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【マダミス制作 虎の巻】コラム トリックを使いたい人へ

 マダミスの謎解きに何かしらの「トリック」を使いたいと考える人は多いのではないでしょうか。

 本記事では、マダミスにおけるトリックの立ち位置とメリット・デメリットを紹介していこうと思います。

※本記事内では、いわゆる「狭義のマーダーミステリー」における殺人に関するトリックを前提に話を進めています。





◆そもそもトリックは必要なのか

 あなたが「トリック」を使いたい理由はさておき、そもそもマダミスのシナリオにトリックは必要なのかという話ですが、これに関してはNoと言えます。

 トリックは必要ではない——つまり、必須のものではありません。
 
それは何故か?

トリックは謎解きを複雑にするものですが、マダミスにおいては、各キャラクターが持つ目標や隠しごとが、その役割を担っているからです。

 もちろん、作者が趣向を凝らしたトリックを解き明かすというのは、面白い体験につながります。
 しかし、トリックがなくとも謎解きを面白いものにはできますし、トリックを採用することにはリスクがありますので、うまく扱えないのであればそもそも採用しなくとも良いものなのです。

 では、マダミスにおけるトリックは何なのか?

マダミスにおけるトリックは「ロマン」です。

 マダミスにミステリーを見出そうとする作者・プレイヤーにとってトリックはロマン。ミステリー小説風味のエッセンスとして、シナリオを彩ってくれる要素なのです。


 マダミスにトリックは必要ではありませんが、使いたいと思い立ったのであれば、トリックありのシナリオを作ってみましょう。トリックのあるマダミスを求めるプレイヤーは大勢います。

 しかし、闇雲にトリックを採用しても良いことはありません。

 トリックを使う際に、まず頭に入れておいてほしいことがあります。
 
 
マダミスは様々な要素が複雑に絡み合ったゲームです。トリック自体や、それが使われる理由に納得感がなければ、ゲームのシナリオとしては不出来となってしまうでしょう。

例えば、犯人に何の理由もないのにトリックを使って殺人を犯した設定にしてしまった場合――。

 マダミスでは、プレイヤーがキャラクターの心情に寄り添う「ロールプレイ」をしながらゲームが進んでいきます。トリックを使った理由が分からない、作者のロマンのためだけにトリックを用いた犯行をおこなわせてしまうと、没入感が大きく損なわれてしまいます。

 問題があるのは犯人役だけではありません。推理をするキャラクターからしても、最終的に「トリックを使わなくても犯行は可能だったし、トリックが謎解きのクオリティを良い方向に引き上げているわけではない」と思わせてしまうと、満足度が大きく下がってしまうでしょう。


 また、もう一つ頭に入れておいてほしいのは、「トリックを仕掛けた犯人は、肝心のトリックを解けない」という問題です。
 
 トリックをシナリオのウリとする場合、そのシナリオをプレイしたいと思う人のほとんどは「難しいトリックを解きたい!」と考えています。
 しかし、マダミスでは多くの場合でプレイヤーの中に犯人役がいる都合上、そういった人たちが犯人役を担うケースも生じてしまいます。
 トリックを仕掛ける側はもちろんその理屈を理解した上で仕掛けますので、犯人役のプレイヤーはトリックの全貌を知った上でゲームに臨みます

 つまり、解くべきトリックがないのです。

 この点から生じ得る不満をどのように解消するかが、作者の腕にかかっていると言えるでしょう。


◆トリックのメリット・デメリット

 さて、前項では「トリックはロマンである」と述べましたが、もちろん採用することによるメリットもあります。そのメリットを享受するためにトリックを採用するのも良いでしょう。
 ただし、相応のリスク・デメリットも存在しているので、その点にも注意して、慎重に検討しましょう。

■トリックを採用するメリット

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