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中学校教師 #47 (完)主体的に学ぶための指導


4月から中学校で勤務しています。
いずれは小学校に戻ることを考え、この経験を記録に残そうと思います。
異動の経緯や考えは下記参照


三平方の定理 「個別最適な学び」に挑戦!

章の導入はこんな感じ

いい感じの導入だったと思う。

前回までの挑戦

しっかり記録できたのは良かった。


現在地

3クラスともに三平方の定理の単元の学習が終わりました。
レポートを回収しました。
そして、私立高校入試を挟み、来週単元テストを行います。


生徒の姿の声

私にとっても挑戦だった単元。
生徒の声とともに全体の振り返りをしたいと思います。

Q1 三平方の定理の授業の満足度は?

(授業の進め方や自分の学ぶ姿について総合評価)

授業者(私)の評価ではなく、自分の学ぶ姿についても振り返りをしてもらったので、生徒も自分で満足できるような学びにすることができたと実感しているようです。


Q1について(満足度)の理由  一部抜粋(原文のまま)


【学びのベースキャンプ(Canva)】
・自分で考えて、分からなかったら学びのベースキャンプを見て解き方や解説を見て答えにたどり着くことが出来た。けれど、学びのベースキャンプを見ても分からないときは、友達に解き方を教えてもらいながら、解くことが出来た。 学びのベースキャンプがあった方がいいと思った。


【学習の進め方 ペース】
・自分でいろいろな問題に挑戦しようとできたから。
・自分のペースで進めることができたので、リラックスしながら授業で問題を解くことができた。
・最後まで自分で解こうとする力が身についたかなと思いました。
・オクリンクで学ぶのはやりやすかった
・問題をタブレットで表示して小集団でどんどん進めていくやり方が良かった。
・レポートも少しずつ分けてくれた方がやりやすかった。
・授業の進め方や学ぶ姿はよかったと思う。けれど難しく解けなかった問題はすごく時間がかかってしまったりしてしまった。
・自分のペースで進められ、自分の必要だと思ったタイミングで解説やレポートをできたことが良かった。わからないところがあったら友達に聞きながらも、自分の力で解けるものが多くなったから。
・自分の力で解き進めるか、ヒントを活用しながら進めるかなど色々な学びのコースを選べて、定着したと思う。レポートを定期的に出すことで、1回1回しっかりと学びが定着しているのかを確認しながらできた!


【協働的に学ぶ】

・みんなと協力して問題を解決することができたし自分のやりやすい勉強の仕方ですることができたから。
・小集団で話し合ってできたりしたから。理解が深まったから。
・わからなかった問題を先生や友達に聞きできるようになった 少しづつ授業をしていくごとに学べることが多かった。
・友達と相談しながらできたから。人に教えることで理解力が高まった。
・自分で考えながらもいろんな人に聞けるから タブレットでやることによってほかの人の考えがみれる。
・自分のペースで進められた。分からないところは小集団や隣の人と共有して、解くことができた。
・友達に相談をすぐにできるし、その時以外は自分一人で黙々と学習できたから。
・友達と小集団で学ぶことができ、自分にあったペースで進めることができたから。

【レポート】
・三平方の定理を利用してレポートの難しい問題も友達と協力して、解けた。 分からないところを教えてもらったり、教えることができて自分の理解をより深めることができた。基礎問も利用して、自力で解ける問題を増やせた。
・レポートが3枚あることで、定期的に学習が定着しているか確認することができたから。

【生徒個人の学び方・意識】
・考えることが楽しい単元だったから。
・三平方の定理がどんなものかを理解した後に応用の問題弦の長さや座標の問題を解くことができスキルアップすることができたと思います。三平方の定理の苦手なところも挑戦をすることができました。
・基礎を忘れずに使えたから。ただ、もう少し苦手な比などの部分に積極的に取り組めたらよかったなと思ったから。
・やりがいを持つことができた
・レベルごとに確実に進めることができた

Q2 学びのベースキャンプを授業中に見たか?

授業中は活用多

Q3 学びのベースキャンプを家で見たか?

タブレットを持ち帰っていないので、家で授業の復習という習慣がないか…

学びのベースキャンプを見た人に質問。どのような点が良かったか?

