲ったし、そのスピーチでの発言でも注目されたし、彼女が何を言うか、ものすごく期待が高まってる部分もありますからね。まあそれで選ばれるなんてことはないとは思うけど(;^_^A

スピーチを終わらせるように促すピアノ演奏に「黙れ!ぶっ飛ばすわよ!」と言って拍手喝采www
ジェイミー・リー・カーティスを「My Hotdog Lover」って言ってるの笑うwww


映画の元ネタ探し

で、ココからはこの映画で使われた映画パロディの元ネタを考えたり、ネットで探してみたいと思います。

「マトリックス」

まず、違う世界線のカンフーの技術をインストールして実践する…これは「マトリックス」だな~とはすぐ思いました。

話逸れるけど、マトリックスはアカデミーで作品賞獲れなかったし、そもそもSFで作品賞ってあんまりない気がする(技術的な部門では4冠)。
そしてコメディでアカデミー獲ったのって…「フォレスト・ガンプ」くらい遡らないとないんじゃないかな?フォレスト・ガンプもコメディっていうほどコメディでもないし。

「レミーのおいしいレストラン」

劇中でハッキリと描かれるのは「レミーのおいしいレストラン」

原題は「ラタトゥイユ」

ピクサーの原作の方は、ネズミがシェフハットの中に隠れて指示するのを、エブリンがなぜかラクーン、アライグマだと間違って覚えていることで、彼女の別世界線ではアライグマがシェフハットに入ったハリー・シャム・jr(gleeのマイク役)が出てくる。

これも、人をコントロールする(親が子供をコントロールする)ことに対する風刺みたいのがあるのかもしれませんね。

この映画の原題が「ラタトゥイユ」。アライグマの英語が「ラクーン」なのでごっちゃになって「Raccacoonie(ラクーニー?ラクーイュ?」と覚えたってことなんですかね?この辺りの言語的なギャグ感覚はネイティブじゃないとピンと来ませんね。

「スターウォーズ」

あと、娘が悪の帝王的な感じ、これはスターウォーズにおける「父親が悪の帝王ダース・ベイダー」の逆張りパロディなのかな?とも思ったり。
ゴンゴン爺さんに「Father?」とエブリンが訊き、「I'm not your father.」と答える所がスターウォーズのオマージュだとも言われてました。


町田智浩さんの映画評から

映画元ネタを探してググってみると、
町山さんが「たまむすび」で色々解説されているのがありました。


文字に起こした記事はコチラ

「BENIHANA」

それによると、シェフの世界線での鉄板焼きのコテとナイフのパフォーマンスは、BENIHANAという鉄板焼きチェーンでのパフォーマンスを真似ている。行ったことはないけど、知識としては知ってました。創業者の娘がデヴォン青木で、キレイな女優さんしてますよね。


「ウォン・カーウァイ」

映画スターになって、実業家?として成功したウェイモンドとの恋愛模様が描かれる世界線は、ミシェル・ヨー自身の女優としての世界線と、ウォン・カーウァイの「花様年華」のオマージュだと。
たしかにウォン・カーウァイっぽい緑~黄色の色合いの画面になってましたw

「2001年宇宙の旅」

指がホットドッグのソーセージになる世界線。
これは「2001年宇宙の旅」のパロディ。「2001年宇宙の旅」では、猿が骨を使って道具にし、そこから進化していくのに対し、この映画では指を使ったことから進化して、なぜかそこからソーセージ指になって行くというギャグの世界線。
その世界線ではエブリンとデアドラがレズカップルで、足でピアノ弾いたりするんだけど、あそこも何かしらの映画のパロディな気がします。なんだろう?
前髪パッツンヘアのエブリンが森山良子に見えました(笑)。

「私ときどきレッサーパンダ」

中華系の抑圧する母と娘の関係というところで「私ときどきレッサーパンダ」との共通点も述べられています。私はこの映画観てないので、ふ~ん、そうなのか~としか言えないんですけど(;^_^A、町山さん曰く、凄く似ているそうです。


海外サイトからの引用


そして、海外のサイトでも映画元ネタを考察してるサイトがないかな~と探してみたら出てきた、こちらのサイト

「スパイダーマン」

このサイトでは、まずスパイダーマンの映画「スパイダーマン:スパイダーバース」に触れ、マルチバースの世界、そしてマーベルやDCコミックのスーパーヒーローが活躍する世界線のパロディであることが述べられてます。

