好きな曲は好き～マネキン/ハルカトミユキ～

はじめに

今日はハルカトミユキの『マネキン』という曲についてお話しします。

これまでもハルカトミユキの楽曲についていくつかお話ししてきました。

この曲はお聞きしてもらえればすぐわかるように、とても印象的なイントロではないでしょうか。
まるで心が、身体ごと地に堕ちていくような音感。
そして堕ちつつも心の奥深くにある“何か”が沸き上がる感覚、を表現しているように思えました。

被験者は誰？

激しいイントロとは一転して、一気に静かに始まります。

被験者はただ演じ続ける
やがて中から食い尽くすまで
燻るほどに大きくなって
弾ける時を待っていた

ここでの『被験者』とは誰のことでしょうか。
タイトル『マネキン』でしょうか。

これを聴いた中学生当時、私は“被験者は子供“だと思いました。
両親が達成できなかった願いを子に託すような、
ゆとりから脱ゆとりへの様な教育制度の変化に児童生徒が実験台に使われているような、
そんなことを思いました。
つまり、私だと思いました。
中学校の先生をはじめとする大人への不信感を抱き始めたのもこの時期で、「おかしいな」と思いながら言うとおりにしていました。
「本当にこれは私にとって間違いではないのか」ここまで考えることはできていませんでした。
しかし、中学校から高校と成長するにつれて、特に親への不信感は膨らんでいきました。
まるで『はじける時を待ってた』ように。

ねえ、何ていうの？

次の歌詞です。

引きずり出して飛び散った
赤や緑のハラワタ

なんで緑何でしょうか。
赤はわかります。血の色ですね。
この緑がよくわかりませんでした。
もしかして本物のマネキンの中身って緑の素材で作られているのでしょうか。

もしくは、赤＝悪or嘘だとしたら、緑＝善or真の比喩なのでしょうか。
ここまで考えていました。

高校生の頃、被験者が私のような子どもであり、実験者が両親であると仮定して考えていました。
…相当親にいろいろ言われて育ったことがよくわかる考え方です笑

マネキンみたいな顔を塗りつぶす
包まれたなら突き刺せ
詰め込んだなら吐き出せ
支配者はどっちだ？
「早くなんか言えよ」

ここでは自分にとっての本当と嘘で実験者に歯向かう被験者を想像しました。
歯向かうと、きっと実験者に覆いかぶさられて押さえつけられるでしょう。
でも、『包まれたなら突き刺せ　詰め込んだなら吐き出せ』という精神を忘れるな、という警告でしょう。

『支配者はどっちだ』と私も言いたいです。
支配者である自覚なんてきっと私の両親にはありませんが。
私は両親の前では結構言いたいことが言えない方なんです。
高校生の時はもっと激しかったけれど、自分の感情を言葉にする能力が足りていませんでした。
noteを投稿するのもそうですし、Twitterで書く練習をすることで、最近は少しはましになってきたような気がします。
きっと私が両親に反抗しだして、今よりももっと抗って「自由に生きていくから（事後報告）したら、両親は初めはきっと何も言えなくなると思います、驚きで。
だからその時は言うんです。
『「早くなんか言えよ」』

望み通りでしょ？

二番の歌詞です。

被験者はただ踊り続ける
青白い肌
見世物にして
無数の管を体に刺したままで
お前に会いに行く

『被験者はただ踊り続ける』とは、被験者である私が実験者である両親の言う通りの進路や人生を歩んでいる様子を表していると思いました。
『無数の管を体に刺したままで』は満身創痍な状態であることの表現だと思いました。
大切にしたい人のいいなりに生きてみて、好かれたくて、大切にしてほしくて。
でもそうやって、自分の意思を封じ込めて生きていたら、心も体もぼろぼろになってしまうのではないでしょうか。
そんな状態で、『お前に会いに行く』＝実験者に会いに行く、のは、結構煽りだなと思いました。
「お前のせいでこんなんなったけど、望み通りやろ？？」みたいな、
そんなことを思いました。

引き裂いた手で掻き出した
ドロリと熱いかたまり
説明したがる口に押し込める
踏みつけられて笑って、支配欲を満たしてやる
「お前の嘘は最初から知ってる」

『引き裂いた手』ということはやはり被験者が満身創痍なままであることがわかります。
そんな状態で、さらに自分を傷付けているのではないかと思いました。
自傷です。
そんな状態を実験者が見たらどう思うでしょうか。
大成功！と歓喜するでしょうか。
大失敗だと嘆くでしょうか。
どちらにせよ実験者は何か言い訳や誇りを話し始めるでしょう。
それを自らの手で止めるなんて、かっこいい…と思いました。
彼らの支配欲は何で満たされるものなのでしょうか。
きっと私が生きているだけではだめで、健康でも足りなくて、就職しててもダメで、田舎のお金持ちになっていないとなのでしょうか。
私は私の実験者の支配欲を満たすのは難しいのかもしれません。

しかし、父が私に男であってほしかったことはよくわかっています。
私が期待通りに動かなくて、イライラしていることも知っています。
私が地元から離れることを良く思っていないことも十分にわかっています。
それでも私をほめる地元の知人の前では、女の子だから…ってなんだかんだと良いように言っていることもわかっています。
『お前の嘘は最初から知ってる』
それで今度「いい娘だ」とか言ってみろよ。

引きずり出して飛び散った
赤や緑のハラワタ
美しいだけの顔を塗りつぶす
包まれたなら突き刺せ
詰め込んだなら吐き出せ
支配者はどっちだ？
「早くなんか言えよ」

さいごに

とある人にハルカトミユキが好きだと話したら、「中二病みたいな曲ばっかじゃん」って言われました。
当時中学生だったのですが、自分よりも年上の人がハルカトミユキをそのような見方をしていると知って驚きました。
それ以降、その人の前ではハルカトミユキの話はしないようにしています。
…全然中二病に見えないんですけど、一部ではそのように批判されていたのでしょうか？？

ここまで読んでくださってありがとうございました。
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