博士中退がエンジニアになって1年半で累計平均年収700万円のオファーを受け取るまで
※こちらの記事は転職ドラフト体験談投稿キャンペーンに参加しています。
この度、転職ドラフトというサービスを利用して、転職に成功したので体験談を書こうと思います。
◆TL;DR
転職ドラフトは年収提示でオファーを受けられて結構いいサービスだよ、博士課程経験はエンジニア採用に有利に働くから、博士学生は未来にもっと希望を持ってほしい。という記事です。転職結果は以下のツイートな感じ。
◆自己紹介
この記事で初めて私のことを知る方向けに簡単に自己紹介をします。
生命科学系博士課程単位取得満期退学
新卒でweb系エンジニアへ(プログラミング未経験)
ベンチャー企業努めで、現在エンジニア歴1年半
博士課程中退後、新卒で今の会社に入ったため転職経験はありません。さらに転職のための技術発信やポートフォリオもありませんでした。
博士課程時代に辛酸をなめた経験をしているので、興味があればこちらの記事も見てみてください。
◆転職時のスペック
【言語・技術】
■メイン技術(業務で使用可能)
HTML / CSS / SCSS / Bootstrap3 / Ruby : 2.6.6 / Rails : 6.1.3 / jQuery /
Javascript / Git / SQL / RSpec : 3.9 / MySQL : 5.7
■簡単なプログラミングが可能
Python3 / PHP / WordPress
■クラウド(インフラ構築経験はなし)
・AWS
ECS(Fargate) / CodeBuild / CodePipeline / CloudFormation / StepFunction / ECR / ALB / RDS / S3 / IAM / WAF / CloudWatch / CloudWatch Logs / SES / SQS / SNS / Backup / CLI / Data Pipeline / Chatbot /
【その他ツール】
NewRelic / Bugsnag / SendGrid / Google Analytics / Zapier / CircleCI / Docker
【その他経験】
BIツールを用いたデータ分析 / APM分析 / CRE など
Ruby on RailsとAWS ECSの環境でフルスタックに経験してきました。モダンなフロント言語(例: ReactやVue)の経験がほとんどないのが弱みです。
◆転職ドラフトに登録したきっかけ
とあるビジネス系YouTuberの方が「転職ドラフトはITエンジニア専用の年収提示オファー型転職サイトとして注目を集めている」と発信しており、年収提示型というところにかなり興味を持った。またよくテレビCMで見る大手転職サイトに登録したが、大量の求人案内メールに目を通すのに辟易していたのもあり、オファー型なら予め自分とマッチすると思った企業様のみとコンタクトが取れて効率良いと思った。
エンジニア歴1年半+博士中退という肩書でIT企業からどれほどの評価を受けるのか分からなかったため、転職活動開始当時は前職の年収(学部新卒ぐらいだと想像していただければ)より少し高いくらいの年収を貰えれば転職しようと考えていた。
◆ドラフトの仕組み
ここで、簡単にドラフトの仕組みについて先に解説する。一般的なオファー型求職サービスと重複するところは割愛させていただき、特徴的なところだけ説明する。
レジュメ審査がある
転職ドラフトは事務局によるレジュメ審査を求職者に対して行う。そのためレジュメ審査が通過しなければ、ドラフトに参加することができない仕組みとなっている。
私の場合は、プロジェクトを3つほど書いて、文字数を各プロジェクトごとに800字以上書いたら一発で通ったため、この審査が通らず苦しむことはなかった。
企業は内定時に提示年収の90%は条件として保証しなければならない
企業はオファーを出す際に提示する年収の90%を必ず保証しなければなりません。そのため、せっかく内定が出たのにも関わらず、えっ、提示年収より全然低いじゃん….という悲しい事態を防ぐ事ができる。
そうはいっても事務局が内定時に出した年収なんて把握できるの?と思う方もいらっしゃるかもしれません。転職ドラフトは問い合わせ機能が充実しており、違反した企業を求職者側が通報できる仕組みがある。また面談フィードバック機能もあり、フィードバックは時間をおいて全体公開されるので、企業側は求職者に不利に働く行動をすると、口コミ的に下がっていく、仕組みとなっている。
◆指名状況
はじめは、「エンジニア歴が短いし、年収的には高望みできないかな…」と不安視していたが、そんな心配とは裏腹に600~800万円台でのオファーを数多くいただくことができた。
オファー件数についてざっくりまとめると、
2022年3月回 指名件数 14件
2022年4月回 指名件数 10件
通算オファー年収平均 708万円
提示年収中央値 700万円
2ヶ月で24件のオファーと通算オファー年収平均708万円を頂くことができた。次に指名件数と年収の関係を表したヒストグラムを以下に掲載する。
