見出し画像

ベースの魅力(8日目)

 深く体の芯から震え上がらせ、その心地よさに安心感を覚える。楽曲の空気を支配している低音パートは、とても耽美で、はたまた憂愁である。

 これは私がベースを弾くものだから、贔屓して言っているのであって、どの楽器にも代えがたい素晴らしさがあることは、言うに及ばないが、今回はベースの魅力について知ってもらえればと思う。

 私も初めはどの音がベース音なのだか判然としない有様であったが、そんな中でもベースというのは非常に重要な役割をしている。耳が慣れれば自然と聞こえるようになる。ベースはコードとリズムの両方を操り、そのフレージングや生み出すグルーヴで、楽曲の雰囲気を決定づける。ただ、私は音楽学校に行ったわけでもないので、雰囲気で語らせてもらう。

 今のエレキベースの歴史をたどれば、バンドという範疇で言うとジャズのコントラバスにたどり着くと思う。ジャズでピアノトリオと言えば、ピアノ、ベース、ドラムである。(ベースの入らないトリオ構成もあるが)わざわざオーケストラからでっかいコントラバスを引っ張ってきて、ピッチカートでリズムとコードを刻ませなければならないほど、音楽的に重要、ということではなかろうか。

 ロンカーターやポールチェンバースの心地いいウォーキングのラインや、自由感の増したスコットラファエロ、前衛的なチャールズミンガスも好きだ。時代が進むと新しい音楽や楽器も生まれ、エレキベースが登場する。

 エレキベースで言うと当時はジェームスジェマーソンやジャコパストリアスの存在が大きいだろうと思う。モータウンというレーベルは、もはや1ジャンルのようになっているが、そこで多くの楽曲を支えたのがジェームスジェマーソンである。ほとんど1本指で引いたというのが信じられないほどの、複雑なリズムと音数なのに聞いていてそれを感じさせない、天才的である。ジャコパストリアスもまた違った方向に天才である。初めてバードランドを聞いた時にはこれがベースの音かと衝撃を受けた。圧倒的テクニックと発想力で、裏で支えるだけではない、ベースをメイン楽器、ソロ楽器としての可能性を広げる、大きな影響を与えたと思われる。

 あとは個人的にインパクトのあったベーシストを浅い知識で紹介する。スラップベースで言えばラリーグラハムで、元祖と言えるくらい前例はなかったと思うが、それでいきなりあの完成度、演奏力でできるのかと思っていた。フュージョン系だとアンソニージャクソン。テクニック、リズム感、正確性、すべてにおいてトップクラスのベーシストオブベーシストだと思う。スチュアートゼンダーはジャミロクワイのベーシストだった。アシッドジャズはクール系ファンクという感じでベースラインがかっこよいのが多い。

 書けば書くほど野暮な感じがしてくるが、たまにはベースを意識して音楽を聴いてみるのも”いなせ”ではないだろうか。

最後まで読んで下さって、ありがとうございます。 サポートは必要ございません。 また、記事を読んで貰えたら嬉しいです!