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【マダミス制作 虎の巻】#2 アイデアを広げよう!

 マダミスを作り始めるとき、アイデアは欠かせないものです。表現してみたいこと、やってみたいことなど、どんな小さなことでもかまいません。あなたの中に浮かんだアイデアを丁寧に拾い上げ、広げていくのが大切です。

 本記事では、アイデアとその広げ方の例をご紹介します。





◆例1 使いたいトリックがある

 ミステリーと言えば、トリックはその醍醐味の一つです。例えば、マダミス制作において、アリバイトリックに関するアイデアを思いついたとしましょう。

 まずはトリックが成立する環境を整えなければいけません。あなたが考えたアリバイトリックに宇宙空間や魔法の世界、特別な時代背景が必要ないならば、世界観を現代かつ現実と定めることができるでしょう。これで一つ、条件が狭まりました。

 アイデアを「広げる」とは言うものの、実際には無限の可能性から、あなたのマダミスに必要な要素を選択し、思考する範囲を小さくしていく作業になります。

 さて、続けましょう。マダミスには、キャラクターの行動が時系列でしっかり書いてあるものとそうでないものがありますが、アリバイトリックを表現するなら時系列が必要になります。キャラクターテキストの構成が「背景+時系列」になりそうだと整理できました。

 人数と役割も考えてみましょう。アリバイトリックを作中で使用する場合、トリックが解けていない間は真犯人以外が疑われ、トリックが解けると真犯人に近づいていく構造になるのが予想されます。
 とすると、疑われる人物、トリックを解く探偵役、真犯人の少なくとも3人が必要そうだと分かります。厚みを持たせたり、複雑にしたりするなら、疑われる人物2人、探偵役、真犯人、真犯人の協力者なども考えられます。  
 同時に必要な建物の構造も決まるかもしれません。外部からの犯行を否定するならクローズドサークルも必要でしょう。

 以上の内容をまとめると、このようになります。

●プレイヤーキャラクター3人以上
●プレイヤーの中に探偵役や犯人役がいる
●背景と時系列で構成されるキャラクターシート
●現代・現実的な世界観
●来訪手段の閉ざされた館

例1

 「アリバイトリックを使いたい」というアイデアから、世界観・構成・概要まで整理することができました。
 ちなみに、マダミスにおけるトリックの使用については、以下の記事でより詳しく解説しています。


◆例2 組み込みたいギミックや展開がある

 今まで誰もやっていないようなギミックを思いついた、こういう展開をシナリオに組み込みたいというところから制作が始まるときもあるでしょう。

 まず考えるのは、思いついたギミックや展開がシナリオの中で浮かないようにする方法です。特殊な調査ギミックを使用しているが、なぜそのような調査がおこなわれるのか分からない、劇的な展開が組み込まれているが唐突すぎるといった状態では、アイデアを活かせているとは言えません。ギミックや展開が存在する理由付け、お膳立てを考えるのが重要です。

 アイデアを活かすための理由や流れを考える過程で、世界観や設定がある程度定まってくるでしょう。キャラクターの人数や立場も連動して決まっていきそうです。ギミック起点であれば推理の流れ、展開起点であればキャラクターが持つ背景なども考えやすいかもしれません。

 ギミック、展開(=ストーリーライン)については、それぞれ以下の記事で詳しく解説しています。


◆例3 登場させたいキャラクターがいる

 かっこいい探偵を登場させたい、麗しい魔女を登場させたい、語尾がかわいい猫を登場させたいなど、キャラクター起点で考える場合もあるでしょう。今回は魔女を例にとってみます。

 魔女を登場させるなら、現実世界では少し困りそうです。ファンタジー要素のある、中世ヨーロッパのような世界観のほうがより自然です。

 他のキャラクターを考えてみましょう。とても魅力的な魔女1名と素朴な人間5名のような状態では、始まる前からバランスに問題があるのが明白です。世界観に合う、同じくらい魅力的なキャラクターを考えます。魔導士、ドワーフ、狼男、妖精などが浮かんでくるかもしれません。

 あるキャラクターを登場させたいと思うときは、他のキャラクターとの絡みや言わせたいセリフがアイデアとして出てきている場合も多いでしょう。そのような連動して浮かんでいるアイデアから考えてもかまいません。

 ファンタジー世界で殺人事件を扱うなら、非現実の範囲をある程度、制限しなければなりません。現実世界であれば、あり得ないことが自然と排除されますが、ファンタジー世界ではできることの可能性が広がってしまうためです。どういう事件にして、どういう行動はできないことにするのか、魔法にどういう条件があるのかなどを考えます。

 以上の内容を参考に例を作ってみると、このようになります。

●プレイヤーキャラクターは、魔女、魔導士、ドワーフ、狼男、妖精
●プレイヤーの中に探偵役や犯人役がいる
●ファンタジー世界
●魔法の効力や条件が定義されており、それらを使って推理する形式

例3

 登場キャラクターのアイデアから、他のキャラクターや世界観、推理の大枠まで決めることができました。

 キャラクターの作り込み方については、以下の記事でより詳しく解説しています。


◆アイデアを広げる際のポイント

 以上、3つの例を紹介しましたが、全てに共通しているポイントがあります。

 それは、アイデアしかない状態からシナリオの全体概要がイメージできる段階まで持って行くことです。

 アイデアを抱えているだけでは、それを活かすために何人用のどんなシナリオにするか、可能性が無限に広がるばかりで、実際の制作には移れません。アイデアから連想される世界観や設定を元に、シナリオに必要な要素を取捨選択し、着手しやすい状態まで整理するのが重要です。

 シナリオの全体概要がイメージできるくらいまで整理が進めば、プロットを書いたり、実際にテキストを書いたりといった作業に入ることができるでしょう。


おわりに

 アイデアの広げ方について、3つの例と共通するポイントを解説しました。マダミス制作において、アイデアは欠かせないものです。

 本記事が、アイデアを実際に制作に活かす際の参考になりましたら幸いです。


【ライター】
ウズスタジオ編集部
マダミス通話アプリ「ウズ」のシナリオ担当チーム。
ウズに掲載される作品の審査・公開対応、公式シナリオの企画・制作、マダミス制作のナレッジ共有等をおこなっている。

ライター紹介

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