「学び」の価値に着目したマーケティングで、コモディティ品・吉野葛を売る仕掛け
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「学び」の価値に着目したマーケティングで、コモディティ品・吉野葛を売る仕掛け

吉野といえば、葛

吉野に行くと、修験道の総本山、金峯山寺周辺には多数の飲食店・土産物屋・葛の専門店が建ち並び、観光客で賑わっています。どの店も、吉野葛や葛餅、葛湯、葛菓子を取り扱っており、パッケージもそっくりで、観光客にはその違いがほとんど分かりません。

中井春風堂さんの取り組み

その中でも、店の前に買い物客が絶えないのが中井春風堂さん。

中井春風堂

それもそのはず。このお店では、店主自ら店頭で葛餅・葛切り作りの実演講習を行っており、短い時間で吉野葛がどんな植物からどうやって作られるのか、混ざりげの無いピュアな本葛(通常は他の澱粉を混ぜており、葛の原材料比率は50%程)はなぜ賞味期限10分なのか、たった15分で学ぶことができるのです。

葛餅・葛切りはあっという間に作り終わってしまうのですが、加熱によって白濁した液体が瞬時に透き通り、キラキラ輝く光景に、初めて見る観光客から歓声が上がります。

店頭の実演講習で吉野葛や作り方について知った上でいただく、本葛(葛100%)の葛餅・葛切りはとても特別なご馳走に感じられました。

なにせ、このガラスのような透明感と食感は10分しか持ちません(10分以上経つと、葛と水分が再び分離し始め、白濁して食感が悪くなります) 。あの美しさとちゅるんとした食感はとても印象的でした。。

本葛餅

15分の実演講習とその後の実食を経て、私はすっかりこのお店が好きになり、吉野本葛や、本葛の葛湯、飲み比べ用に他の澱粉を加えた一般的な葛湯、など、あれこれお土産を購入して帰ったのでした。

実演講習で触れられた葛の知識は、吉野で葛に携わる人は誰でも知っているかもしれない簡単な内容で、賞味期限10分の透明な葛餅も、2分で作れるものです。高度な専門知識・技術で差別化しているわけではありません。

常識も、顧客には価値あるコンテンツ

業界内の常識を、学びの価値として顧客に惜しみなく提供し、そのコミュニケーションを通じて関心を持った顧客をファンに育てる。さらに、店頭での実演講習と人だかりは遠目にも目立ち、客がさらに見込客を呼ぶ、という見事な仕掛けでした。

中井春風堂さんでは、この実演販売の取り組みに加えて、体験も組み込んだ葛会を店内で定期的に開催し(コロナの影響で現在は自粛中)、YouTubeでも葛に関する情報発信を積極的に行っています。とても地に足のついた取り組みで、コンテンツマーケティングのモデルケースだと感じます。

まとめ

「学び」の提供によって、顧客も楽しく、お店も栄える、まさにwin-winの取り組みとして紹介させていただきました。
ちなみに、葛、実はみなさん必ず見ている身近な植物なのだそうです。

関心のある方は、こちらで学んでください^ ^
(You tube channelで続編も公開されています。)


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中小企業をvalue upする経営のヒントをお届けします! <略歴>京都大学経済学部経営学科/経営戦略論専攻。 東京の投資会社・M&Aアドバイザリーファームを経てUターン、 地元で中小企業向けに戦略経営コンサルティングを展開。http://valuepartner.biz/