600万~799万あたりのオファーが20件とボリュームゾーンになっていることがわかる。グラフから見るに、個人的には今の自分のスキルレベルでは、700万ちょい下辺りが私の市場価値なのでは無いか感じている。指名していただいた企業中には、1000万以上のオファーを出してきた企業もいた(流石に実力不相応だと感じたので断った)。しかし、このオファー結果には非常に驚いた。
◆今回の指名状況を考察してみる
当初の想定より自分のスキルをだいぶ評価していただける結果となったため、その要因を自分なりに挙げてみた。
指名価格のインフレ化が企業間で引き起こされている
本サービスの性質上、求職者はなるべく良い条件の会社の話を聞くように流れてしまう。そのため、企業側は求職者から話を聞いてもらいたい場合は、まず企業同士の指名競争に勝たなければならない。指名価格が露骨に見える性質上、オークションのように求職者の年収はつり上がっていくのだ。カジュアル面談した企業の中には「他の企業の提示価格を参考に自分たちが出す金額を決めている」「他の企業が年収提示してからあとから提示する」など話していた企業も存在した。指名がドラフト最終日に集中する傾向がある(転職ドラフト調べ)を見ると、企業同士の腹のさぐりあいが垣間見える。
エンジニアの売り手市場
エンジニアの有効求人倍率が3を超えている*のを見ると、エンジニアは今売り手市場にあることがわかる。前職の人事は、「中途で優秀なエンジニアを採用するのが難しくなっている」ことを話していた。私の周囲に限ってみれば、エンジニア転職によって年収UPを達成した方は非常に多い。私のように経験年数1年半で700万円台、3~5年経験すれば、優秀な人であれば1000万円も夢ではない。フリーランスで働きやすい側面も考慮すれば、年収面で同年代の平均年収を有意に超えることは容易いだろうと考えれられる。
博士課程を経験していることをポテンシャルとして計算してくれている
個人的には博士課程は一部企業には結構刺さっている手応えを感じる。
私自身、実力以上に評価して頂いたと感じる企業には、その理由を人事の方に聞くことにしていた。予想よりも高く評価頂いた企業の中には、「博士課程を経験されていることからポテンシャルを感じるため」と直々に申してくれたところもあり、他のエンジニアとの差別化要因になっていた可能性がある。正直、IT企業においてスキル面での評価がほとんどだと考えていたため、博士課程経験を積極的にアピールしてこなかったが、スキル経験が似たりよったりのエンジニア群の中で、ちょっと頭抜け出す要因になっているかもしれない。私は博士号を持っていない単位取得満期退学だが、それでもここまでの評価を受けるということは、実際に博士号を持っている人はもっと有利に働く可能性がある。
◆面接で感じたこと
ここまで読んだ方には、本サービスがとても良いものに感じられるかもしれない。そんなところ悪いが、期待値調整の意味も込めて、面接でうまく行かなかったことを書こうと思う。
オファーから面接に進んだ企業数
オファー24件からのアクションはそれぞれ以下の通り。
カジュアル面談を行った件数:16件
一次面接に進もうと決めた件数:7件
内定に至った件数:1件
カジュアル面談は実際に現場で働く方とのお話の場で、選考要素を含まない。そのときに自分とマッチする環境であるかどうかを判断する。私は、データ分析やSREやCREといった働き方もプロジェクト的に経験しており、事業部を俯瞰してみたときに足りないところを補えるゼネラリストとして働けたらと思っていた。そのため、0→1でPMFを目指しているスタートアップよりも、ある程度成熟に近いプロダクトを有し、さらなるグロースをさせていきたいフェーズにある企業を選び、一次面接に臨んだ。
面接の所感
一次面接の形式は、技術面接パターンが多く、自分のこれまで経験した業務に対して、なぜそのアーキテクチャにしたか、チームとしてどのように自分は貢献してきたか、などを聞かれた。面接官は、現場のジュニアメンバーから、テックリード、PdMと幅広かった。残念なことに、自分としてはそれらの質問にきちんと答えられているつもりでも、面接官としてはもの足りなかったらしく、一次面接で落とされまくってしまった。このあたりは一年半という短い経験年数が響いたかもしれない。
私自身、一年半で転職することは当初は想定しておらず、技術面接の準備がしっかりできていなかった。入社当初から、どのようなキャリアを歩むか明確にしてそれに必要な技術スタックを身に着けて、転職時にどのように話すか考えながら仕事をすればよかったと反省である。この記事を読んでいただいている方にはぜひ私を反面教師にしていただけたら幸いである。
幸運なことに一次面接を通過できた会社があり、その後内定までいただくことができた。結果は冒頭に示した通り、年収や待遇申し分なかったためそのままこちらの企業に転職することを決めた。
◆博士課程在籍者・経験者に向けて伝えたいこと
本エントリーを通して、博士課程経験って意外と強みになる場面があることを特に強調しておきたい。
突然だが、私のレジュメでは以下の構成を使用した。
背景
目的
問題
方法
