見出し画像

退職します②-地域と認知症-

楽しく生きる

ムーさんを初めて見たときの印象は【厳つい奴】でした。身長185cm位あり、坊主頭で色黒。
自分より5つ歳上の彼は、元々障害者福祉の分野で働いていたそうで、高齢者の介護現場で働くのは初めて。ケアマネ兼介護職として入社してきました。

5つ歳上とはいえ、スタッフは割と年配の方や女性が多かったこともあり、歳の近い男性スタッフ同士、仲良くなるのにそこまで時間は掛からなかったですね。

で、仲良くなってくると職場に対する不満や想いを話す機会が多くなり。まぁ職場は安定のブラック企業なんで幾らでも愚痴は出ますが(笑)
どっちかっていうと高齢者福祉・介護の世界に対しての話が多かったかな?

障害者福祉で働いていた彼にとっては、介護サービスの柔軟性の無さや、認知症の方に対する扱い、その他諸々疑問だらけだったそうで。
自分は介護の経験が無く全く未知の世界でしたが、働いてみて変に感じる事は多々ありました。
「将来自分が介護が必要になったとき、介護サービスを使いたいと思えない」
自分が働いている施設に、自分自身が入りたくないっておかしいっすよね。

そんな話をしてからだったかは覚えてないですが、ムーさんとレクリエーションを始めとした企画を立て、実行しました。
当時完成したばかりのスカイツリーに皆で行ったり、プラネタリウム見たりと、色々やりましたね。

高齢者だから、認知症だからとか関係無く、皆が行きたいとこに行く。利用者もスタッフも楽しめるように。

まぁ若い2人なんで、割とめちゃくちゃな事や計画性の無さで周りに迷惑を掛けたこともありましたね。その尻拭いは毎回ガタキチに任せてました。

自分とムーさんが何かやる→ガタキチが後片付けするみたいな図式(笑)
ガタキチすまん!

迷惑かけまくってる(現在進行形)ガタキチは、社交的ってタイプでは無いけど、人と仲良くなるのが上手い。
事業所は商店街の中にあるんですが、商店の人とかご近所さんと仲良くなるんですよね。業務に関係ないような店でも。
【地域創り】なんて社会福祉士の勉強で出てきますが、それを知識無しで出来る、まさに天然ソーシャルワーカーですね。ガタキチが地域の人と仲が良いおかげで助かった事例は数知れず。

「認知症であろうが関係ない。地域で楽しく生きる」
そんな事をこの頃に学んだ…ってか、この日々が自分の福祉の核になったように思ってます。

さらばムーさん

そんな日々が続いた2015年の秋。介護福祉士を取り、それなりに介護の経験を積んだ時期。
ムーさんが退職すると言い出しまして。理由としては法人に嫌気が差してってとこが大きいようでした。給料低いし、上層部は事業所のことは放置ですし。家庭を持っている身からすりゃ、こんなとこで何時迄も働く理由なんてないですもんね。

この毎日が終わるなんて考えても無かったので、割とパニックに。
残された職員の中にはムーさんと一緒に辞める人もおり。

「自分も一緒に辞めようかな」と思いつつも、中々その勇気が出なかった。他の場所で自分が通用するのか・馴染めなくてすぐに辞めちゃうのでは。
楽しかった日々を過ごしたからこそ、退職って決断が出来ませんでした。

結局自分とガタキチは残るという決断をしました。
ムーさんはケアマネ業務以外にもシフトなどの管理業務もしていた為、その部分は自分が引き継ぐことに。
1番年下の自分が、既に1番の古株となった職場。何処まで出来るのか不安でした。因みに上層部は我関せずと関わっても来なかったですね…ブラック企業万歳!

2016年1月に新たなケアマネとしてオッさんが来ましたが、偉そうな事だけ言いながら仕事せずに2ヶ月で辞めていきました…クソだな。
事業所の空気も落ち着かず。

そんなムーさんとの別れを経験し、「こりゃもう駄目だ」と思いながら迎えた2016年4月。新たに30代後半の男性のケアマネがやってきました。

ムーさんとの日々が自分にとって【福祉の核】になるのなら、彼との日々は【福祉業界での戦い方】を学びました。
自分の福祉専門職としての人生に影響を与えた人物がもう1人登場するのですが、長くなったので次回に。

また逢いましょう。

この記事が参加している募集

この経験に学べ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?