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ウーバーイーツと「糸井重里氏的」なツイート(1200字)

糸井重里氏のツイート

ホームレス蔑視、生活保護受給者蔑視の文字動画が乱れ飛ぶネット上に、ウーバーイーツ配達員蔑視とも解釈できる極めて「糸井重里的」なツイートが波紋を巻き起こした。これらは何かしら、世論動向を探り、操作したい権力・大企業側の思惑を代弁するものと勝手に私は思っている。

ここに直接リプライされている方々の意見を見てみた。

糸井重里擁護派の論調:食品を扱う人間に衛生観念が求められるのは当然/身なりに気を付けている人を選べるなら300円払う/炎上の意味がわからない
糸井重里抗議派の論調:頼んでみれば?/頼まなければいいのに/届けてもらえる有り難さ/イジメの構図/下界を覗いてみたのか?/自分も過酷な労働環境にいる氷河期世代だから大変だろうなってわかる/自分の心の汚れは?

抗議する側も「頑張ってる人の悪口を言うな」で終始するかに見えたが、そこにポツリ「ウーバーの配達員って労災とか認定されないんだよね」という意見があった。問題はそこだ。「賤しい者は保護に値しない」とでも言わんかのように論点をズラす糸井重里的なツイートの危うさはここにある。

ウーバーイーツ配達員をとりまく日本の労働環境

労働組合の立ち上げから労災の特別加入制度対象者と認められるまでは進んだが、任意自己負担では万が一のときに働き手が救われない。一般労働者であれば労災にまつわる保険料は全額事業主負担。歴然の差。

人件費は企業側からみればコスト。市場原理に任せておけば働き手の立場は圧倒的に不利な状況に置かれる。当初ウーバーの労働組合側が要求していた一般労災加入が叶わなかったのは非常に残念だ。しかもそれが国会閉会直後の労働政策審議会の結果とあれば尚更。

しかも、糸井重里氏のツイートの日時は2021年8月31日。厚労省がウーバーイーツ配達員を労災特別加入可とする施行日は2021年9月1日から。...これは偶然のなせる業?

ステイホーム、リモートワークの普及、飲食店への営業”自粛要請”など働く環境は激変しているのにウーバー配達員は「自己責任」でヨシとするのか?

私が「働き方改革」のことを「働かせ方改革」と常々呼ぶのも、そういった疑問があるからだ。フリーランスやギグワーカーといった従来の労働者性の観念ではカバーできない働き方を作るならば、それに呼応した法整備がなされて当然と考える。日本にも心ある弁護士さんたちが声をあげてくださっていることを心強く思うし、心から応援したい。

海外の事案

すでに米英では配達員の権利保護に動いている。アメリカでも働き手が声を挙げたからこそカリフォルニア州は動いた。

だが、格差社会の解消とまでには至っていないようだ。アメリカのアレクサンドリア・オカシオ・コルテス議員もニューヨーク洪水最中に安全地帯から アプリで注文する人たちに届ける側のことを考えるよう呼びかけている。リスクのある仕事への補償は必ず必要だ。


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