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美術オタクのパリ1人旅④オルセー美術館

初海外の美術オタクがパリ1人旅した記録。ここまでの話はこちらから!

パリ3日目、この日は朝からオルセー美術館へ行きました。パリは主要な観光地がぎゅっと徒歩圏内にあってとても観光しやすい。オルセー美術館も、ルーヴルからセーヌ川を挟んだ対岸にあり、橋を渡るとすぐに着きました。

橋を渡りきった辺りで中国人女性に声をかけられ、セーヌ川をバックに写真をとってあげる。私は生来(?)「写真撮ってください」と声をかけられやすいタイプで、前日のルーヴルでも、「ピラミッドをつまんでいるように撮ってくれないか!」とアラブ系の男性にスマホを渡されました。海外の人って、なんの躊躇もなくスマホ渡してくるので驚く。日本人って信用されているのかな。

以前ディズニーランドで、1日で8回声をかけられたことがあります…

オルセー美術館はミュージアムパスで入る場合時間指定予約ができないので注意9:30開館の約30分前に到着して一番乗りでした。レーンがいくつかありますが、ミュージアムパスの人はC1の列に並びます。

入場の際は荷物検査+金属探知ゲートあり。この後もパリの主要な美術館をいくつか回りますが、どこに行っても荷物検査がありました。私はスリ防止に、基本的にショルダーバッグの上からコートを着ていましたが、スムーズに荷物検査を通るために入場の少し前からバッグを肩から外してスタンバイしていました。

オルセー美術館はもともと駅舎だった建物を使っているので、縦に長く伸びた構造。天井もアーチ型で、細部まで装飾が施してありとても素敵です。
その両脇に展示室が沿うようにあって(前日のルーヴルの経験もあってか)非常に分かりやすい、回りやすい!!

駅の名残を感じる大時計

美術品が展示されているのは1,2,5階で、朝一で入れたらまず5階を目指すのがおすすめ。なぜなら、常に激混みの大時計の裏が空いている&人気の高い印象派作品群を人が少ないうちに見ることができるから!

大時計の裏はオルセーの大人気写真スポット。朝ーに行けば、ゆっくり写真を撮ったり外の景色を眺めることもできます。

ここで、朝セーヌ川沿いで写真を撮ってあげた中国人女性を発見!向こうもすぐに気づき、声をかけてお互いに撮り合いっこしました。

そのまま5階の印象派作品を堪能します。まさに印象派至極のコレクション。

オーギュスト・ルノワールが描いた「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」。

「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」 オーギュスト・ルノワール

画面全体が明るく鮮やかで、多幸感がすごい。
ぼかすような滑らかなルノワールらしいタッチの中に、真ん中の女性2人のアクセサリーのハイライト部分だけ、絵の具を塊ごと置いたようにボコっとしている。

この塊の白色が実物を見た時にハイライトとして効いていて、アクセサリーがきらっと光っているような、とても目を引かせるものだった。
私はフェルメールのハイライトの使い方がとても好きなので、それと似たものを感じて嬉しくなりました。

大好きなマネの「草上の昼食」。
当時はこのシチュエーションと、女性の肌の黄色みが批判を生んだ作品です。でも実物は思うほど全然黄色くはなくて、逆に、いかにそれまでの絵が女性の肌を白く白く理想的に描いていたかがわかります。(いわゆるブルベが美しいとされていたんでしょうか)

「草上の昼食」エドゥアール・マネ

ゴッホの「オーヴェルの教会」。
ゴッホが最期を過ごしたオーヴェル=シュル=オワーズという土地に今もこの形のまま現存する教会です。本当は滞在中に行きたかったのですが、今旅ではスケジュールが合わず断念。オーヴェル=シュル=オワーズにはゴッホと弟テオのお墓もあります、いつか絶対行くぞ。

「オーヴェルの教会 」フィンセント・ファン・ゴッホ

モネの最初の妻カミーユを描いた「死の床のカミーユ」。タイトルにもある通り、彼女がベッドで亡くなった場面をモネは絵に残しました。

「死の床のカミーユ」クロード・モネ

彼女は元々病弱であったうえ、モネのパトロン一家が破産→モネ宅に転がり込んでくるというストレスに晒されて更に弱ってしまい、32歳で生涯を閉じます。
モネはこの後このパトロン一家の奥さんと再婚します(!?)が、生涯この絵は手放さなかったそう。色といい、タッチといい、コントラストの薄さといい、今にもふっと消えてしまいそうなカミーユがとても切ない。

壁の向こうに少し見えている大きな絵はモネの「草上の昼食」。ここにはカミーユをモデルにした若くて美しい女性が描かれています。この位置関係の対比も、個人的にちょっとグッときてしまった。

風に吹かれてふわっといなくなってしまいそう

5階で印象派を堪能した後は、2階・1階を順に回ります。

ずっと会いたかったフランソワ・ポンポンの「シロクマ」。
どこを見てもすべすべ滑らかで無駄なエッジが全くない。そしてお顔が本当に可愛かった🐻‍❄️

クールベの「オルナンの埋葬」。特に歴史の一場面でもなんでもない、田舎のお葬式をこれほどの大キャンバスに描くことは当時サロンの怒りを買ったのだそう。確かに予想以上の大きさだった。

「オルナンの埋葬」ギュスターヴ・クールベ

この作品の横には同じくクールベの「画家のアトリエ」もありました。画家のアトリエは終始人でごった返していて、ヨーロッパでは特に人気の高い作品なんだろうか。

学生の頃、誰もが教科書で習ったであろう「落穂拾い」。派手でもなんでもない、農村のとある風景なのにここまでの存在感よ。

「落穂拾い」ジャン=フランソワ・ミレー

そもそも「落穂拾い」とは、収穫が終わった後の麦畑でこぼれ落ちている稲穂を拾って麦を集めるという貧しい人々の行動のこと。なのでよく見ると奥にはこの土地の本来の農作業者たちが多くいて、この3人の女性は奥の彼らとは(物理的にも雰囲気的にも)明らかな距離を感じます。

旧約聖書には収穫後の落穂は貧しい人たちのために残しておきなさい、という旨の教えがあって、貧しい人たちがこのように拾うことは権利として認められていたそうです。
絵画の対象として最も遠かったであろうこのような立場の人々にスポットライトを当てて、ここまでの名画を生み出したミレー。すごい。

マネの「オランピア」。
想像以上に大きくて、とてもかっこよかった。絵画ってキャンバスのサイズで印象ががらっと変わるから不思議。思っていた以上に大きいと威厳を感じたり、反対に、フェルメールのようにとても緻密な絵なのにとても小さかったり。

「オランピア」 エドゥアール・マネ


この日は5時間ほど滞在して、ゆっくり全ての部屋を見て回ることができました。広すぎず狭すぎず、開放感のある建物で有名な作品にたくさん出会えてとても楽しかった!
パリに行った友人達も「パリの美術館ならオルセーが一番好き!」と口を揃えて言うので、美術に詳しくてもそうではなくても楽しめる場所であることは間違いないと思います。


私は行かなかったけど、館内に立派なレストランがいくつか入っています。とても美味しいそうなので、ここでお昼を食べつつ1日かけてゆっくり回るのもいいなあ。

メンテ中や貸出中で見れなかった作品もいくつかあるのでまた行きたいな。


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