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過去とつながる空間

日本からローマに到着して最初のホテルと一緒に、空港からの送迎を頼んだことが何度かある。空港に到着して、旅行会社のカウンターに行くと、イタリア人スタッフが日本語で対応してくれてホっとする。

初めの頃は、がんばって自分でカタコトのイタリア語でホテルを取ることもしていたけど(インターネットはまだ無い)、だんだん年を重ねていくと、ラクチンなほうに流れていく。

若い頃は節約のためもあって、いろんな面倒なことも全部自分でやって良い経験になったけど、空港からホテルまで連れて行ってもらう便利さくらい、どんどん利用しようと思うようになっていった。

だいたい夕方にローマに着く便で行く。春に行くことが多かったので、大抵はまだ明るかったが、あるとき初めて10月に行って、ホテルに向かう時間はもう真っ暗だった。

マイクロバスに乗って、ローマの中心部へ向かって走っていると、古代ローマの壁やら門やらが見えてくる。オレンジ色のライトに照らされて浮かび上がる遺跡が、古代のまま時間が止まっているようで、車の中から眺めていて不思議な気分になった。車がどんどん流れている道路から見える2000年前の空気感。ローマ独特のものなのかな、と思う。

だけど、これと同じような感覚に、京都でもなったことがある。

すっかり日も暮れて、駅前のホテルの戻ろうとバスを待っていた時、目の前のお寺がそこだけ真っ暗で、大きな大きな黒い屋根を眺めながら、不思議な気分になった。あそこは、現代だろうか? あの黒い空間は、平安時代にも繋がっているのではないかな、、、と。

ローマに話が戻るけど、時空が歪んでる場所があるという話は雑誌で読んだことがある。

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サンタンジェロ城。
もともとはローマ皇帝ハドリアヌスが自分の霊廟として建設を開始し、その後軍事施設になったり牢獄になったりしたという。

手元にその雑誌が残っていないので、詳細は覚えていないが、サンタンジェロ城内で兵士たちが行方不明になったことがあり、戻って来た時は発狂していたとか、そんな話だった記憶がある。そこは古代ローマのコロッセオと繋がっているとかいないとか。もしかすると、剣闘士同士が、または剣闘士と猛獣が戦っている中に行っちゃったのかな、と妄想してみたりする。

1度、イタリアが初めての友人を連れてこのサンタンジェロ城内に入ろうとしたことがあって、施設が休みのことが多い曜日だったため、ガイドブックで何度も確認したにも関わらず、行ってみたらクローズだった、ということがあった。

あの時は本当にキツネにつままれたような感じで、まあそういう時は、入らないほうが良かったんだなと思うことにした。それ以来、サンタンジェロ城はなんとなくいわく付きの場所のような気がしている。

イタリアは古い建物が多いので、時空が歪んでいるところも、もしかすると結構あるのかもしれない。


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