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4月・5月の読了

かなり久しぶりのnoteになってしまった・・・!
実はここ最近、FP(フィナンシャル・プランナー)3級を受験するべく、空き時間は全て勉強に費やしていました。
5月22日に試験があり、自己採点上無事に合格できていそうなので一安心。正式な合格通知が来たら、完全独学での勉強法やコツなどを記事にできればいいなと思っています。

そんなこんなであまり本を読めていなかったため、2ヶ月分まとめてご紹介です。

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同志少女よ、敵を撃て

本屋大賞受賞の作品。本屋さんで見かける機会も多いのでは?
いや、本当に良かった。これは超納得の大賞だと感服した。

物語の時代は1941年〜1945年の独ソ戦。ソ連(ロシア)側の女性狙撃手が主人公。つまり読者はロシア側の視点に立ちながら物語を読み進めていくことになる。
決して今のロシアに肩入れする気持ちは生まれないにしろ、読みながら無意識に主人公セラフィマを応援している自分がいる。彼女や仲間たちを狙い虐げる敵国ドイツ兵のことを憎らしいと思ってしまう。
そんな自分がちょっと怖かった。

ドラえもんの名言で有名な、「どっちも自分が正しいと思ってるよ。 戦争なんてそんなもんだよ。」って言葉、本当的を得てるなあ。

詳しい感想はこちらをぜひ。


彼女は頭が悪いから

こんなに後味の悪い、だれも救われない小説に出会うのは初めてかもしれない。
途中からページをめくる手が止まらなくて食事もお風呂も睡眠もそっちのけで一気に読みきったけど、2016年に実際に起こった事件をもとにした事件なので“面白い”という言葉で軽々しく論じられないような重いものがあります。終始つらかった。

なので、人におすすめしたいというよりも自分の考えたことを書き残したいという気持ち。


「自分は恵まれたあの子とは違うから」と淡々と線を引き、平凡な生活を受け入れ、それが当たり前だった美咲。
彼女が感じる、異性からの好意に対する一喜一憂、“大学生っぽい”行動一つひとつに浮足立つ気持ち、交友関係があれよあれよと広がる様子は、登場人物と同世代&デジタルネイティブ初期の私にとって嫌というほどリアルだた。

自分と関わることはないと思ってたあの人は友人の友人で、ふとしたきっかけで知り合い、仲良くなる。「人気者で有名なあの人」と友達な自分はなんか人生のランクがアップした気がして悦に浸る。昨日までの自分からは一皮も二皮も剥けた気がして、これが大人の出会い方や遊び方なんだと思う。大学生はそういうことの連続な気がする。

つばさを筆頭とした東大男子学生たちの一言一句に見え隠れする見栄や自己陶酔、自分以外を見下す意識あらゆるものを活字で浴びて、後半めっちゃしんどかった。笑 

美咲はあまりにも純粋だったし、「いや素直すぎるよ・・・」とつっこみたくなる場面は正直何度もある。だけど、それに勝る男子学生たちの“肩書に似合わない“思考の気持ち悪さがすごい。姫野カオルコさんの文章力、表現力が素晴らしかった。

自分の容貌の欠点はブルジュ・ハリファビルの屋上に上げて、彼らは嘲笑をLINEで共有する。

ぴかぴか、つるつるのハート」という表現が文中に何度か出てくるのだけど、彼らの「傷つけられず、折られず、常に持ち上げられ尊重され大事にされてきた人生」を絶妙に形容していて個人的にとても印象深かった。

しかし世の中には、ハートにバンドエイドをはる必要など、一度もなかった人間もいるのだ。ハートがぴかぴかのつるつるで、きらきらしていれば、できごとは、できごとが表に見ている通りにしかわからない。

この本の何が後味悪いかって、事件の全容もそうだけど何よりも加害者たちにはおそらく本当の意味でダメージが効いていないということ。
このぴかぴかのハートのおかげで、彼らは裁判所の決定に対しても自分の非がわからずに「なんで?」とピュアに思ってしまうのである。こわいこわいこわい。


平成31年の東京大学入学式の祝辞で、上野千鶴子さんがこの本について言及されたそうです。(全文はこちらから読めます)

東大生とは何なのか。
東大生ではない私たちは彼らをどう見て生きているのか、私たちはいかに完璧な人間像を「東大生」に求め、偶像を作り出していたのか。
そういったものの嫌な部分だけじんわりあぶり出されるような、そんな本。

あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。ですが、冒頭で不正入試に触れたとおり、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです

平成31年 東京大学入学式祝辞より抜粋


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