世界最大!フロリダ ディズニーリゾートの「魔法のUX」 体験したデザイナーが語る”3つのポイント”
皆さんこんにちは。遅い夏休みをいただき、アメリカ フロリダ州にある世界最大のディズニーリゾート「Walt Disney World Resort」に行ってきました、あいぼです。
実家が地方の自営業で家族旅行に無縁だった反動で、大人になってからは東京ディズニーリゾートにハマり、「新婚旅行には絶対フロリダのディズニーに行く!」と誓って生きていました。
ところがどっこい、皆さんもご存知のコロナ禍でこの夢は封印され、ようやく今年日の目を見ることができたのです。
今日はUXデザイナーの観点で、フロリダディズニーの体験記をご紹介します。
UX=ユーザー体験(User Experience)/UXデザイナーはサービスやアプリのユーザーがより良い体験ができるように考えるお仕事です。この旅行で、まるで魔法!なUXを目の当たりにしてきました。
Walt Disney World Resortとは
なまらでかいことが分かりますね。
110km²って東京ドーム約2353個分ですからね。
時間(と体力)の都合でディズニーパークしか回れませんでしたが、いつかウォーターパークにも行ってみたいなあ。
4つのディズニーパークは、東京ディズニーランド/シーのように、それぞれテーマを持っています。日本とは違うパークの雰囲気や、まだ日本にはない最新技術が光るアトラクションの数々は涎垂もの!興味を持った方はぜひ調べてください。
出発前にDisneyアカウントとアプリでチケット・ホテルを手配
日本のディズニーリゾートと同じく、Webでチケットやホテルを手配し、Disneyアカウントと紐づけることができます。公式アプリMyExperienceにDisneyアカウントでログインすると、購入したチケットのバーコードをアプリ上で表示することや、マップでリアルタイムの待ち時間を確認するなどができます。また、家族や友人と一緒に行くユースケースが多いからでしょう、「パーティー」という概念を持ち、複数のDisneyアカウントとパーティーを組み、購入したチケットやホテルの部屋の割り振りまでを、出発前に済ませておけます。
パーティー内のチケットはお互いのアプリ上で表示できるため、子供のチケットを大人がまとめて表示して入園するシーンにも対応。様々なユースケースが網羅されたアプリだと伺えます。
私が感動したのは、アプリの位置情報から、ディズニーリゾートに近づくとホテルの部屋番号が分かる機能。ホテルからは車で30分ほど離れた最寄り空港の到着時にアプリを起動すると、部屋番号をアプリで見ることができました。通常チェックインより早い時間のフライトでしたが、アプリ起動と共に部屋の準備ができていることを通知するメールも飛んできたので、空港からスムーズに部屋に行けて大変ありがたかったです!(出発前にアプリでホテルのチェックイン手続きと、到着が早い旨を申告できました。アプリがホテルのルームキーを兼ねるので、フロントへ寄らずに直接部屋まで行くことができます)
ここまでは日本のディズニーリゾートのアプリと共通点も多く、想像できる「便利さ」でしたが、さらに一歩先を行くユーザー体験がWDWにはありました。
WDWのUX① 腕時計型デバイス Magic Band+
こちらの動画でユーザーが腕につけているバンド型デバイス Magic Band+では、文字盤に当たる部分がカラフルに光ったり、接触させることで入場の認証・リゾート内の支払いなどに使えます。
現地に着くまでは、「まあ…記念に買っておく?無くても困らないんじゃない?」とパートナーと会話していましたが、このマインドでいたことを後悔するチョベリグアイテムです。
Useful / Usable / Enjoyable の3軸から機能を分解してみましょう。
Useful…役に立つ
パーク内で必要な認証・決済のほとんどを、このバンドをタッチすることで叶えられます。
パーク入場時のチケット
ファストパスの認証
