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野生動物にセンサーを装着

nodesのひろがり

野生動物にセンサーを装着

川瀬純也(データ科学研究部門助教)

 現在行っている研究のひとつは、野生動物装着型センサーネットワークによる情報収集機構の開発です。野生動物にセンサーを運搬してもらうことで、野生動物の行動の記録や、人間が容易に侵入できない自然環境での情報収集の達成を目的とし進めています。自然環境には電気や通信のインフラがありません。そのような環境でも長期間にわたって情報収集が実現できるよう、さまざまなアイデアを模索しています。例えば、野生動物同士が遭遇した際にその仕草を検出してデータの共有を行うことで数珠繋ぎにインフラ圏内にデータを運搬する技術などです。また国立情報学研究所が提供する学術情報ネットワークSINETを活用して遠隔地の情報をリアルタイムに収集・集積・分析することを目指しています。コロナ禍以前は対象とする野生化牛の生態の観察を行うなど、これまでに体験したことのない研究活動を通して刺激を受ける日々でした。フィールドに出られる日を待ちわびながら、今できる研究に勤しんでいます。

鹿児島県口之島の野生化牛(筆者撮影)

川瀬純也/専門は地理情報科学・時空間行動分析。首都大学東京(現東京都立大学)大学院都市環境科学研究科都市システム科学域博士後期課程修了、博士(都市科学)。東京大学空間情報科学研究センター特任研究員を経て、2020年11月より現職。

東京大学情報基盤センター nodes vol.1 CONTENTS
創刊にあたって
[特集] いま、スーパーコンピュータでCOVID-19に立ち向かう
  スパコンで薬剤の効果を探る
  見えない飛沫を可視化する
[連載] nodesの光明
  全学授業オンライン化で「ユーザー目線の大切さ」を痛感
[連載] 飛翔するnodes
  30秒ごとに更新する「ゲリラ豪雨予測システム」を開発
  「冬眠するブラックホール」の実態を解明
nodesのひろがり
  動物の鳴き声の変化を可視化
  真の教育とは何か
  野生動物にセンサーを装着
  センターの研究をバズらせるために
編集後記
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