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スポーツ選手選考の「AO入試化」・「体験商品化」で人材を確保する方法

スポーツは、多くの分野で人材不足と資金不足に陥っている。純粋なボランティアでは継続が出来ず、頻繁に横領や運営停止が各所で見られている。これを解決する方法として、「AO入試化」を提案したい。

AO入試は、多様なスキルや一芸、場合によっては寄付額等で大学の合格者を選考する方式である。これをスポーツの選考に加えることで、協会の発展狙えるのではないだろうか?

なおここで想定しているスポーツは、主にオリンピック実施競技以外等で知名度が高くないスポーツ全般特にチームスポーツを指す。

運営と競技の融合・両立

繰り返しになるが、小規模な団体では、運営には金銭的な余裕がなくボランティアになる。一方でボランティアでは、何かしらの明確なメリットがない限り、長くは続かないことはよく知られている。

ここで、多くの運営関係者はスポーツに興味がある現役の選手(や元選手)である可能性が高い。選手は多くの場合、より上の大会や世界大会に出てみたいと考えている人は多い。

そこで、運営に有効な人材を積極的に選手としても採用することで、その選手枠と引き換えに、運営をやってもらう方式はどうだろうか?

AO入試化・総合型選抜

スポーツは、基本的に該当の競技の実力のみで選抜をしてきた。しかしながら、この方式であれば、単に競技レベルが高いだけの人材に偏りがちである。

そしてオリンピックメダリストやプロ野球選手の引退後がおおむね悲惨なように、「スポーツだけ」をやった結果、大体30代で人生に行き詰まる傾向がある。そしてそれらの人材はひたすら使い捨てにされ続けることになる。

スポーツの競技だけを考えれば、それでよいのかもしれないが、特に競技人口が少なかったり、メディアに露出が少ないスポーツでは、一部のプロスポーツと比較し、広告費などが付きづらく、慢性的な人材不足に陥っている。そして資金も不足しているので専門職を雇う余裕もなく、ボランティアでは疲弊してしまう。

そこで、多くのスポーツで競技者としては少なくとも「勝ちたい」「上に行きたい」と考える人は多いだろう。特に「一回で良いから日本代表になってみたい」というあこがれや夢を持つ人々は多いことだろう。

これらをうまく使って、継続的な発展を目指す方法として「選手選考のAO入試化」や「体験商品化」を提案したい。スポーツの実力のみならず、運営や業界の発展に貢献する可能性が高い人材を積極的に選手として採用する方式である。

一般的な協会の運営に必要なスキル一覧である。

ここで選手選考の「選手」は、県の代表や日本代表などの選手としては重要な選抜された人々を指す。

以下、一定のスポーツの能力があるという前提の下で以下のような属性を持つ選手を優先的に採用することを考える。

監事(弁護士・会計士枠)

社団法人や公益法人には、監事という職位がある。これには主に弁護士や公認会計士という資格保持者が望まれる。類似案件として、選手の親が弁護士や会計士で、その選手を選手として採用することで、在任中は弁護士や監事を受け入れてくれるような方式もありうる。

利益相反上問題がないわけではないが、そこまでの費用を鑑みる余裕のある団体は非常に限られており、大半の団体にはそのような余裕はないだろう。

IT・マネジメント枠・等など

運営やITなどが出来る人材も重要である。1年間マネジメントを担当してもらう代わりに、枠を融通しよう。

広報枠(見た目・事務所等)

スポーツが強いよりも、見た目が可愛い・タレント性がある、バックに強力な事務所が付いている、などの方が価値が高い。実際にオリンピックの選手などの報道も注意深く見るとそういう傾向がある。よって、「見た目がいい」人を採用する。

寄付枠・オークション枠・スポンサー枠

「日本代表選手パッケージ」を体験商品化して、1年契約で販売するのもありだろう。ウェブサイトへの掲載、自分の名前入りのユニフォームなど、体験してみたい人口と需要はかなり高いだろう。

そこで、いくつかの枠を、寄付金額やオークションの入札額が高かった人・スポンサー額で枠を予約できる制度はどうだろうか?これであれば、スポンサーの思惑通りの人材を指定できる。これはまた別の記事でまとめておきたい。


上記のように、運営に明確にプラスになるスキルや属性を持つ人を「仕事枠として優先的に採用する。もちろん他にも固有なスキルは適宜応変に枠を創ったり減らしたりすればよい。