ホテルのルームキー
レストランやショップの支払いetc ※ルームキー、支払い機能はディズニーホテルの宿泊者のみ
紙のチケットや現金・クレカ、ホテルのルームキー…通常なら細々としたものを持ち歩き、さらに失くさないよう気をつけなければいけません。パーク内ではたくさん歩くので、できるだけ身軽に過ごしたいニーズにマッチしています。
Usable…使いやすい
腕に巻くだけ、操作要らず
先ほどスマホアプリがチケットやルームキーになるとご説明したので、このバンドの機能は重複を感じたのではないでしょうか。しかし実際のところ、アプリを起動しチケットのバーコード画面やキー機能へ遷移する一連の流れは、意外とステップ数が多いものです。
でもこのバンドがあれば万事解決。ピッとかざすだけ!特にこのバンドの優れているところは、「操作が一切不要」なところだと思います。ボタンなどで切り替えなくても、全ての機能は同じようにかざすだけ。究極の簡単さです。一秒でも早くパークに入りたいテンションMAXのユーザーにぴったりですね。
Enjoyable…ワクワク・ドキドキ
キラキラ光るステッキやかわいい風船。遊園地ならではのアイテムは、大人になってもワクワクします。ごっつエエ。でも片手が塞がってしまうのは、アトラクションRTAに奔走する大人には困るところ…! そんな時、このバンドがライブのペンライトのように、ショーに合わせて自動でカラフルに光ったり、振動を与えてくれます。また、特定のエリアのイルミネーションと連動したり、キャラクターの像に近づくと振動するなど、パークとシンクロした体験ができるのです。
光るだけ、振動するだけ。それがこんなにも楽しいとは!
認証のためにタッチする行為自体にも実は楽しさがあり、お母さん一人がタッチすればOKなところを、幼い兄弟が自分も自分もと後からタッチする場面が見受けられました(エラーにならなかったので、これも織り込み済みの設計なんだろうなと)。
以上の3軸から振り返って、非日常の特別なリゾート地だからこそ、少しでもスムーズに過ごしたい。もっとパークに入り込みたいというニーズをしっかり叶えるアイテムだったと思います。
なお、Amazon Alexaからは、「Hey Disney」というディズニーコンテンツを2023年〜提供しており、今後は帰宅後にAlexaと連携し、Magic Band+でゲームを遊べる未来も近いそう。※現在、アメリカ国内のみ
このミッ○ーの耳を付けたAlexaは宿泊したホテルにもいまして、ディズニーリゾートをイメージしたBGMやキャラクターとのおしゃべりなどのEnjoyableな機能を楽しむことができました。
ホテル向けには、部屋のアメニティが足りない時はこの子に話しかけると補充してもらえるUsableな機能もあるそうです。
…が、その機能に気づけず、かといって電話で拙い英語が伝わるか不安になり、結局フロントまで行ってティッシュを補充してもらったのは私です。英語が苦手民なので、Alexa上でアメニティをタッチで選択できたら感動で咽び泣いていたと思います。
WDWのUX② 豊富なフォトサービス
写真で思い出を残すのが当たり前の時代。せっかくディズニーに来たなら映える写真が撮りたい!というユーザーニーズもバッチリ叶えてくれます。
②-1 プロフェッショナルなフォトスポット
至る所にカメラマンがいて
エリアの雰囲気に合わせたポーズや表情をカメラマンが指示してくれて
シンデレラ城やタワー・オブ・テラーなど、シンボルをバッチリ背景に納めた写真が
すぐにアプリにデータが連携される(連携にはマジックバンドやMyExperienceアプリをカメラマンの端末で認証します。一瞬タッチすれば完了です)
こんな便利でいいんですか…
カメラマンさんがいる場所はアプリのマップから見れるので、「次のアトラクションに乗る前にここで写真を撮ってもらおう」と計画を立てる動線もバッチリです。
写真には以下のようなバリエーションがあり、アトラクションに乗る以外の楽しみ方として確立されていると感じました!
