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「中庸」という考え方〜ほどほどに生きるということ〜

東洋医学は長寿と回春を求め派生し、体の内部から治癒させる、または悪くならないよう予防する医学であり、
西洋医学は錬金術から派生し、悪いものを取り除く、あるいは押さえ込む医学と言われています。

東洋医学を学んだ中で「中庸」という言葉を知りました。

中庸とは、中国の哲学者である孔子が提唱した儒教を起源として
「極端に偏らず、また過不足なく調和がとれていること」を意味します。

欧米でも古代ギリシャの哲学者アリストテレスが説いた徳論「メソーテス」や、現代でいう「Golden Mean」がそれに相当します。

具体的にいうと、バレーボールやバスケットのボール、車のタイヤなどを考えた時、空気が入りすぎていると、性能を正しく引き出せないだけでなく、劣化を早め、突然の破裂や破損を引き起こす恐れがあります。また、空気が少なすぎると今度は柔らかくなり跳ね返らず、コントロールができなくなります。
勇気が過ぎれば無謀と捉えられ、足りなければ臆病と思われる。親切が過ぎればお節介になるし、足りなければ無関心といわれる。

何事も過不足のない適度な状態、ほどほどが一番効果的であるという考え方です。

ちなみに鍼灸では最適な治療量を「ドーゼ」と言い、効果が欲しいからと鍼を打ち過ぎると刺激とそれに対する反応が強くなり過ぎて、炎症を起こしたりと逆効果になり、打たな過ぎると効果が得られないため、適度なドーゼで治療することが一番難しく、また大切であるとされています。

私たちは今、資本主義社会の中に生きています。

無料で一方的に流れてくる企業のCMは、購買を促すためのものであり、街を歩けば便利で煌びやかな商品が次から次へと色違いで山積みにされています。美味しそうな匂いを放つたくさんの食べ物が、注文もしていないのに調理され、店頭に並んでいます。

沢山買ってもらい、消費してもらうことで価値を生み、経済を回し発展させるという考えの中、生活をしています。

この秋、横浜のみなとみらい21地区に音楽に特化したアリーナ「Kアリーナ横浜」が誕生します。座席数は20,033席、地上9階、高さ約45mの文字通り世界最大級のアリーナです。


新宿歌舞伎町には、新複合施設「東急歌舞伎町タワー」ホテル・映画館・劇場・Zepp ホールを含む超高層ビルが開業。地上48階・地下5階から成る約225メートルの高層複合施設で、ライブホール「Zepp Shinjuku (TOKYO)」をはじめ映画館・劇場などのエンターテインメント施設、 ホテルなどを展開し、歌舞伎町の新たな観光拠点となることを目指しているそうです。

もちろん、タワーマンションの最上階に暮らすことを夢見て頑張っている方もいらっしゃるでしょう。高級車をコレクションすることが喜びの方もいらっしゃるでしょう。

ただタワーマンションに暮らす人は、日本の人口の何%なのでしょうか?
人生の中で、高層ビルの高級レストランで食事をすることや、都市型ショッピングモールで頻繁に買い物をする人は何%いるのでしょうか?

ビルが建てられる度に、大型施設が建てられる度に、木を切り山を削り、船を使って鉄材を輸送し、大量のコンクリートや鉄筋を運び、もの凄いエネルギーを使って上へ横へと建設し、また全室全フロア快適な空間を作るため室外機から大量の熱波を吐き出しながら空調を効かせるのかと思うと、本当に日本に暮らすみんなが望んでいることなのだろうか?と私には疑問でなりません。

私は、できれば5時間くらい働いたら家に帰ってゆっくり過ごしたい。
季節の野菜を近所の無人販売で買ってきて、漬物を作ったりサラダにして、夕方18時くらいには夕食を食べ始めたい。朝の涼しい時間には近所をゆったり散歩したい。本を読んだり、書き物をしたり、絵を描いたりして過ごしたい。

HSPというのもあるかもしれませんが、できるだけ満員電車に乗ったり、人混みにいは行きたくない。高層ビルにも興味ないですし、絶え間なく流れる音楽や煌々と点けられたライトもエネルギーの無駄に思えてしまいます。それよりも季節の花々や夕焼け、野生の生き物たちの方が美しいとさえ思ってしまいます。

いろいろな施設やビル、高速道路もそうですが、造るのにも莫大なエネルギーをかけますが、維持するのにも、そしていつか取り壊し廃棄するのにもまた、もの凄いエネルギーを使わなければなりません。

地球温暖化が叫ばれ久しく、SDGsが提唱されましたが、東京、名古屋、大阪の三大都市は50年前より最高気温が4℃以上上昇しています。家庭でどんなにエアコンの温度を抑えようと、大型ビル、商業施設、店舗の室外機から排出される熱波とアスファルトからの輻射熱で、抑えることのできない状態にまでなっているのが現実です。

SDGs。それは「持続可能な開発目標」であり、結局は開発。資本主義社会の一部の資本家の主張なのではないでしょうか?

春には竹林が育ち、夏には大地が梅雨で湿り、栄養を蓄えた土が水分たっぷりの野菜や果物を育て、秋には葉が落ちまた次の栄養となりきのこ類が育ち、冬には冷たい風と雪が大地を一度クリアにし、また次の息吹を起こすための春を待つ。暑い時には打ち水をし土を湿らせたり、塩をかけた水分たっぷりのスイカでミネラルを補給していた、日本の四季を感じていた子供の頃が懐かしい。

寒いくらいに冷えた商業施設や、上へ上へと伸びるビル、見渡す限りの建造物が、それを造り維持するために満員電車に揺られ、1日8時間みっちり働くことが、私たちの本当の望みであり、幸せなのでしょうか?

どうしても作られた、刷り込まれた幸せであり、欲深い一部の人のために踊らせれているように思えてしまいます。

本当に賢い人は、中庸、ほどほどに生きるということを知っている。

人は、企業は、社会は、何を求め、どこに行こうとしているのでしょうか?

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