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好きな曲は好き~April Mirage/Base Ball Bear~


はじめに


今日はBase Ball Bearベボベの『April Mirage』という曲についてお話しします。

これまで多くのベボベの曲についてお話ししてきましたが、『サテライト・タウンにて

という曲と同じアルバムに収録されています。

この曲は、ベースの関根さんが出演されている『リンダリンダリンダ』という映画の挿入歌でもあります。
女子高生の日常の青春が良く似合う曲だと思っています。

初めに述べておきますが、この曲は良く聴いていた中学生の頃と、ものの見方が変わった大学生になってから聞いたのでは感想が全く異なりました

ガラッと印象が変わったので、私の中で印象深い曲になっています。


薄れてくノスタルジア

この曲はベボベらしい勢いと爽快感たっぷりのイントロから始まります。
尖がっているようで、軽やかなギターが大好きです。

気付けばいつの間にか
薄れてくノスタルジア
街の中に刺す赤に重ねたら切り無い思い出

ノスタルジアとは、故郷に思いを寄せることです。
そんなノスタルジアを以前は感じていたのに感じにくくなったというのは、大きな心の変化だなあと思って聞いていました。
私もそうだったので。

街の中に刺す赤』とは“赤信号”のことなのでは?と思いました。
また、都会のビルの屋上にあるランプを思いました。
これこそ都会ならではで、私のような田舎の故郷とは対極にあるものだと思います。
例えば、海や山を見て故郷を思い出すのではなく、対極にあるビルやネオンを見て故郷を想っていたのに、どんどん何も感じなくなってくる様子でしょうか。

青春事件

スカートいと短し
ボタン上2つ外し

一気にベボベの青春感に巻き込まれる歌詞です。
私の中学高校は校則が厳しかったので、スカートを短くする人もいないし、ボタンを開ける人はほとんどいませんでした。

でも何だか制服が似合う人っていませんか?
顔がかわいいとかかっこいいとかではなく、なんとなくセーラーとかブレザーが似合う人。
私は女子高生ながら同じ高校にそういう方が居て、「噂になって有名になるほど、とびっきりかわいいとかではないのに(失礼承知)、この人は制服が似合うなあ」と思っていました。
でもそうやって「似合うなあ」って目で追っていると隠れファンみたいになってしまうんですよね。
同性異性関係なく、私の高校時代は同じ高校の同級生や先輩の隠れファンをやっていました…笑
これは!青春でしたね!!!

良い香りの誰かの部屋で
君の顔、目の前で見た事件

ここの歌詞は、放課後のマックや誰かの家、部室等で課題をこなしにきた数名の中に「綺麗だな」って思っていた人が居て、物理的至近距離でその横顔を眺めっちゃった、という青春事件でしょうか。

こんなの十代の、学生の、青春時代の大事件ですよ!!
一生脳裏に焼き付いて消えないやつですよ!!!

経験ありませんがそんな少女漫画風なことを考えては「うわあぁあわ!!//」となっていました。

また、『誰かの部屋』が青春事件感を際立たせていると思います。
きっと『』と『』の共通の友人の部屋だったのかもしれませんが、そんなことは重要ではなく、覚えているのは『君の顔を目の前で見た』ということだけなのが良いです。良質です!

、と中学生のことは考えていました。
しかし、サビを聴いて考えが全く変わりました。

水色こぼした画面
ウィスキーのような色に
君と俺の3Dが映写機で映すおぼつかない学生映画に

水色こぼした画面』とは「青春が垣間見える携帯電話の画面」を想像していました。
好きな人からの連絡とか、仲の良い人と撮った写真などです。

ウィスキーのような色』=琥珀色=オレンジっぽい、黄色っぽい色、
そして『映写機』、『学生映画』ときたら私が連想するのはただ一つ、『夕方ジェネレーション』です。

この記事でも述べているように、『夕方ジェネレーション』では若さゆえの勢いを感じていました。
しかし、この曲では若さゆえの過敏や多感を感じました。
想像力もです。
それはサビにも表れていると思います。

愛してるって言いたい気持ちと殺気があふれる街角
透けた君が体を通り抜け彼方に溶ける
何も知らないふりして笑ってた俺は確かに居た
笑い方を忘れた今は騒々に身を任すだけ

