マッチングアプリ交遊録 Vol157
マッチングアプリをかれこれ3年ほど続けた。
そして、かれこれ150人程の女性に会った。
食事だけで終わることも、
千載一遇、一夜で終わることも
夜の関係が継続することもあった。
とりわけ大きな出来事は、
昨年、苦節2年半、漸くマッチングアプリで
彼女ができた。
そして、2021年のクリスマスの日に、
交際約4ヶ月で別れた。
文字にするとギュッとして、
中身の無い出来事のように、
思えてしまうのは、
単に筆力の無さなのかすらも
わからないままマッチングアプリを続けている。
でも3年も続けるって凄くない?
なんて言ってくれる人どこかにいますか?
いたら、いいねしてください。
Vol 157 バイセクシャルフライデーナイト
水曜日、LINEが届いた。
「今週か来週の金曜飲み行きませんか?」
華の金曜日。特にやることもなかったから、遅くまで仕事でもしようかと憂いでいたわけで。またとない誘いなわけで。
「遅くなっちゃうかもしれないですが、明後日行きましょっか。」
切り札。振休を発動。
誘いをくれたのは4月末に下北で会ったAさん。
システムエンジニアをやっている26歳。
結構根暗な感じで、初対面はクラフトビールの味に集中して終わった。
クラフトビール美味かったなあ。
と思っていた矢先。
「金曜日なんで予約しておきました!シトラバっていうクラフトビール屋さんなんですが良いですか?」
案の定、クラフトビールを堪能して、2軒目へ。
またもやAさんおすすめのお店で、レモンサワー屋さん。ひげまで食べられるヤングコーンで盛り上がり、レモンサワーを堪能して3軒目へ。
「高円寺で唯一行きつけがあるんで、少し離れてるんですが、良いですか?」
「いいですよ〜。歩きましょう。」
その時すでに、22時。Aさんも少し酔っていたみたいで、2軒目の店でバイセクシャルだというぶっちゃけ話を聞いた。
阿佐ヶ谷近辺に住んでるらしく、夜が長くなることを覚悟していた。5月の夜風が気持ち良い。バイセクシャルという言葉の響きが華金の爽やかな夜風に乗って、高揚感を倍増させた。
3軒目。カウンターしかない店で、週末はとりわけ常連で賑わう。危惧していたが案の定満席。断念して引き返す。
それでも良いやと思えたのは、華金、5月の夜風、バイセクシャルの三拍子が揃っていたからだ。
路地裏にバーがあった。
Aさんは根暗で若干オタクっぽい雰囲気を纏う一方で、1人飲みはする。常連のおじさん2人と旅行にも行っちゃうような、底知れなさがあった。
躊躇わず入っていく後姿は、頼もしい。
2軒目の店内、3軒目への道中でそれとなく家の近くで飲み直そうと誘ってみたが、ダメで、今日じゃないかと思いながら、ジンソーダを唆る。
酔いが回って頭も働かなくなってきていた。
思考回路が倫理観という駅を無視して走り始めた頃、僕は思い出した。
そうだ、今日は高円寺のラブホテルに誘う。という切り札を持っていたじゃないかと。
高円寺にはラブホテルは1軒しかない。
いや、正確にはその時はそう思い込んでいた。
なぜなら、
「そういえば、この近くに高円寺に唯一のラブホテルがあるんですよ。」
とAさんに話しかけた言葉を拾って、店員の女性が「いや高円寺3軒ありますよ。」
予期せぬ事実と介入が功を奏して、露骨な欲望がユーモアに変わり、話が弾んだ。
4軒目、行き先はラブホテル。終点だ。
ラブホテルでもなぜかビールを飲んでしまった。
朝。予定があるからとAさんは先に出て行った。
かち割れそうな頭で昨夜の出来事を思い返す。
荒れたホテルの部屋。別に綺麗でもない。
ベッドサイドのムードは、僕にその部屋を風情があると表現させた。
陽の光に照らされたのはただのセックス部屋。
10時。まだ頭が痛いけど出なければならない。
出ようとしたら、受付で止められた。
「冷蔵庫の中の飲み物飲みましたか?」
ビールと緑茶。朝、炭酸水も飲んだ。
占めて1000円。
頭痛。もう会うことはないんだろうな。
案の定、Aさんから連絡はない。
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