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花火が鳴った。

お洒落だな・・・

この比喩カッコいいな・・・

と感じるのはなぜだろう。

ボカロやj-popの独特な表現には、このように感じるものが多い。

その中に「規則性」があるのではないか? と私は思うようになっていた。

打ち上げ花火と奏でる花火

言語行為は、一般に、言語によって他者と共有しようとする関係的な試み(企投)であって、人は、「語の一般意味」を利用して自分のそのつどの「企投的な意味」を他者に投げかけようとする、というものだ。(竹田青嗣、2004、163)

「花火が鳴る」の一般意味はなんだろうか?

これはおそらく、というか文字通りの情報に他ならない。

「花火」が「鳴る」。つまり、「音」としての側面が強調されているのかなくらいまでは、日本語を使う人なら思いつくだろう。

しかし、歌詞に出てくる表現は、文字通りの表現であることはむしろ少ない。

「花火が鳴る」という一般意味を利用して、企投意味を伝えようとしていることが多いと思う。

「花火が鳴る」なら、

もう目が見えなくなってしまった人の「花火」の捉え方。

失恋をし、涙が目に留まったままで、視界が揺らいでいる人の捉え方。

音楽が好きだった君の、君だけの「花火」の捉え方。

などなど。

一般意味を基に、不安定な「企投的意味」を見出すことができる。

もちろんこの「企投的意味」は、歌詞の文脈によって決まりやすい。

これから曲を聞く時は、このことを意識してみると、少し面白いかもしれない。

そしてそう感じることができたなら、「新たな視点を手に入れた」と言うことができるでしょう。

今日も大学生は惟っている。

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引用文献:竹田青嗣. (2004). 現象学は〈思考の原理〉である. 筑摩書房


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