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自治会退会懇請状

 (実名)会長、平素より大変お世話になっております。御仕事と御家庭等の御多忙にも拘らず、我が町の為に奔走して下さり続けていることに、深甚の感謝と敬意を、確りと誠心誠意を込めて、言葉と共にここに示します。
 そして会長、週末の金曜日、御多忙と激務の中で、このような懇請状と退会届を提出して、多大な心労と迷惑に不利益等を掛けてしまう私の不徳を、深謝いたします。

 ここに、別紙の『自治会退会届』と共に、こちらの『自治会退会懇請状』を提出し、自治会から正式に退会することを、懇請いたします。理由は、以下の詳述の通りでございます。会長、大変申し訳ございませんが、どうかご覧になって、私の懇請をご容赦して、私に正式な許可を下さいますよう、謹んでお願い申し上げます。

 『論語』「憲問」(14:1)に「邦が有道であれば、報酬があることは宜しい。しかし、邦が無道であるのに報酬があることは、恥じるべきである。」と言う孔子の遺訓があります。また『晏子春秋』「雑 下/外篇 下」にも、晏子が大国の宰相として、数多くの絶大な功績を確立させては、国と民に絶大な恵沢を齎して、自身も自ら数百家にも及ぶ数多くの極貧の大家族を保護しては、その生計の維持を助け、国内外でも高評価を得続けたにも拘わらず、千金の報奨を固辞し続けたのです。更に、我が祖国の建国の父「ホー主席」は、1963年5月8日に、国会から、当時の国内で最高の勲章である「黄星勲章」(Huân chương Sao Vàng)の授賞を固辞しました。以上の偉大な先哲達の決行、そして『三事忠告』・『牧民心鑑』・『天台治録』・『燈燈無盡』(長洲 一二)等からの遺訓を鑑みると同時に、先人達の遺徳を習いますと、私が自治会を退会することこそが、私自身にとっても、そして私達の町にとっても、相応しいと心の底から、誠に強く存じます。

 『地方自治法』「第一編 総則」(第一条)に、「国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図る(中略)地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うもの」と明記されております。ですが、今年2024年での、東京都都知事や兵庫県の斎藤知事、そして、以前定例会でも申し上げましたように、私達の祖国ベトナムでの「ベトナム戦争」で、北ベトナムが辛勝して南北統一できた決定的な要因の一つが、世界中の人々が数多くの「ベトナム反戦運動」を敢行し続けて下さったことです。私は、元ベトナム軍人として、誠にベトナム反戦運動に参加や敢行して下さった世界中の方々からの大恩を、決して忘れず、深謝の念を懐き続けております。この事に対するエチオピア内戦・2019年-2020年香港民主化デモ・2021年ミャンマー内戦・2022年ロシアのウクライナ侵攻・2023年パレスチナ=イスラエル戦争等、世界中で起きている戦争に対して、日本の政府も報道も、そして、そうです、我々「国民」も、実際は「何処吹く風」であり、そして、長年に亘る数多くの自国の国内問題に対しても「何処吹く風」です。今年2024年に「能登半島地震」という大惨事が「国内」で発生してしまい、それを機に、防災講習会が開催されましたが、開催された講習会の参加者達の中で30代以下は、唯一自分一人だけであり、講習の開催準備中に、「早く終わらないかな~」や「帰ったら~」等と言う言葉が過半数でした。そして講習中も、私語をずっとする「会長達」と委員達がおり、そして会長も御存知のように、行政側から出された提案も、完全に形式的で何の実体も無いものでした。講習終了後は、ある企業の社員が、能登半島地震に対する形式的で心が全くこもっていない、被災者達への哀悼と一日も早い復興を願う言葉、…いえ、「御託(うそ)」を並べた後、「満面の笑顔」で自社の紹介と宣伝を行いました。ほとんどの人達は、関心も興味も無く、さっさと荷物をまとめて各自の自宅に帰ろうとしましたが、その社員が写真撮影で「千円のプレゼント」と言った瞬間、人々は打って変わって、写真撮影に参加する為に殺到しました。これらが、やれ「民主主義」、やれ「自由主義」、「戦争反対」やれ、「平和主義」やれ、等と言っている日本人達の本性とその実態です。思うに、「全員」ではもちろん無いと言うことは言うまでもありませんが、「圧倒的大多数」の日本人とその実際の教育・意識・生活・社会・文化・歴史等は、形骸化した小児病的で利己的な安定です。この安定は、正に遅効の猛毒のようなものです。

 かつてこよなく愛する祖国ベトナムに人生を全て捧げて奉仕と献身し続けた元ベトナム軍人と元ベトナム共産党員、そして現在、ベトナムと日本の愛国の公民、更に、国際協調主義・汎(グロ)地球(ーバリ)主義(ズム)・多文化主義・博愛主義の地球市民として、前述した数多くの事変や戦争に対して、私と私達は、前述した大恩に報いる「恩返し」、そして「恩送り」を、日本人の方々と誠実かつ真摯に遂行したかったです。民主主義を護持する抗議活動と、戦争反対と平和再開の社会運動を決起したかったです。社会教育に政治教育、科学教育に哲学教育、平和教育に国防教育、市民科学に生涯学習等を確立したいです。ですが、一人では活動も運動も不可能であり、また民主主義の原則「多数決原理」に基づいて、私一人は、「長年に亘る愚民政策の結果」そして「圧倒的大多数の愚民の勝手で確立した衆愚政治」に従うしか無く、結局のところ、行為と結果から観れば同じく愚民になってしまっております。

 前述の遺訓を鑑みれば、国政も都政も県政も市政も町政も、そして家政も無道であるにも拘わらず、職名に地位そして報酬があることに、自分は深く恥じております。そもそも、私が実務をこれまで一切しなかったのは、会長をはじめ、皆様が実務に取り組んで下さる一方で、私は頭脳労働に精神労働を行って敬教勧学の町政を起こす為でした。ですが、地域社会の歴史に文化、及び町民の生活に意識、そして民主主義の原則「多数決原理」に従ってそれらに基づけば、私の頭脳も真心も志学も、全く以て不要である上に、むしろ、拒絶するべきものでしょう。

 以上の通り、私は町の民生・民意・民心・民情を洞察しては、町民から頂いた自分の役員手当が適正であるかどうかを再考して、天命を再思した結果、民主主義の原則に遵守すると同時に、愛郷心と愛国心を懐きながら、猛烈ながらも静寂で沈黙の批判並びに抗議を以て、自治会の正式な退会を懇請します。今月の定例会で、正式に自治会を退会させて下さい。そしてその際に、元々町民のお金であり、徴収して町内会費となったものの一部として頂いた役員手当「3万円」を全額返金させて下さい。

 このように決行したことは、本当の本当に残念で堪りません…ですが、自分など、まだまだ先哲達に遥か及びません。先哲達に誠に追い着いた後は、先哲達を追い越すことも志しております。その為には、まず実際に先哲達に習わなければなりません。つきまして、孔子の辞職・晏子の固辞・ホー主席の固辞・長洲知事の自責自省等、先哲達に習って、会長、私は正式に自治会を退会し、そして「3万円」を全額返金することを切実に願っております。御理解と許可の程、謹んで熱誠にお願い申し上げます。

2024/7/19、LVN/荷進, Nguyễn(グエン) Hoài(ホアイ) Minh(ミン), Tạ(タ) Hướng(フゥオン), Nguyễn(グエン) Trọng(チョオン) Đức(ドゥック)

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