「俳優のキャリア」

出演者のメタ視点でのパロディとしては、
ミシェル・ヨーの女優としてのキャリア、カンフーを使うのは「グリーン・デスティ二ー」からとか。

また「クレイジー・リッチ」では大金持ちだけど、やはり娘に対して支配的で、封建主義の中華系母親を演じていたミシェル・ヨー。この映画でも貧乏だけどやはり同じような母親になっている。貧富の差などは関係なく、この支配的中華系母親像への批判が込められてるんでしょうね(日本でも、いや世界中でも多いんだと思う)。

*夫ウェイモンド役のキー・ホイ・クァンは、昔「グーニーズ」に出ていたそうで(私もむか~しに見たけど、そんなの覚えてないわw)、そこでの役では色々発明好きの子供で、発明品のガジェット・ベルトを身に着けている。ウェイモンドがウエストポーチを付けていて、別の世界線へ移動できるヘッドセットを出してくるのはそのパロディなんだそうです。

「パプリカ」

劇中でスターエブリンが観ている映画で、一旦映画が終わるような演出がある部分。あれは日本の今敏監督のアニメ映画「パプリカ」のオマージュなんだそうです。
私は「パプリカ」を観てないのでよくわかりませんが、主人公の探偵が、自分が出ている映画を観に行って、そこで監督の今さんの名前やポスターが出てくる。映画の世界線とメタの世界線が混ざっていくという演出のようです。

「Sherlock Jr」

エブリンがいろんな世界線を一瞬にして体験する、彼女の顔が色んな世界線での顔に次々と変わっていく場面。
あれは無声映画のバスター・キートンの「Sherlock Jr」という映画のオマージュなんだそう。

映画技師のキートンは夢を見ていて、映画の画面の中に入って行く。そこで場所が移動することなく、いろんな映画の場面に次々と変わっていく。その場面を踏襲しているんだそうです。

あの、次々にいろんな世界を脳内で体験する描写って、いままでもいろんな映画で観てきた気がするけど、なんと無声映画からの古い歴史があるんですね~。ビックリ!!

「リック・アンド・モーティ」

アメリカのアニメ「リック・アンド・モーティ」の設定にも共通点があるそうです。私は観たことないのですが、wikiの説明によると、

”天才科学者のリックが、娘家族の家に引っ越してきて間もない頃から物語は始まる。
リックはパラレルワールド間の移動や超光速航行など驚異的なハイテク技術を有し、孫のモーティやサマーを連れて危険な冒険に出ては様々なトラブルを引き起こすか、あるいは巻き込まれ、時には宇宙一のゲームセンターやリゾート施設で遊興にふける。”
と、いう感じのお話だそう。

そして、「Rixty Minutes」というエピソードの中で、リックの娘のべスとその夫のジェリーの関係が、エブリンとウェイモンド同様に壊れかけ、パラレルワールドに行って違う世界線での人生を体験するということがあるんだそうです。

「Absolutely (Story of a Girl)」

Nine Days というバンドの 「Absolutely (Story of a Girl)」という曲

コチラのサイトで歌詞の和訳を見てみると、
「ドラマの中の彼女」的な表現があるので、女優の彼女に対して歌っているのかな?これでエブリンというか、ミシェル・ヨーというか、に当て嵌まるように使われているんだと思われます。

そしてウェイモンドがエブリンにマルチバースを説明する時に、この曲の歌詞を引用して“Your clothes never wear as well the next day, your hair never falls in quite the same way,”と言うんだそう。

この歌詞の部分の前に「So how do you choose?」とあるので、色んな選択肢から派生するマルチバースに繋がるんでしょうね。
「服も同じように着られないし、髪の毛も同じようにはならない」。同じような繰り返しの中でも少しずつ違う選択をして、少しずつ違う世界線が存在する…的な感じを言いたいということでしょうかね?