エリアに合わせたARでキャラクターが合成される写真
小道具や撮影用の背景があるスポット
スーパーズームと呼ばれる超望遠レンズを利用した写真
半目になりながらのジェットコースターの落下中ショットや、キャラクターとのグリーティング写真といった、日本でもお馴染みの写真も、もちろんアプリに入ってきます。
特にアトラクションの写真は、日本の遊園地ではアトラクションの出口で限られた時間しか確認できないことが多かったので、アプリで閲覧できるのはありがたいですね!
②-2 待ち時間もワクワクに変える"AR自撮り”
現在、WDWではアトラクションのファストパス利用には追加サービスの購入(Genie +)が必要です。このサービス購入者には、オリジナルARフィルターの自撮りカメラ機能が開放されます。
これがまたいい…!
自撮りが苦手で普段はほぼしないのですが、折角有料サービスを使えるし…と起動したところ、ぐっと心を掴まれました。
そのエリアにいる時でしか使えないフィルターや、泊まっているホテル専用のフィルターがあってバラエティ豊富。かつ、思わず吹き出すトンデモフィルターもあり、アトラクションの待ち時間や、おやつ休憩の過ごし方を変えてくれました。
広いパーク内を連日歩き回っていると、後半戦は疲れ気味になりがちなところ、このカメラで面白おかしい時間にできたのは、とても良い体験の方向変換でした。流石ディズニーです。
お陰様でカメラロールにはたくさんの写真が詰まっています。「写真にいつも同じポーズで映っている問題」を気にしがちな私ですが、フォトスポットのカメラマンさんの指示により、様々な角度・表情で写真を残せて、満足度がとても高かったです。カメラマンさんありがとうございました〜!
WDWのUX③ 混雑回避のひと工夫
最後に、日常のサービスにも活かせそうなUX観点をご紹介します。
トロン・ライトサイクル・ランのロッカー
2023年4月にオープンしたばかり!映画「TRON」をモチーフにしたアトラクション。バイク型のライドがハイスピードで駆け抜ける、スリリングなコースターです。
爆速コースターのため、もちろん耳カチューシャをつけて乗ることはできません。手荷物やアクセサリーは事前にロッカーに入れます。
このロッカーの動線がとても考えられていて、ロッカーの表と裏が両方扉になっているんですね。行きに入れて、帰りは裏側から回収できるので、人の流れがとてもスムーズです。日本ではテーマパーク以外を含めて、扉が1つのロッカーが多いですよね。そうすると荷物を入れたい人と出したい人が集中するので、どうしても混雑しがちです。この両面扉ロッカーにより、「早くアトラクションに乗りたい」「もうすぐ乗れる!」というワクワク感を損ねない、細やかな心配りを感じました。
ロッカーの場所がアトラクションに乗る直前にあるのもよかったです。ロッカーに預けてから長時間並ぶとなると、水分補給や暇つぶしが気になるので、荷物預け入れのタイミングも考えられていました。
アプリでセルフレジ(Mobile Casher)
混雑しがちなグッズショップでは、MyExperienceアプリのカメラで商品バーコードを読み込むことで、通常のレジを通さない動線が。
ショップの出口で店員さんにアプリを読み取られると、そのままお店を出ることができます。通常レジに並ぶ人々を背に、颯爽と店外へ出られる楽さといったら!
商品を置く台などはなく、あくまでその場で読み取るため、大量のグッズを自分でバーコードを読み込むのは大変でしょうし、抜け漏れも怖いので、ちょっとした買い物シーンがメインでしょうか。
確かに日常の買い物でも、自分の欲しいものはちょっとだけなのに、前の人のカゴに大量に入っていると、後ろで待つ時間は長く感じるものです。
アプリでバーコードを読み取り・会計の機能を持たせるのは、開発規模が大きくなりそうですが、よく考えられた体験設計だと感じました!
以上、楽しいひとときのために考え抜かれた体験設計の数々をご紹介しました。
自分のお仕事にも活かせるよう、この体験を昇華させていきたいです。
一度話し始めると聞かれてないことまでベラベラ喋るくらい、余韻に浸る毎日ですので、もっとディズニーのサービスを知りたい方はぜひお声掛けください!
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