一般枠

そして残りの「一般枠」が該当のスポーツの実力だけで選考をする方式である。これは、スポーツの強さだけで選考すればよい。

機会損失・枠の無駄遣い

もちろん、金や権力が大きく動く業界では上記の一般枠で競技レベルだけを上げること(とスター性やタレント性が強い選手)が、スポンサーの意向としても望ましい。

一方で、それ以外のスポーツでは、正直「競技が強い」ということに、そこまでの客観的な価値がない。世界大会で最強クラスであっても、ネタになるなど、ほんのちょっと程度である。たまにマスメディアに呼ばれて一芸を披露するくらいだろうか。

逆に言えば、「県の代表になりたい」や「日本代表になりたい」という人が多い中で、ただ「このスポーツは強いけど、それ以外にこれといった取り柄がない人材」を代表に据えることは、ビジネスや発展の機会を一種無駄遣いしていることになる。個人競技ならいざ知らず、団体競技なら猶更である。

課金アプリ・課金ゲームならぬ課金スポーツ

課金ゲームや課金アプリがある程度市民権を得ているのだから、課金スポーツもあってもよいのではないだろうか。そもそも現状のスポーツも英才教育には多大な額がかかるので、直接的に入札するか、間接的に設備で支援するかの違いだけで「経済ドーピング」としては多かれ少なかれ同じ状態である。チームスポーツでも巨額の移籍金で引き抜くなど、やはり経済的な側面は無視できない。

そしてスポーツは本来娯楽である。コロナ下での対応でもわかるように、なくてもよい贅沢品である。多くの人が興味がある贅沢品の値段が上がるのは自然な流れである。

セカンドキャリア・デュアルキャリアにも有効

セカンドキャリアは度々問題になる。スポーツだけを頑張るためにフリーターをしていた人が、いざスポーツを引退すれば、晴れて専業のフリーターになる。しかし、スポーツで人より上に一瞬でも立ってしまった経験からも、落差が受け入れられづらいなどの弊害が存在している。

これも冷静に考えると、粉飾決算で上がった株価のような位置づけで、スポーツを引退したら「元に戻る」というだけなのではあるのではあるが、心理的には問題である。

一方でスポーツをやっていた弁護士や会計士、医師がスポーツを引退すれば、晴れて専業の弁護士や会計士、医師になる。これならセカンドキャリアとしても順調だろう。

さらに「医師や弁護士・会計士や資金が寄付できるような人材になれれば、スポーツでも日本代表になりやすい」ということが少年少女に広く認知されれば、スポーツがやりたいがために必死に勉強する人たちが増えるだろう。これはおのずとスポーツ選手のセカンドキャリア問題を解決させる。

そして「スポーツだけの人」の数を減らしていくことによって、引退後に困る人の人数を減らすことが出来る。

スポーツの地位向上にも有効

「スポーツの地位向上を!」というのは度々話題になる。これはデュアルキャリア・セカンドキャリアとの関係も強い。スポーツ選手が引退した後、改めてなるものが30代・40代フリーターでは確かに地位が低く見えてしまう。

一方で、スポーツ選手が引退した後、弁護士や会計士・医師や資産家などであれば、別に地位は低くないだろう。そしてそういう人たちが集まるスポーツと認識されれば、そのスポーツの地位は高いと認識されることになるのではないだろうか?

スポーツは「アマゾンのアドオンアイテム」

そして社会的地位が高い人材の方がネットワーク的にも、実務的にも仕事が出来る人材である可能性が高くなる。正に関係者全員が得をする選抜方法と言える。

もちろん日本におけるサッカーや野球程に規模が大きくなってきたら「一般枠」だけで選考しても問題ないだろう。しかしそれでも問題が減らないのであれば、スポーツ選手の採用の「一般枠」を廃止する方向に向かうのはどうだろうか。要するにスポーツ選手の選考をスポーツの力だけによって見極めるのを止めるということである。

「スポーツの突破力は他の分野でも成り立つ!」のような話は分かるが、これも一定以上の学習能力がある前提の上で成り立つ。

スポオーツはアマゾンのアドオンアイテムのようなもので、単体だと買えないが、他の属性と組み合わせると効果を発揮する。

このような方式を取れば、資金がないなりに有効な人材を集めることが出来る。普及にも貢献出来、選手の引退後のキャリアとしても高い安定感が予想される。

仕組みと構造から、発想の転換と、捉え方を変えてみるのがいいのではないだろうか?

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