笠木颯太/Sota KASAGI

笠木颯太/Sota KASAGI

最近の記事

ピアノが弾けない僕がショパンの音楽を考えたらどうなるのか、検証します。

ショパンの音楽の内側  皆さんはショパンの音楽を聴いた時、どんな感情をイメージするでしょうか?僕はパッと聴いたイメージだと、ビビットカラーというよりパステルカラー、楽しいというより幸せ、悲しいというより切ない、などのように、どちらかと言うと淡い?表現が似合うイメージを抱いていました。  最初に言ってしまいますが、僕はどちらかと言うとショパンの音楽が苦手な方です。それは単に感情剥き出しの音楽が得意な僕とショパンの淡い表現が上手くマッチしないからなのかというと、どうもそれだ

    • 作曲者の諧謔に弄ばれた演奏家~プーランク シンフォニエッタ

      今年の桐朋祭でも様々な曲との出会いがありました。 その記録を、しばらくはしていこうかなと思います。 今回は、M交響楽団のメインとして演奏した、プーランクのシンフォニエッタについてです。 僕が近代フランスものを苦手な理由  近代フランス音楽と聞いて多くの方が思い浮かべるイメージといえば、あの独特の「軽さ」だと思います。プーランクのようなフランス6人組なんかはその特徴が顕著に現れていますよね。僕、実は多くの近代フランスものが持っているその「軽さ」にまあまあ苦手意識を持って

      • 零れ落ちた幸せ

        ふと、過去に自分が書いた作品を振り返りたくなる時がある。 特に理由はない。自分でもなぜだかは分からない。 ある眠れない夜の日も、去年自分が書いたとある作品を聴き返していた。 ………なんて愛の溢れた曲だろう。 これを書いていた頃の自分は、確かに愛のある幸せに満ち溢れていた。 限りない(と思い込んでいた)愛を知り、その愛に抱かれ、その愛を生きる希望としていた。 あったかかった。 しかし、もうこの幸せはその後、この手から零れ落ちて、砕けてしまった。 この幸せを失った

        • 必死~シューベルト 弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」

          Irisシリーズ、ラストはシューベルトの死と乙女です。 挑戦ふたたび  死と乙女も、ウェーベルンの緩徐楽章同様、3年前の演奏会でもメインとして演奏したため、9/3の演奏会で二度目という事になります。そのため、この曲がどれだけヤバいかという事も今回の合わせをする前から身をもって感じていました。この曲のどのへんがヤバいのかはまぁ聴いてみて感じる通りです。ここまでの長時間を表現的に休む箇所無く突っ走る弦カル作品は後にも先にもこの曲だけなような気がします。個人的にはこのような作品

        ピアノが弾けない僕がショパンの音楽を考えたらどうなるのか、検証します。

          まあまあ最近を追憶しながら~ウェーベルン 弦楽四重奏のための緩徐楽章

          Irisシリーズ、第2弾はウェーベルンの弦楽四重奏のための緩徐楽章にまつわる話です。 好きじゃない作曲家の好きな部分  ウェーベルンといえば、シェーンベルクが発明(?)した十二音技法を一層進化(というより退化)させた作曲家としてよく知られていますね。実はウェーベルンの音楽は個人的に近代音楽の中でも一番好きになれないジャンルでした。(そもそも十二音技法の音楽自体が好きでは無いのですが)あんなに無表情ですっからかんな音の散乱をどう解釈したらいいのか、僕には理解出来ませんでした

          まあまあ最近を追憶しながら~ウェーベルン 弦楽四重奏のための緩徐楽章

          はじまりは一日の終わりに~モーツァルト弦楽四重奏曲第15番

          こんにちはおはようございますこんばんは。 笠木颯太です。 先日、Iris Quartetの最初の演奏会が終了いたしました。ありがとうございました! また事後録になってしまい申し訳無いのですが、今回演奏した曲についての話をまたしていきます。 第一弾はモーツァルトの弦楽四重奏曲第15番です。  少年なりに感じた「哀しみ」  僕がまだ小学生で、クラシック音楽をよく聴くようになってきたぐらいだった頃の話です。我が家にモーツァルトの生誕250年記念のベスト集みたいなCDがあ

          はじまりは一日の終わりに~モーツァルト弦楽四重奏曲第15番

          消えた光

          ※この記事には、僕の本当の心の内が表現されているセンシティブな部分が含まれます。ご了承ください。   時が止まった闇のドームの中で ……………… 一体どこをどう間違えてこんな所に閉じ込められたのだろうか。 僕を囲む闇のドームの中は時が止まっている。 ドームの外にはぼんやりとたくさんの光が動いている。 どうやらドームの外は時がちゃんと動いていて、時が止まっているのは中だけらしい。 しかも、そのたくさんの光は、ドームの外で楽しそうに動いている人々によって、まるでポケ〇ンボ

          荒波に立つ希望と覚悟~ブラームスチェロソナタ第1番

          こんにちはおはようございますこんばんは。 笠木颯太です。 先日、兄弟デュオ演奏会が無事終演いたしました、ありがとうございました! 書く時間が無くて事後録になってしまったのですが、この演奏会のメインであったブラームスのチェロソナタ1番についてここでは話していきたいと思います。 チェロソナタ1番は暗い作品?      演奏会の1週間前ぐらいの時に、プログラムに曲解説を書くためにブラームスのチェロソナタ1番についてをネットで調べてみました。(もっと早くやれよってね、次から

          荒波に立つ希望と覚悟~ブラームスチェロソナタ第1番

          海の上のピエロ~ドビュッシーチェロソナタ

          こんにちはおはようございますこんばんは。 笠木颯太です。 今回は、7/23の演奏会のオープニングを飾るドビュッシーのチェロソナタにまつわる話です。 消した思い出は蘇らなかった  この間、久しぶりに海に行きました。忙しくてなかなかできていなかった気分転換をしに、というのもありますが、この時の一番の目的は、次週に控えた演奏会のイメトレでした。この演奏会のプログラムに、偶然にも海というイメージを勝手に持っている曲が多かったのです。特に、今回お話するドビュッシーのチェロソナタ

          海の上のピエロ~ドビュッシーチェロソナタ

          真夏の夕暮れの森にて~バッハ無伴奏チェロ組曲第6番

          こんにちはおはようございますこんばんは。 笠木颯太です。 早くも第2回更新です。 話したい事がたくさんあるのでしばらく更新が頻繁になるかもです。 今回は、これを書いている今は実技試験前ということで、せっかくなので、試験で弾くバッハの無伴奏チェロ組曲第6番にまつわる話をしたいと思います。 チェロ一年目が旅先でバッハに出会ってみたら  バッハの無伴奏チェロ組曲が自分にとってかけがえのない作品だと言うチェロ弾きの方は多いかと思いますが、もちろん僕もそのうちの一人です。僕

          真夏の夕暮れの森にて~バッハ無伴奏チェロ組曲第6番

          消したい思い出に限って

          こんにちはおはようございますこんばんは。 笠木颯太です。 note再開しちゃいました。 日常でふと思ったことをたらたらのぺのぺと綴っていきます。よかったら見守ってあげてください。よろしくお願いいたします🙇‍♂️ 近況報告  さてさて、ココ最近の僕はといいますと、「なーんかいい事ねぇかなぁ」って感じです笑。そのくらい、2023年度に入ってから、いつもよりペース早めに不幸な出来事がびゅんびゅん襲ってきました。コンクール落選、度重なるプライベートでのトラブル、友人の死、な

          消したい思い出に限って