結果
考察
この構成はなにかお気づきだろうか。これは、論文の構成そのものである。
あとから知ったことだが、一般的に面接ではSTARとも呼ばれる手法でもあるらしい。
大学で研究した人なら論文を読み書きした人は多いと思うが、それは論理的に相手に伝える能力が磨かれていることに自然と繋がっている。
大学院で研究している人ならわかると思うが、「定量的な議論を心がける」ことはよく言われることだと思う。そのため、私はレジュメでも上記の論文構成の中で、~の業務を〇〇%削減した、〇〇%のユーザーアクセスの増加につながったなど、数値を詳しく記載した。面接官に聞いた話だが、レジュメを数値を用いて定量的に書いている人は殆どいないらしく、私のレジュメは自然と差別化がなされていたようである。私にオファーが集まったのはこういうところにも秘訣があるのかもしれない。
IT企業は博士経験を求めていないとばかり思い込んでいたため、意外なところで生かされているのだなと感じた。博士経験がある人とない人で似たようなスキルレベルや経験年数なら、博士経験がある人を優先する。当たり前のことを書いているように見えるが、求職者は、飛び抜けて優秀な方を除いてどんぐりの背比べ状態になっており、採用担当者は誰を採用するか決めかねている。そのため、面接官は求職者同士を差別化する理由をいつも欲している。そんなときに博士経験というのは、論理的な思考や研鑽を積んできた姿勢からポテンシャル高いと差別化される要因になり得るかもしれない。
私自身の所感だが、エンジニアという仕事は博士経験を経た人にとって天職では?と感じている。エンジニアには社会問題や顧客要望に対してどのような機能を実装するか、どのような技術を用いるか、技術を勉強し続ける姿勢など幅広く能力が要求されている。しかし、そのどれも博士経験者にとって当たり前にこなしてきたものでは無いだろうか。扱う対象は研究から変われど、頭の使い方が博士時代とほとんど変わらない。私は、博士を出たあとにエンジニアになっても、さほどストレスなく移行することができた。このような実体験から、博士経験者にはエンジニアという仕事をおすすめしたい(リモートワークもフレックスも高年収も全部達成できるしね)。
転職ドラフト経由で転職成功した者には、事務局からプレゼントを受け取ることができる。私は、ルンバi3をいただくことにした(他には、エルゴヒューマンのデスクチェアや曲面ディスプレイやアマゾンギフトカード5万円分から選べる)。私の奥さんが所望したためだ。私自身もきれいな部屋で快適にエンジニアワークができるなら大歓迎である。
◆最後に
ここまで読んでくれた方、どうもありがとうございました。
転職ドラフトに興味を持ちましたら、私の招待コードを使って参加いただけたら幸いです。招待コードは「UQAY」です。以下の中から特典が紹介者と紹介された方両方もらうことができます。
お好きなO’REILLY JAPANの本(税抜5000円以内)を1冊
転職ドラフトオリジナル ドラフトビール 6本入り
ACTUSギフトカタログ Straw(ストロー)
Amazonギフト券 3000円分
◆転職ドラフトへの改善要望
*ここからは主に運営に向けての文章になるので、興味ある方だけお読みください。
結果的に納得感のある転職ができたので、本サービスへの満足度は高いが、以下の点は気になった。
実力以上の年収をつけられた場合、求職者が承諾してしまったら企業側が年収を修正できない
事務局にあるレジュメ審査があるからといっても、レジュメだけでは求職者の本当の実力を判断するには十分ではない場面があり、結果的に過大評価や過小評価が発生してしまう。私自身も、高い年収で評価していただいたことは嬉しかった反面、面接に進んだときに「人柄やカルチャーマッチはするが、提示した年収に見合ったスキルレベルでなかった」「グレード制を設けているので、下のグレードでオファーし直すと90%ルールに抵触するため内定が出せなくなる」とお祈りされたケースもまま存在した。
求職者的には、例えばメガベンチャーに入社して人脈や錯覚資産を手に入れたい、モダンな開発言語を扱う現場にジョインしてスキルアップしたいなど年収以外にも目的があるように見られる。企業的にもスキルが足りていない人材に高い年収を払ってしまうリスクを回避できるメリットがある。そのような関係の場合、90%以下の年収で内定してもお互いにwin-winなはずだが、厳密に90%ルールを守るがゆえに、求職者がオファー企業をしっかり研究して一次面接に臨んでも次に進むことができない、企業側も採用望みのない人材の選考に時間を浪費する羽目になってしまうといったお互い不幸になってしまう状態が出来上がってしまう。これを解決するには、オファー承諾後でも求職者から提示年収の修正が依頼できるシステムが構築されれば良いかもしれない。今、オファー承諾するときのメッセージに過大評価されている旨を伝えられる機能はあるが、それも承諾を前提としたメッセージのやり取りであり、一旦承諾すると提示年収が確定してしまう。
引用
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