見出し画像

ショートヘア

1年伸ばして、ボブからミディアムになろうとしていた髪を、ショートに戻した。

経緯としては簡単で、美容室で「伸ばしてはいるんですけど、その理由って、ショートが好きでショートをし尽くした感じがあるからなんですね。だから、ネタ切れ伸ばしって感じになってて。似合う髪型を模索してますね」と言って、美容師さんと話してたら、この髪型になっていた。何やら、広がりやすい髪質だから、ロングよりもショートの方が向いているそうだ。(これは歴代の美容師さん全員から言われた気がするが)

ネタ切れで伸ばしていた髪の毛だったが、他にも伸ばしていた理由はあって、それが「黒髪ロングへの憧れ」と「好きだった人がロング好きで、付き合った彼女もロングだったので、対抗心」だ。

私の中の「黒髪ロングの女の子」は、もう、圧倒的に女としてのヒエラルキーの頂点に立っている、絶対的カワイイを保持している女の子のイメージ。そんなものに、なってみたいという気持ちがあった。

そして、好きだった人がロング好きなこと。行為中に首を絞められながら、髪を伸ばせと言われて、健気に伸ばした。一抹の望みをかけて、伸ばしていたのだ。髪が伸びた頃、その人は、“彼女”を作っていた。腰くらいまである黒髪の女の子と付き合ったそうだ。それを知った時、ふと鏡で見た髪が伸びた自分は、驚くほどに似合っていなかった。

ただ、同時に、というか昔から、私はロングヘアへの嫌悪感も抱いていた。世間一般的なイメージに、「女=ロング」というものがあるように思う。そのイメージに、気味が悪いと感じていた。また、過去に付き合った男性から「男の子みたい」と言われたことも関係している。それも行為前。こういった経験たちが、私の中にある辞典に、「私に髪を伸ばすことを求める男性は、私を私ではなく、ただの女として、穴のひとつとして見ている」と書かせた。

ショートに戻した今、やっぱり私はこれだなと、何とも形容しがたい安心感を抱いている。令和の世の中なので、どんな髪型の女性がいてもいいと思うし、第一に、自分に似合う髪型にすることが大切だ。これから、どんなショートヘアに出会えるか、楽しみだ。

私の文章を好きになって、お金まで払ってくださる人がいましたら幸福です。