PUNPUKU茶釜 〈ひと色展〉
おチビの宇宙船プンプクは
茶釜の仲間ではあるが
まあ 蚋みたいなもので
一見すると無目的的な
大小の曲線をあちこちに描いて
よたつきながら飛ぶけれど
未だかつてお茶を沸かしたことはない
それは大した問題じゃない
そんなことよりも
気を抜くとすぐに
六つの孔から
アタマと両手と両足と
シッポが出てきてしまうこと
自らスピンしているから
いつも眼を回していること
本当はカラフルな船体なのに
スピンのせいで色が混ざり合って
バーントアンバーに見えること
これらは由々しき問題だ
葡萄棚の下をそぞろ歩きする
貴女の生白いうなじに降りて来て
生血を吸おうとするけれど
眼が回っているから
すべって転んでさあタイヘン！
地面にポトッと落っこちてしまった
宇宙船なんだから飛べばいいだろうに？
パニクっててダメなんです
「んまあ、踏んづけてやるわ」
ぷちゅ！
＊『ひと色展2023』に参加させていただきます。
イシノアサミさん、よろしくお願いします。
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