・自分が分からない問題のヒントを知れたり、レベルアップの問題に挑戦できたり、毎時間の授業の黒板を確認出来てとても便利だった!
・ヒントが良かった。
・見やすかった。
・わかりやすかった。
・理解できた。
・課題解決のためのヒントが書かれていて良かった。
・応用の問題に取り組むことができて良かったです。
・発展問題が楽しかった。
・ヒントが書いてあったから難しい問題でも少しできるようになった。
・色々と見やすい解説があってよかった


総括

指導の個別化

 生徒の特性や実態に応じた指導ができた。三平方の定理を理解することに時間がかかる生徒は、繰り返しデジタル教科書の動画を見ていたし、理解が早い生徒は問題演習を繰り返すことでさらに理解を深めようとしていた。一斉授業の形で進めていたら、きっとこのように自分から学ぶ姿は見られなかっただろう。学力下位層や上位層の生徒にとって特に有効な進め方だったと考えられる。
 また、オクリンクでカードを配付することで課題を共有したことも有効だった。複数のカードの中でも難易度を変えることで、学習到達度によって生徒が課題を選択して学習を進めていた。

学習の個性化

 「ノートに書くの?」という言葉が聞こえた単元序盤。次第にこの声も聞こえなくなる。生徒はタブレットに書き込んだり、ノートに書き込んだりと自分で表現方法を選択している。自分に合う方を選んでいた。もちろん、手も進んでいる。
 そして、目標を意識して学習をしていた生徒が多かった。「まず、きちんと内容を理解しよう。」「説明できるように、丁寧に表現しながら解こう」「友達にヒントを出しながら自分の理解も深めよう」このように、1つの授業の中でも到達度(ワークシート上ではレベル)を意識して学習していた。このように、生徒が自分の学習が最適になるように調整する姿もよく見られた。

学級経営

 個別最適な学びは、生徒個人がバラバラに課題に取り組んでいる状況ではない。個別に学習をしながら、協働的に学習する機会も訪れる。それは、共通の目標を捉えているからである。だからこそ、ちょっと困ったときには気軽に友達に聞けることが良い状態である。つまり、生徒同士の人間関係を中心として学級経営の重要性が問われる。
 ただ、学級経営が上手にできているからこのような授業が順調に進むのではなく、このような授業を進めながらさらに生徒同士の人間関係が構築されると考える。
良い学びが生まれれば、生徒同士の人間関係は良くなる。

有効だったICTの活用

🔹オクリンク
 ・カードで課題を配付
  図形の情報共有が容易にできる。かき込みもできる。
 ・課題を提出BOXに提出
  教師が生徒の学習状況、到達度を把握しやすい
 ・スタンプ機能
  正解できたらスタンプ押すね!(AIで生成した画像)
  中3生徒でも嬉しい子がいるらしい
 ・提出ボックスの設定を変更できる
  提出順、教師だけ名前見られる、子どももカード見られる
  この設定にすることで、ヒントカードとして活用できる
  (友達のノートを覗き見ることができる状態)

🔹学びのベースキャンプ(Canva)
 ・板書の積み重ね
  前時までを振り返る生徒がいた
  欠席にも対応できた
 ・ヒント
  これが一番有効だった。
  自分のタイミングでヒントを見られるのが良かった
 ・レベルアップ
  発展問題に挑戦しようとする生徒が多かった
  自分で選択して挑戦した意欲が○

 タブレットの持ち帰り、専用ペンの活用など、今後の課題もありますが、積極的に活用できるような仕掛けができたと感じています。オクリンクについては自治体がミライシードと契約している関係で、やはりどんどん活用した方が良いのではないかと改めて感じています。Canvaについては、生徒が個人で活用するのは現状+数学の授業では厳しい。生徒がプレゼンを作る授業ばかりではないので、なかなか使えないのかなと感じていましたが、リンクを共有するような活用方法について挑戦できて良かったです。公開授業で参観した隣の学校の数学科の先生が新しい活用方法について知ることができたと言っていたことも印象に残りました。


 全体を通して、学びを生徒に委ねることについて良く意識した単元だったと思います。これまでは、枠だけ決めて示したらそれぞれが勝手に学習するでしょうと甘い認識でいました。今回も枠についてはかなり気を遣って作成しましたが、これまでとは違う部分も見えました。単元を3つに分けてそれぞれレポート形式で学習の到達度が確認できるようにしたこと、1時間の中でもレベルを分けてより良い学習ができるように仕掛けたこと、生徒の学びの姿を記録し続け次の授業、課題について精査しながら単元を進めることができました。
 何より、生徒の満足度が高かったことが嬉しいです。入試前の中3ですから、学習に向き合うやる気は高いはずですが、受験勉強のようなひたすら問題を解くような授業ではなく、個別に課題を進めつつ周囲の友達とともに協働的に学習する空間を作り出せたことが良かったと思います。
 挑戦することで見えてきた課題については今後の糧とするとともに、このような実践について研修だよりで校内で共有したり、話をしたりすることで、良い部分については学校全体で活用できるようにしたいです。私一人でできることには限界があります。職員室でいかに前向きな雰囲気を作り出すか、次のステップはここなのかなと思います。



 さて、かなりの長文になりましたが、読んでくださりありがとうございました!
 これにて、一旦完結したいと思います。


【「えがお」を大切に  焦らず、誠実に、前向きに】





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