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アメリカで出会った100の光景 No.23<大自然の絶景>マウントレーニアの氷河を臨む

標高4,392mのマウントレーニアは、はるか遠くから目にするだけでも大迫力。
シアトルから近いこの山、シアトルに発着する飛行機からも端正な姿を見ることができる。富士山みたい、と思っていたら、すでに「タコマ富士」とい呼ばれていた。なぜシアトル富士じゃないのか、というのは、国際空港の名前がシアトルタコマ空港ということから想像して欲しい。答えは知らない。

山は、「そこにあるから上る」よりは「遠くから眺めるもの」派のわたしではあるが、冬季のクローズまでもう少しという時期、といっても夏休みの9月、トレイルを登ってみることになった。
「パラダイス」という中腹の地点から、スカイラインという8kmのトレイルを行く。低い草が生えている見通しのいい緩やかな山道の中に作られたトレイルは、気持ちのいいハイキングコースという感じ。
アメリカでよく見かける、足首は細いけど膝から上がとたんに太くなる、いかにも膝に負担がかかっていそうな体型のおばさんも杖をつきながら歩いている。

正面にそびえる大きな山に向かって歩いていく。
途中からだんだんきつくなってくるのは、トレッキングのお約束。
ダイナミックな風景の中には、こんなかわいいノソノソしたマーモットの姿も。すさみかけていた気持ちが一気に和む!

氷河を眺めるポイントまでやってくると、登ってくる人もかなり少なくなってくる。
間近に見える氷河を前にして、自分がここまで来たことに素直に感動する。


翌日、反対側の「サンライズ」からアプローチして驚いた。
広い駐車場には車が数台ポツンと止まっているだけ。ビジターセンターも閉じている。車から下りれば、すぐに前日との気温の違い、風の強さの違いが感じられる。
歩いても大丈夫なんだろうかと思う不安感でいっぱいになりながらも、せっかく来たんだからと歩きだすと、山の表情の違いに驚かされた。

日を浴びて輝く氷河は、おいでおいでと言っているようだけれど、狭いトレイルは大小の岩が転がっていて、何よりも寒い。霜柱が立っている。

昨日、草で黄色に見えていた山肌は、小さな岩が覆う白い山肌に変わった。
氷河が遠い山肌に見える。重なりあう白い山。冷たい風が景色をますます寒々しいものにする。

更に上を目指す人の安全を祈りながら、わたしたちは「ここから先は自信のある人だけ」という注意書きがある地点で折り返した。

帰りは、下るだけだから楽。とはいえ、なかなかのガレ場。慎重に歩かざるを得ない。

ともあれ、レベルによって、季節によって、天気によって、いろいろな景色が楽しめる懐の深い山だということは間違いない。

マウントレーニア国立公園(ワシントン州)
Mount Rainier National Park


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