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【マダミス制作 虎の巻】#5 魅力的なキャラクターと感情の設計

割引あり

 マダミスを制作するときに「キャラクターがうまく作れない」と悩む人は多いのではないでしょうか。

 本記事では、マダミスにおけるキャラクターの作り方やその心構えを解説していこうと思います。

 キャラクターはマダミスに限らず全ての物語作品において、最も重要な要素です。制作初心者から慣れてきた人まで、すべての人が参考にできる記事になっていると思います。




◆キャラクターの重要性

 創作の世界ではしばしば「キャラクターに魅力がない」ことが理由で作品が評価されない、ということが起きています。これはマダミスも例外ではありません。

 この項ではマダミスにおいて、なぜキャラクターが重要なのかについて解説していきます。


■キャラクターはマダミスの「第二の入口」

 ”ゲーム”としてのマダミスは、キービジュアルを見て、あらすじを読んで、プレイヤーが遊ぶことを決めた時点で始まりますが、”物語への没入”という意味ではキャラクターテキストの読み込み時間(あるいは読み合わせでのセリフ読み)からが始まりです。
 そう考えるとキャラクターはマダミスの「第二の入口」であると言えるでしょう。

 演じたいキャラクターがいない、自分が担当するキャラクターが魅力的でない、演じても楽しくなさそうだと思われてしまった時点で、マダミスへの引き込みに失敗していることになり、プレイヤーに満足してもらうことが困難になります。
 キャラクターを充実させ、プレイヤーをしっかりと自身のマダミスに引き込めるようにしましょう。


■最終的にキャラクターの要素が占める割合

 マダミスはロールプレイングゲームであり、ゲーム終了時の満足度に対してキャラクターの要素が占める割合が大きくなっています。

 その要素は、目標達成の度合いであったり、そのキャラクターがその物語に必要な存在であると思えたかどうかであったり、プレイヤーがキャラクターにどこまで没入できたかであったりします。
 これが推理小説であれば読者は俯瞰で謎/物語に挑むので、すべてのキャラクターに魅力を持たせる必要はないのですが、マダミスでは謎が魅力的だったとしてもキャラクターの魅力を作ることを怠ってはなりません

 もちろん全ての要素をじっくりと練ることが必要なのですが、「キャラクターの魅力:謎解きの面白さ」を単純な「5:5」の比率で考えるのではなく、「7:3」くらいに捉え、魅力に満ちた生きたキャラクターを作り込む意識を持ちましょう。


◆魅力的なキャラクターの作り方

 では、魅力的なキャラクターを作るにはどうすればいいのでしょうか?

 この項では一般論から、マダミスだからこそのキャラクター設計についてを解説していきます。


■共感・憧れ・ギャップ

 見る人がキャラクターに魅力を感じる要素には、「共感」「憧れ」「ギャップ」という3つが挙げられます。
 これらは、キャラクター選択時点で提示することもできますし、キャラクター固有の情報を読んだ時に感じさせることもできます。


▷共感
 
共感できる部分というのは、例えば、以下のようなものです。

A:動物が好きで、彼らが傷つけられることが許せない。
B:やましいことをしてしまい、保身のためにそれを隠そうとしている。
C:父親を殺人鬼に殺されており、その人物を逮捕するために行動している。

 Aの例であれば、「好きなもの」が共感を生み出すポイントになっています。人間は誰しも一つくらい「好きなもの」があり、それに対して特別な感情を持っているものです。着地点は違えど、同じ感情を抱いていることがわかれば、人はある程度共感することができます。

 次にBの例です。ここでは「負の感情」が共感を生み出すポイントになっています。プレイヤーに、自分がその状況に陥ったとき、マイナスに感情が振れてしまってもおかしくないと思わせられたら、すでに共感が生まれています。

 最後にCの例です。一見すると、多くの人間が体験したことのないエピソードで共感を生み出せなさそうな設定に思えます。
 しかし、人類がここまで積み上げてきた創作の歴史の中で「同様の性質を持つキャラクター」というのは数多く存在しているでしょう。

 ここでは、「過去に見たことがある設定」というのが共感を生むポイントになっています。漫画で、小説で、見たことのあるキャラクター像と重ねさせることで、人は勝手に共感してくれるものなのです。

 共感できる部分というのは何もキャラクターの内面や過去のエピソードに限りません。

 例えば、年齢が自分に近いキャラクターを演じたいと思う人や、喋り方が自分に近いキャラクターを演じたいと思う人は多く存在しています。

 キャラクター情報のみでプレイヤーがキャラクターを選択するためのフックを複数用意することで演じたいと思うキャラクターを増やすことができます。

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