そしてこの曲が、映画の中で何度も使われているんだそうです。BGMとして流れたり、ミュージック・ビデオが流れたりと。
この歌を知ってる&好きな人とかは、あ~、また使われてる!って気付くんでしょうけど、私は知らなかったので全く気付きませんでした(;^_^A。
再度観るときは、そこを意識して観てみる、どんな場面で使われてるのかというのがわかって面白そうですね。

「エルヴィス&2パック」

ジョブ・ツパキの衣装がエルヴィス・プレスリーのオマージュだったり、ツパキという名前が2パックから取られているんだそう。

でもなんでプレスリーからとか、2パックもなんでその名前からなのかの説明は書かれていませんでした。アメリカだとわかる常識的な知識が必要なんですかね?2パックは、ギャングの抗争かなんかで銃殺されたラッパー?ぐらいの知識しかないです。スイマセン(;^_^A

エブリンがジョイに「最近太った」と何度も言うから、晩年太りまくってたプレスリーに掛けてるのか?
それとも映画「エルヴィス」(まだ見てないけど)で、トム・ハンクス演じるプレスリーのマネージャーが、プレスリーの兵役参加や結婚にまで口を出す一方で、私腹を肥やしてギャンブル依存になっていった最悪の支配男だったそうなので、なんでもコントロールする支配的母親と娘の関係に掛けているのかもしれませんね。

「エルヴィス」もアカデミー賞にノミネートされているのがまた、皮肉が効いているというか、本家エルヴィスが獲れなくてジョブ・ツパキ版エルヴィスがアカデミー賞受賞になっちゃうんですかね~、楽しみwww

あと、ジョブ・ツパキの次々変わる個性的な衣装。あれは様々なジャンルの音楽アーティストを表しているんだそう。確かに、肩にぬいぐるみ付けた衣装を見た時は、きゃりーぱみゅぱみゅみたいだな~と思いました。

「カンフー&キル・ビル」

映画の中で随所で行われるカンフーアクション。
70~80年代のカンフー映画の影響はもちろん、白髪長髪、長い顎髭の老師は「キル・ビル」のパイ・メイからだと。パイ・メイ自体も昔のカンフー映画からのオマージュですからね。

「マリオ」

ビデオゲームからの引用もあるんだとか。
「大乱闘スマッシュブラザーズ」で吹っ飛ぶアクションとか、効果音も使われているそうです(全く同じ音ではなく、限りなく似た音を作ったらしい)。

マリオがお尻を地面に叩きつける動き(下の動画参照)。

映画の中で敵がお尻にバットプラグ型のトロフィーをぶっ刺そうとする動き、ココから来てるんだとか。ホンマか!?www

「グーグルアイ(目玉シール)」

グーグルアイ(目玉シール)は、ジョブ・ツパキの絶望のブラックホールの対極にあるものとして描かれている。

ブラックホールは黒いサークル。デアドラが領収書に黒い丸を描いていたり、黒いサークルはネガティブなものとして描かれる。

反対にグーグルアイは、ウェイモンドが小さな幸せを広める道具として描かれる。

中国の陰陽、黒と白の巴型が組み合わさった模様で表される。

黒い部分は絶望のブラックホールに対して、白い部分はグーグルアイ的です。つまり絶望の反対、希望を表しているということのようです。
ウワ~深いなぁ~。あの目玉シールにそんな意味まで込められていたとは!!

「監督カメオ」

カメオ出演として、監督のうちのひとりDaniel Scheinertが出ているんだそう。その役どころは…エブリンがSMの女王となる世界線でのMの客www


バニティフェアの記事から補足


バニティフェアのコチラの記事も見てみると

「マトリックスについて」

監督は自分たちバージョンの「マトリックス」を作ってみたかったんだとか。
「マトリックス」と「ファイトクラブ」の二本立てを見ていた時に、
「マトリックスの半分でもいいから面白い映画、そこに自分たちなりの要素を加えられたら、死ぬほどハッピーだろうな」と思ったんだそう。

「カンフーアクション」

Clan of the White Lotus (and other kung fu classics)
カンフー師匠のパイ・メイは「Clan of the White Lotus」が元ネタなんだそう。日本語タイトルを探したのですが出て来なかったので、日本ではリリースされてないんですかね?そんなことないと思うけど。

この映画は続き物で、前作が「Executioners From Shaolin」。「少林寺からの処刑人」って感じでしょうか?コチラも日本語タイトルが出て来なかったんですけど「少林虎鶴拳」という画像がありました。う~ん、カンフー映画マニアじゃないので分かりません(;^_^A。

