医者と獣医の大学入試ってどっちが難しい?
今日の一言。
「自分が何をしたいかが一番大切。」
私は子供の頃から動物のお医者さんになりたくて、獣医師になった。
もしかしたら、子供の頃はユニセフ募金や国境なき医師団に興味もあったし、頭の片隅に”人間のお医者さん”になることもあったかもしれないが、あまり覚えていない。
もしそんなことがあったとしても、人間のお医者さんと動物のお医者さんは同じ仕事、と思っていたくらいの年頃の話だろう。
獣医学生の中にはもともと人間の医者になりたくて医学部を受験した、またはしたかった、という人もいたりする。
私の同級生にもいた。
では、なぜ彼らは獣医の学校に入ったのか。
単純に、一般的に獣医学科の方が医学部より入試レベルが低いからだ。
大本命が医学部だとして、その受験に失敗した時の選択肢として、歯学部、薬学部、獣医学部など他の医療系のコースが選ばれることがある。
これらの学部・学科は一般的な入試レベルでは医学部より低くなる。
つまり、自分の学力レベルによっては入りやすくなるのだ。
(一部の医学部と獣医学部を比べると逆であることもあるが。東大や北大は獣医でも目の飛び出るレベルだ。)
ただ、ここで覚えておかないといけないのは、前にも言ったが、獣医師には変人が多いということだ。
あらゆる天才は紙一重で変人だと私は思っている。
単純に頭が良い人が入試レベルの難しい順に受験するわけではない。
東京大学や海外の一流大学に入れる学力レベルの人が、あえて京都大学を選ぶことがあるのと同じだ。
「自分が何をやりたいか。」
の方が大事な人はたくさんいる。
つまり、超絶頭がいいのに、「人間の医者になりたくないから獣医になる。」という人もいるのだ。
そんなわけで、獣医の学校にはある程度の数の「超絶頭のいい動物好き、もしくは人間嫌い」が存在する。
また、大学の入学定員も医者と獣医とで相当違う。
医学部の定員は公立私立を合わせると9330人。
対して獣医は930人だ。
(2020年度)
10分の1しかいない。
これでも獣医学部・学科の定員は増えた方だが、目指す人数の割にはやはり少ない。
単純に国公立大学の倍率だけ見れば医学部は約5倍、獣医学部は8〜9倍。
(後期入試や私立は倍率が高くなりがちなので、一概には言えないが。)
その点だけを見ると、どっちが難しいのかはわかりづらい。
また、大学に入ったらそれで終わり、ではない。
医者も獣医も大学で6年間学んだ後、国家試験を受けて資格を取らねばならない。
これがまた地獄だ。
5〜6年前の授業なんて覚えてるわけない!
と思うのだが、そういうものがテストに出る。
何ヶ月も遊ぶことなく、起きてから寝るまで勉強の日々だ。
それでも、受からない人もいる。
この国家試験の難しさは、そもそも医者と獣医で問題が違うので比べようがないが、獣医の場合は、下記のような科目が主に範囲となる。
外科、内科、放射線学
薬理、生理学、毒性学、解剖学
生化学、公衆衛生学、感染症学、生物統計学、実験動物学
微生物学、畜産全般、繁殖学、寄生虫学
獣医に関する法律
他にもあったかもしれないが、もう忘れてしまった・・・
今は動物行動学なども入っているのだろうか?
もちろん、授業は他にも医学英語やら何やらあるし、実習も多い。
それらのカリキュラムをこなさないと、国家試験を受ける資格すらない。
授業内容は医者も獣医も、ヒトかヒト以外の動物か、と言うだけで似通っているはず。
ちなみに、獣医が基本的に習う動物の範囲は
犬、猫、牛、馬、羊、山羊、うさぎ、鶏、蜂、魚、その他小動物
である。
恐ろしいのは外科、内科とざっくり言っているが、この中に小児科から、脳やら心臓やらなんでもかんでも入っているということだ。
細分化したら書ききれない。
そして動物種別でも覚えていかないといけない。
覚えることはかなり多いと思うのだが、なぜ医学部より入試レベルが低いのかは謎だ。
そして、何度も言うが、かなり頑張らないといけない割に獣医の年収は低くなりがちだ。
なんだかグチのようになってしまったが、これが獣医の実態である。
入試で合格して6年間学校に通っても、国家試験に受からなければ獣医になれない。
今回言葉にして改めて思ったが、あの頃の自分、がんばったんだなあ・・・
いや、これからも頑張らねば。
刻一刻と変わる、医療・獣医療界は一生勉強し続けなければならない。
明日から週末ですね。
1週間お疲れ様でした!
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