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牧場の八方よし ~「良い牧場」とは~

「持続可能な資本主義」という本をご存知でしょうか。

今回は過去に読んだのとは違う視点、すなわち本書を「持続可能な畜産」のアナロジーと仮定して読んでみた感想を書いていきます。

つまり、本書の随所に出てくる「資本主義」を「畜産」に読み替えて、頭の周りに立ち上がってくるイメージをつかむという作業です。

概要は、利益の追求だけを目的とした資本主義は限界にきているし、それを薄々みんなわかっているけど簡単にやめるとこはできない。

それでも、これまでは違う価値基準の「いい会社」が投資家や消費者から選ばれ、ゆっくりと手堅く成長している。

そのような「いい会社」が増えて、持続可能な資本主義のあり方を、各企業のミクロな活動をつなぎ合わせて模索していく内容です。

ここでいう「いい会社」の条件は2つ

「これからの社会に必要とされる会社」

「経済性と社会性を両立している会社」


そのまま牧場で言い換えてみましょう

「これからの社会に必要とされる牧場」

「経済性と社会性を両立している牧場」

となります。




畜産のこれまでを振り返って

畜産業において鶏と豚は大規模化が進み、法人化されている農場が多いでしょう。

牛はまだまだ小規模家族経営が多く存在していますが

家畜の生産寿命が長いために事業体の変化がゆっくりなだけで

徐々に養鶏や養豚に近づいています。


現に、小規模農家は廃業しているものの

中から大規模農場が規模拡大し、メガファーム化の流れがあります。

規模拡大に対して国の補助金などの追い風もあります。

統計的には、農家戸数は減少しているのに、飼養頭数は乳牛、肉牛ともに増加しています。

農水省 畜産統計

一軒当たりの飼養頭数が増えているとされていますが、みんなが少しずつ増やしているわけではありません。


実際は現状維持の小規模農家と

大規模農家がさらに大規模化する二極化が進んでいます。


小規模と大規模では牛の飼い方も、経営の在り方もまったく変わってきます。

大規模化、法人化の流れが進めば

「農家」というよりも「企業」としての在り方が求められ

「信頼される会社」と「信頼される牧場」は同義となっていくのではないでしょうか。


だから、この本で語られる「見えざる資産」を大切にできる

そういった効率至上主義のその先の

長期的視野で、時間をかけて人財を育成し

健康な牛と健康な土壌を大切にし

牧場を私物化せず、社会に安全でおいしい畜産物を届ける「社会の公器」ととらえる

地域や社外の関係者のことも大切にする

そんな「良き日本の牧場」を目指すことが

持続可能な畜産へとつながると言えそうですね。

本書が提案する「八方よし」の経営

本書が提案する「八方よし」の経営と、牧場の八方よしの例です。
ぜひ皆さんのご意見も聞かせていただきたいです。

牧場の八方よし:寺内イメージ

さて、今日はここまで。


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