アスリートとセミ
スポーツと関連する事柄を心のスイッチを切って仕組みや構造を考えるシリーズ。
アスリートを取り巻く仕組みや構造が「宝くじ」や「ローマ時代の剣闘士奴隷」・「猿回しの猿」等に酷似していることを取り上げてきた。今回はセミである。
一般的にアスリートはより強く、より高い目標を目指すために日々の練習を積んでいる。来る日も来る日も。2020年に日本で開催されるオリンピック。オリンピックに2回以上出場できる人は非常に限られている。このため大半の人にとっては一生に一度の2週間を堪能することになるアスリートが多いだろう。
昆虫のセミは、幼虫として土の中で何年も耐え、地上に出てきたかと思ったら1-2週間で激しく鳴き、命を落とす。この「下積み」と「スポットライト」の比が酷似していないだろうか?
セミはどうしてすぐ死ぬの
幼虫のときのからをぬぎすてて、成虫になったセミは、卵をうんで自分の命を次に引きついでいくという大事な仕事がのこされています。ところが、それをごく短時間にすまさなければならないのです。
このひみつは、セミの体にあります。親になったセミの体は、おすは飛ぶことと鳴くことだけに、まためすも飛ぶことと卵をうむことだけに、つごうよくつくられているのです。体が、長生きするようにはもともとつくられていないのです。親のセミは、せいぜい10日から2週間の命で、その時間を生きるために、木のしるを少しすうだけです。
親ゼミの仕事は、卵をうむことだけですから、その間生きていられればいいわけです。ですから、親のセミは長生きしないのです。
どうしてアスリートはすぐ目立たなくなるの
長いトレーニングと下積みを終えスポンサーがつくようになったアスリートは、世界大会に出場してスポンサー企業の名前を世界に宣伝するという大事な仕事がのこされています。ところが、それをごく短期間にすまさなければならないのです。
このひみつはアスリートとスポンサーの仕組みにあります。スポンサーがついたアスリートは、スポンサーの宣伝をすることだけに、つごうよくつくられているのです。アスリートが長いこと生活できるようにはもともとつくらられていないのです。アスリートの全盛期は、せいぜいその期間を生きるために少しだけメディアに出るだけです。
スポンサーがついたアスリートの仕事は、スポンサー企業を宣伝することだけですから、その間だけ目立つ生活ができていられればいいわけです。ですからアスリートは長い間活躍しないのです。
決定的な違い
セミは散々華々しく騒いだ後に、すぐに命を落とす。要は全盛期で命を落とす。このため「生活レベルが下がる」ことがない。
一方で、アスリートは、昨今の選手の寿命とヒトの寿命を考えると、選手として活躍し引退した後の人生の方が長い。仮に35歳で引退するとすると、寿命100年の人生で残り65年の引退後の人生が待っている。そこで命を落とすわけにはいかないし、幼虫に戻ることもできない。一度注目を浴びてしまった以上、過去の人になるのはどうやっても避けたいといろいろと試行錯誤をするが、現実はそんなに甘くない。
なお幼虫のまま成虫にならなずに命を落とすセミもいるように、大会で勝てず、スポンサーもつかず、全く日の目の見ないアスリートも多くいることを考えると、その後はどうであれ、一瞬でも日の目を見ただけでも、まずは満足すべきなのかもしれない。
周期ゼミ
周期ゼミというもはやそれっぽいセミまでいらっしゃる。13年や17年頑張り、一部が一堂に会し散っていく様子。
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