54字の物語(1)『紫陽花』(ショートストーリー付き)
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☆『紫陽花』/Roco☆
雨に打たれ、咲きこぼれる
紫陽花。生滅流転の定め故、
儚きは、人もまた同じ。
君からの短い便り。
まずは、鎌倉にて。
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僕は東京で仕事に追われる日々を送っていた。思いがけず君から届いた紫陽花の絵はがき。かつて、君と訪れた鎌倉を思い出す。「鎌倉にて。」と締めくくった君の意図は何だろう。短い花の季節を惜しむかのように、今すぐ君に会いに行かなければと僕は心が急いていた。今度こそ、君への想いを伝えよう。そう決心した僕は、その絵はがきを鞄にしまい、雨の中、鎌倉へと急いだ。とにかく、ただ会いたかった。そして、君と離れていた時間は、大切な事を教えてくれているような気がしていた。
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