自分で選んだ「選ばない」こと
教師になって6年目の春、管理職の道を勧められた。
ある日突然校長室に呼ばれ、力量を褒め称えられた。
異動して間もない学校だったので、嬉しかった。
が、薄気味悪くもあった。
普段は、行政や地域の有力者との関りや、学校研究課題の全国発表で頭がいっぱいの校長である。
「自分だけのことではないので、家族とも相談させてください」
僕はとりあえず、回答を棚上げした。
「管理職」というものが嫌いだった。
学校全体を見る、と言えば聞こえはいいが、
それを楯に子どもや教師一人一人を見ていない