あとやっぱり「キル・ビル」についても言及されてます。

「花様年華」

「2001年宇宙の旅」「レミーのおいしいレストラン」に加えて
ウォン・カーウァイ
「花様年華」についても書かれてました。
映画スターのエブリンとウェイモンドが狭い通路で語るシーンが
「花様年華」におけるトニー・レオンとマギー・チャンが廊下で語り合うシーンのオマージュになっているそうです。
そして、この場面でのエブリンとウェイモンドは、中国語のみで話しているんだそう。英語と中国語が頻繁に混ざるから、そこまで気が付かなんだ~(;^_^A

「キー・ホイ・クァン」

ウェイモンド役のキー・ホイ・クァン
「インディ・ジョーンズ魔宮の伝説」「グーニーズ」の子役として活躍した後、彼は一旦役者を辞めて裏方になっていたそう。
その時に、助監督として働いたのがウォン・カーウァイの「2046」。キムタクが出てた映画ですね。
この「2046」は「花様年華」や、同じくウォン・カーウァイの「欲望の翼」の続編にあたる作品。

そして、ミシェル・ヨーが出ている「クレイジー・リッチ」の成功の後に、役者への復帰を果たしたんだそう。
なんだか因縁めいた感じがありますね~。いろんな運命のピースが繋がる感じ。


その他の記事から


コチラの「みんなが見過ごしてるEverything Everywhere All At Onceの10のこと」という記事も読んで、ココまでになかった情報も補足。

「監督カメオパート2」

監督のカメオ出演として、前述したSMの客の他に、ソーセージ指の猿の役でもDaniel Scheinertは出ていたんだそう。

一方、もう一人の監督のDaniel Kwanは、ベーグル・ブラックホールに最初に吸い込まれる人物と、ウォン・カーワァイ世界線で、エブリンの財布を盗もうとする強盗の役で出ていたそう。そんな場面あったっけ?憶えてないわ~💦

「レポマン」

1984年のSF映画「レポマン」
私は知らない映画ですが、カルト的な人気のある映画なんだそう。
その中で、商品のラベル使用に対する権利が認められなかったとかで、すべての商品に同じで簡単なラベルを使ったということがあったそう。
それを踏まえて、この映画でもウェイモンドが使う箸に「箸」というラベル貼ったりしているらしいです。そんなとこまで全く見てなかったです(;^_^A


Redditから

海外の掲示板、Reddit「How many movie references in Everything Everywhere All At Once?」というスレッドも見てみました。

*ジョブ・ツパキが国税局の警備員と戦う場面で「マスク」のパロディがあるらしい。「マスク」自体あんまり覚えてないのでコレと言えないのが悔しいwww

*飼い犬をリード付けたまま振り回すのは「キル・ビル」の栗山千明が演じた「ゴーゴー夕張」のパロディ。鉄球を振り回す女子高生。←なるほどwww

*ジョブ・ツパキがカンフーでエブリンと戦う中で、「ストリートファイター」のチュン・リーの衣装っぽい時がある。←あったあった。

*ゴンゴン爺ちゃんが色んな機械を付けてロボットみたいになるのが、「トランスフォーマー」からではないか?


考察動画から


コチラの動画も25の気付かない点を教えてくれています。

画像で見れるからわかりやすいところがいっぱいありました。

新しく発見した点を書き出してみると、

*エブリンとウェイモンドがクリームチーズ入りのベーグルを食べる。
エブリンは結局食べなかった。これが絶望のベーグル・ブラックホールへの伏線だった。

ベーグル・ブラックホールグーグルアイは、それぞれニヒリズム(虚無主義)と実存主義の象徴。

”実存主義とは、人間の実存、つまり理性や科学によって明らかにされるような事物存在とは違って、理性ではとらえられない人間の独自のあり方を認め、人間を事物存在と同視してしまうような自己疎外を自覚し、自己疎外から解放する自由の道を発見していこうとする立場をいう”

*時々出てくるクッキーも、顔で目玉が付いていたり、真ん中にアーモンドが付いていてグーグルアイのようになっていたりする。

*ジョブ・ツパキとの最終決戦時、彼女の後ろにいる手下が指の間に箸を挟んで、ウルヴァリンのようなポーズをとっている。

Nine Days というバンドの 「Absolutely (Story of a Girl)」と言う曲。
違う世界線で違うバージョンで流れている。

離婚の話をしている時には悲しいカントリー・バージョン。
鉄板焼き世界線では「彼女」のことではなくて「シェフ」のことを歌っている歌詞に変えられている。
そしてSM女王の世界線では、M男視点での歌詞に変えられてるそうwww

