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恐ろしき外資系企業の解雇のお話

最近、またあちこちで解雇が聞かれるようになってきました。

2022年のイーロン・マスクのTwitterの人員削減に始まり、その後Amazon、Microsoftなど多くのテック企業や、Goldman Sachsなどの金融機関でも人員削減が行われています。

欧米の企業は景気悪化が見えて来るとこのように人員削減を行います。

最近では国内での事例も増え、
様々なパターンがあることが明るみになりつつありますが、
あまり経理などのバックオフィスにいながら解雇された話というのは多く出回っていないような気がします。

理由としては、フロントほど人数が多くなく、給与も高くないことから解雇される確率が低いという事情があります。
しかし、決してないわけではありません。

そこで、今日は、外資系投資銀行のバックオフィスでのクビ宣告現場について、記事にしたいと思います。



外資と日系の「解雇」の背景の違い

そもそも外資と呼んでいる企業は、他国(ここでは主に欧米)の企業の日本拠点です。その会社のルールは、日本で事業を行うにあたり、日本の法律に準拠するように調整されてはいますが、基本的には本国のルールに則って経営されています。

仕組みとして、欧米では、従業員の解雇というのが企業の選択肢にあります。日本人の感覚からするとぞっとするかもしれませんが、例えば企業の業績が悪くなってリストラを行うなどの時に、「指名解雇」が行われているのです。

なお、解雇自体はネガティブな要素であることに変わりはありませんが、日本で一般的に想像されるような「クビ=懲戒解雇で一環の終わり」というものではなく、皆他の会社へ転職して行きます。会社によってはクビを宣告した社員へ転職エージェントを紹介したりすることもあります。

※解雇を推奨しているわけではありません。仕組みとして回っている、ということをお伝えしています。

その点、日本はと言うと、基本的には企業は、よほどの悪事やミスを行った社員を裁く時を除いて、解雇できません。それこそ懲戒解雇です。

労働者が手厚く保護されていると言えばそうなのですが、その結果として、企業は正社員より大幅に待遇を落とした非正規社員をいつでも「契約終了」ができるようにと多く抱え、正社員数を以前より限定するようになりました。

最近は同一労働同一賃金の導入により、同じ業務を行うなら正規と非正規の不合理な待遇差をなくそうとしており、賃金格差は少しずつ減少しているようですが、企業の行動として抱え込む正社員といつでも切れる非正規社員の考え方は基本的には変わらないでしょう。

そうこうして、「正社員の壁」とか「正社員神話」が生まれたわけです。

こう見ると、形式が違うだけで、やっていることはそれほど違わないのではないかとも思うのですが、「外資はクビになるリスクが高いから怖い」という話が独り歩きしている感じはありますね。


外資の「クビ」の現場潜入

ところで、外資「クビ」の話、不思議に思いませんか?

日本企業は法律で従業員をクビにできないのに、なぜ外資はクビにできるのか?適用される法律が違うのか?と。

実際に適用される法律に違いはありません。単にやり方の違いです。
弁護士によっては不当解雇と言っている人もいるのは事実です。

では、わかりやすくするために、一番過酷と言われる、外資金融のクビ宣告の場面を以下に再現してみましょう。


残念ながら(?)僕自身はクビ宣告をされた経験がないため、人から聞いた様々なケースを織り交ぜて記載しています。また、実際には色々なパターンがあり、会社によっても担当者によってもやり方が異なるため、全てが以下のように行われるとは限りません。

従って、あくまで一つの事例と捉えて下さい。



~とある、外資系投資銀行の経理部の「クビ」の風景~

Aさんは30代半ばで独身。外資系投資銀行の経理部で働いている。
管理職(マネージャー)ではない。

2月のとある火曜日。

いつも通り朝8時半に出社。一通りの朝の忙しい時間帯の業務をこなした後、社内にあるカフェでカフェラテを買いに行った。朝一のバタバタの業務をこなした後、10時を過ぎるとようやく少し落ち着くので、コーヒーを買いに出て、カフェの店員の女の子とおしゃべりするのが日課だ。

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