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第三回建築洋書紹介 Frank Gehry the Houses フランクゲーリー

今回紹介するのは、Rizzoliが出版しているFrank Gehry the Houses(2009年)です。今までの2冊は一般的に有名な建築家ではなかったので建築家自身の紹介もしましたが、フランク•ゲーリー(1929-)は超有名なので今回は、この本がいかに素晴らしいかという事に注力したいと思います。




ゲーリーの作品集は色々な出版社から数多く出ていると思いますが、本書は住宅にフォーカスしているだけあって一作品が凄まじい数の写真で紹介されています。例えばゲーリーを一躍有名にしたゲーリー邸に、どれだけのページが当てられているかを他の書籍と比較してみると


Frank Gehry Buildings and Projects(Rizzoli)1985年 12ページ

GA ARCHITECT 10 Frank Gehry(A.D.A EDITA Tokyo)1993年 8ページ

Frank O Gehry the complete works (Electa) 2003年 12ページ

Frank Gehry the Houses(Rizzoli) 2009年 90ページ


と他の作品集の比較するとその密度の濃さは段違いだと言う事が分かります。そして本のサイズも24.9×31.5cmと大きく写真も迫力があります。





この作品集は1958〜1995年までの実作、アンビルド住宅を扱っています。カルフォルニア特有のバルーンフレーム構法の住宅から、増築/減築的設計手法、そしてコンポジション的な設計へ至る過程を見る事が出来ます。


ゲーリ自邸は1977-78年に計画されましたが1992-1994年、2003年-2007年(実現せず)と何度か増改築を繰り返しています。ゲーリー邸が何度か増改築されている事は知っていましたが具体的な計画は本書を読むまで知りませんでした。1992-1994年の増改築は子供部屋、クローゼット、プール等の増築、そして一番興味深かったのが2003年-2007年時の増改築案です。自身の二人の息子、そしてスタッフ用に3棟の分棟形式で庭部分に計画されました。






1980年以降のゲーリーがVillageと呼ぶ計画ーBenson House(1981-84)/Smith Proposal(1981)/Frnak's 1982 tract house proposal/the Winton Guest house(1983-87)/ the Schnabel House(1986-89)ーはそれぞれが異なったエレメント、フォームで構成されるというコンセプトに基づいています。そしてこの3回目の自邸の増築案はこの計画の延長上にあると言えます。自邸計画を見ると、ゲーリーのコンセプトの推移の過程が見えるというのはとても面白いですよね。

Villageは実は結構重要なタームなのではないかなと思っています。普段、海外の情報を取り入れるとき、翻訳というフィルターを通して情報を得るわけですが、この翻訳によって意味の受け取りかたが変わってきますよね。今までゲーリーについて日本語で書かれたテキストを読んできましたが、Villageではなく、分散配置であったり、構成というような表現だったような気がします。




ちなみにこの本ですが、結構値段の変動がある洋書ではないかと思います。以前、ロサンゼルスを訪れた際、古本屋で45$程度で見かけたりとアメリカ経由で購入した方が手が届くかと思います。

それではまた✋

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