*監督二人はミュージックビデオの監督でも有名だったそうで、その代表的なビデオに出ていた女優Sunita Maniが、コインランドリーのテレビに映っている映画に出てくる。指がソーセージになった世界線でも出てた気がする。

*「Everything Everywhere All At Once」の英語以外のタイトルの意味を説明してる。

北京語では「in an instant, the entire universe」
「一瞬で、すべての世界」って感じでしょうか?
香港だから広東語では
「Weird woman, fucks around and save the universe」
「変わった女が、バカなことして世界を救う」って感じでしょうか(笑)
台湾では
「So many fucking universe」
「たくさんのおかしな(狂った?クソみたいな?)世界」って感じですかね?

*ウェイモンドのキャラクターは動物を表している。

ベーシックのウェイモンドは、逃げ回ってばかりのリス
アルファ・ウェイモンドは、勇敢で力強いイーグル
ウォン・カーウァイ世界線のCEOウェイモンドは、静かで揺るぎないキツネ。(キツネは「FOXY」とかいって形容詞になるとセクシー的な意味になります)

*ジョブ・ツパキの名前について、この動画作成者も2パックとの関連を疑っているが、監督はジョイの壊れた自我をランダムな音で表したものだと言ってるそう。

*お尻に何か突っ込むことでカンフー使いになる二人組。
格闘技クラブのYoutuberで有名な、Brian & Andy leという人たちなんだそう。カンフーアクションの監修もやったとか。

*SMシーンで出てくる机の上のネームプレート「Richard long」
リチャードはリック、そしてディックという風に、名前が簡略&変化して呼ばれます。つまりディック・ロング=長いチ○コという下ネタ。
監督の1人、Daniel Scheinertの前作が「The death of Dick Long」と言うのにも掛かっている。それでDaniel ScheinertがSMの客でカメオしてるんですねw

*次々変わるエブリンの世界線の場面の代表的なものは
国税局にいるエブリン、リッチなエブリン、ソーセージ指のエブリン、ブラックホール前のエブリン、過去のエブリン、ピザ看板回しのエブリン、
家のエブリン、テニス大好き看板のエブリン、隠されたイルミナティ・シンボルのyoutube画面のエブリン、ズーム画面のエブリン、犬エブリン、猫エブリン、葡萄エブリン、木エブリン、アニメエブリン、マッチングアプリtinderのエブリン、インスタのエブリン

などだそうです。

*監督たちは当初、エブリンにADHD(注意欠如・多動症)の設定を持たそうとしたんだそう。結局、繊細な問題なので取り入れることはなかったが、撮影中に監督の1人が、診断されてはいないものの、自分がADHDであることに気が付いたのも関係しているらしい。


ここまでネタバレしておいて、面白いから観てみてくださいね~っていうのもどうかと思うけど、もし観てない方がこの記事読んだなら、どうぞ観てみてくださいね~。ぶっ飛んでます、面白いですwww

私もこれだけ知識を入れたので、もう一度見直して、新たな発見しながら楽しみたいと思います。

追記

アカデミー7部門受賞!!エブエブ旋風巻き起こりましたね~。ウレシ~🙌

キー・ホイ・クァンがインディ・ジョーンズに出てた関連で、スピルバーグがカメラで抜かれたり、最後、作品賞プレゼンターのハリソン・フォードと抱擁してたの見て、ジーンと来ちゃいました。
ジェイミー・リー・カーティスも受賞できなかった両親への想いを語ったり、もう米エンタメ界が彼らの道のり全て分かった上で祝福してる温かさを感じましたね。

最優秀主演男優のブレンダン・フレイザーの「The Whale」も凄く見たくなりました。エブエブと同じA24の映画ですし、A24が熱いですね。

改めてミシェル・ヨーが額に目玉シール付けてる場面を見ていて、ふと手塚治虫の「三つ目がとおる」を思い浮かびました。
そういや、手塚治虫ワールドもスターシステムを採用していて、まさにマルチバースの世界だった。
ひげオヤジが色んな作品に登場してたり、アトムのお茶の水博士は火の鳥だと猿田彦として色んな世界線に転生したり。

なのでマルチバースがとっつきにくそう…と思っている方も、是非観てみてくださいね!!


理解が深まった、おもしろかったという方は「スキ」を押していただければ幸いです。


この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?