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サスティナブルな日本文化「漆塗り」

連日続いていた豪雨がようやく止み、青空が覗いてきたこともあり、散歩を兼ねて書店へ出向きました。

昨今の書店は書籍のみならず、文具はもとより、コスメやTシャツなど、様々な物販や展示が行われていますが、先日出向いた書店でも御多分に漏れず、艶やかで美しい光沢を放つ「漆塗り」の展示が行われていました。

しかしなぜ書店に漆塗り?
そもそも漆とは?

実はよくわかっていなかったので調べてみました。
漆は、ウルシの樹皮に傷をつけ、そこからにじみ出てくる樹液を採取したもので、ウルシはアジア圏のみに生息している落葉高木。

漆の主成分は、ウルシオールラッカーと呼ばれ、酸化することで硬くなり、耐久性、耐水性、防腐性が高く、水にも酸にも、アルカリにも強くなるという特徴があり、さらには、抗菌、殺菌、防虫効果もあり、あらゆる塗料の中で日本の漆が最も丈夫だともいわれているそうです。

おおお~っ!!
向かうところ敵なしの塗料じゃないですか!!

しかしそんな無敵な漆塗りに一つだけ残念なことがありました。
価格が高いんですねぇ...

ではなぜ高価なのか?
結論から先に言いますと、長い工程と人件費、材料費がその理由のようです。

伝統工芸品である漆器の製造工程はなんと100以上もあるようです。
また、一人の職人さんを育てるにも時間とコストを要します。

とはいえ、こうした良質な器は、丈夫で長持ち。
使えば使うほどに風合いや艶が増していき、次世代まで使えることを考えると、決して高価とは言えないのかもしれません。

ちなみに、この漆は木工の器のみならず、金属にも使用できることを最近になって知りました。

こちらの書店でも漆塗りされた美しいフォルムのマウンテンバイクが展示されていました。(これ、めちゃくちゃカッコいいです!)

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そしてそんな漆塗りが今回書店に展示されている理由ですが、それはズバリ、漆が「サスティナブルな塗料」であるということに他ならないでしょう。

サスティナブルとは、「持続可能な」という意味で、主に自然にある資源を長い期間維持し、環境に負荷をかけないようにしながら利用していくことを指します。

また、「サスティナブル」の語が社会に周知されるようになったのは、2015年9月の国連サミットにおける「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された「持続可能な開発目標(SDGs)」からです。

書店は、知的好奇心の強い人が多く集まる文化発信地という側面を持っています。

そうした人々にこちらの書店が今最も伝えたいことが、「サスティナブルな日本文化」としての「漆塗り」だったのでしょう。

そんな「漆塗り」の展示は、9月5日まで、京都岡崎の蔦屋書店で展示されています。

平安神宮や美術館、動物園に出向かれた際は、ぜひこちらにも立ち寄られて「サスティナブルな日本文化」に触れてははいかがでしょうか。



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