このサビ全体を聴いて、実は先に述べた青春事件は好きな人と物理的に距離が近くなったことが事件だったのではなく、「親しい友人の部屋に行ったら、気になる人がいて、なんなら友人の彼女だった」という事件なのではないでしょうか。

だからこそ、Bメロで『おぼつかない』という表現をしていると思いました。
なんとなく気になる人と青春映画のような学生時代を過ごせるなんて甘い妄想をしていたが、実際には友人の彼女だった、ということで想定していた映画のような青春は送ることができない、という表現なのではないでしょうか。

親しい友人の彼女だからこそ、素直に「愛してる」なんて言うことができないのではないでしょうか。
また『』の友人が、『』が彼女のことを好きであることを知っていたのかわかりませんが、なんとなく自分や友人に憤りを感じることもあるでしょう。

「僕はなんで早く告白しなかったんだ」
「なんであいつは付き合っていることを教えてくれなかったんだ」
とかです。

この憤りが『殺気』の原因になっていると思いました。
また、街角というワードがあることから、友人の部屋を出て、一人で帰る帰り道でもんもんとしている様子が頭に浮かびました。

透けた君が体を通り抜け彼方に溶ける』はこれまで好きだった『君』が、友人の彼女だと知って、好きだったのにぼやけてきて本当に自分が好きだった人なのか、どういう人なのか、僕の好意を知っていたのか等でぼんやりとしている様子が見えました。

そんな過酷な状況なのに、友人の部屋では気丈に振舞っている様子がまたいじらしくて、子どもと大人の中間って感じがします。

そうやって友人の部屋では何にも気付いていないふりをして笑っていたけれど、帰り道では虚無になっている、という状況です。

どうでしょうか。
中学生の頃に想像していた状況とは全く違うものになりました。


君はどんな人

雨が降り出しそうな気配、分かる?
試すように聞いた一枚羽織った日曜日
もうすぐ降るよ
顔を洗う三毛猫見て悪戯っぽく含み笑っている、君が居た

ここは『悪戯っぽく含み笑っている、君が居た』という歌詞が一番大事なのではないでしょうか。
また、次の歌詞、

コードチェンジの隙間に落として広い損ねた写真
手にした分だけで描く脚本は、拍手が起こらない一人芝居

ここでは、『一人芝居』が大事なキーワードになっていると思います。

これまでの歌詞で、友人の好きな人が僕の気になっている人だった、という状況前提で話してきました。
だからこそ、それまでの気になっている人との交流が、その一つ一つの出来事に舞い上がっていた自分がまるで一人芝居の様に感じるということでしょうか。
まるで絶望ですね。

この曲はつらい失恋の絶望を表していたのかもしれません。
完全に主観です。


青春ゾンビの由来

愛しているって言いたい気持ちと殺気が溢れる街角
透けた君が体を通り抜け彼方に溶ける
何も知らないふりして笑ってた俺は確かに居た
笑い方を忘れた今は騒々に身を任すだけ
それだけの事だから

上記の状況になってもなお、気になっていた人に『愛してる』って言いたい気持ちと友人に「なんで教えてくれなかったんだよ」って殺気のようにあふれ出して止まらない気持ちを言いたい、という葛藤が伝わってきます。

このように考えるとこのサビも、日常のワンシーンのように思い浮かべることができます。
友人「今日俺んちで〇〇のアルバム聴かね?」
僕「おう、いいよ」
友人「あ、途中で彼女がちょっと来るかもだけど良い?」
僕「おまえ、彼女いたのかよ、いいけど」
~しばらくたって、彼女=僕に気になっていた人登場~
僕「!?」
彼女=気になっていた人「あ、●●くんだー!遊びに来てたのー?」
僕「お前の彼女って…」
友人「そう、こいつ俺の彼女」
彼女「そうなの」
僕「…そうなんだ!知らなかった!おめでとう!まあ仲良くしようぜ!!」

みたいな感じですね。
この私が「!?」と表現した部分をこいちゃんは『透けた君が体を通り抜け彼方に溶ける』と表現しているのでしょう。
自分が気になっていた、好きだった人はもういなくなるような感覚なのでしょうか。

さいごに


今日は中学から印象ががらっと変わったと感じた曲についてお話ししました。
なんか最後の方夢小説みたいなのありましたね。
気にしないでください笑

ここまで読んでくださってありがとうございました。
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