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同じ穴のむじな

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大学に入学し、アパートに下宿したが、「おんな」に翻弄される毎日。
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#実験

同じ穴のむじな(12)愚行

同じ穴のむじな(12)愚行

横山尚子と「化学実験」の実験パートナーを組んで三か月以上が過ぎた。
「最初の『アルミの陽極酸化』の実験な、あたしC判定やってん」
「おれ、Bもろたで」
「たしか、一緒に書いたやんなぁ。ほんで、いろいろ書き足して出し直して試問を受けたらAもろた」
「うそ、Aもろたん?おれ、まだいっこもAないで」
昼食の時に、学食でカレーライスを食いながらおれたちはそんな会話をしていた。
「あれって、ブリッジ回路を使

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同じ穴のむじな(7)尚子

同じ穴のむじな(7)尚子

実験パートナーの横山尚子と話す機会も増え、実験の日のお昼には必ず彼女と学食に通った。
「その子やったら知ってるわ」
尚子に、つい小西由紀のことをぐちってしまったおれだった。
「なんで?」
「この大学には女子学生だけの校友会が作った集まりがあるのよ。そこで建築科の小西さんやったっけ、来てたから、いっしょに飲む機会もあってん」
「へぇ」
「湯本君はその子とつき合ってたんや…見かけによらんねぇ」「つき合

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同じ穴のむじな(3)同級生

同じ穴のむじな(3)同級生

女のすすり泣くような声が聞こえる。
おれは、夜半に目が覚めた。
柏木という隣の男の部屋からその声は聞こえた。
柏木氏らしい男のこもった声も聞こえる。
「どや、ここは?」
「いや、いや、そんなとこ…」
あの女の声に違いない。
おれは確信した。
二人は、なにやら秘め事をおこなっているらしかった。
おれはゆっくり、壁に近づき耳を当てた。
「もう、びしょびしょやでぇ」「そんなん、言わんといて」
間違いなく

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