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自作の詩まとめ

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16歳から30代前半までに書いた詩をまとめたものに、2023年から再び書き始めた詩を混ぜて発表しています。先入観なく読んでいただきたいため、一切の説明を省くようにしました。記事の…
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#詩が好きな人と繋がりたい

【詩】隣人とわたし

【詩】隣人とわたし

かすかな振動が
ほほえみのふるえが
隣人を目覚めさせた
わたしは白い陽の中に
堕ちた
隣人のつまびらかな密告によって

誤りに満ちた新月に復讐を宣言する
それでも新月はうたう
白い陽を反転させながら

うたは近づき
やがてわたしの戸を叩く

激しい焦燥の嚥下をしくじり
嘔吐する
わたしのまなこは虚空をさまよい
青いくちびるが冷徹に陳述した
—こころで見たかっただけなのです—

新月のうたが戸を開け

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【詩】夢のあとさき

【詩】夢のあとさき

ひとしずくの中に
果てなき夢を見る

まどろみに堕ちてゆく
儚く暗き夢の底で
自ら鳴らす鐘の音が
永遠の涙をわたしに保証した

ざわめきに溶けゆく煙と
黒白の奏に戯れて

わたしはしばし
悪魔的な動揺や
虚飾の暗算から解き放たれ

甘美な嘆息の中で
安堵の上に曖昧なほおづえをついていた

夢のあとさきに漂う
このひとしずくとわたしは
美しい合目的性によって結ばれ
その固き絆が
ほんの少しわたしを救

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【詩】In the Morning Air of Spring

【詩】In the Morning Air of Spring

In the center of the indistinct transience
Lots of winds wander through lots of my selves
Gradually my consciousness was spreading over the somber blue sky
I myself fell down remaining upright immovab

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【詩】春の下

【詩】春の下

       春の下

朦朧とした儚さの中心で
いくつもの風がいくつもの私を渡り歩く
私の意識はくすんだ青空へ拡散していき
やがて直立不動のまま倒れた
見開いたままの瞳は 誰からも閉ざされることなく
小鳥のさえずりが 
冷えていく心を蝕み続ける
効かない薬の散らばる無菌室へ逃げ込み
今日もあの日の誓いを守るために
無機体となって闘争をやめる覚悟をする
不断の刻みに唆される静寂の中
あなたにもっと触

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