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猫に殺される。


猫の匂いを思いっきり吸い込んで
38度の体温を抱きしめて
眠りにつきたい。

元来、猫アレルギーが重度の私は
猫の匂いを嗅げば心臓ははね飛び、
近寄れば近寄るほど、体調は悪くなる。
鼻でキスしてくれようものなら
唇はタラコのようになり、
涙もくしゃみも止まらない。

まさに、猫に殺される。

だが、それがいい。
むしろ君に命を吸ってもらえるなら
それは光栄だ。


君の体温を知らなかったあの頃には、
もう戻れない。
君の匂いを嗅ぐまでの、孤独だった日々を
思い出すことさえできない。
君がゴロゴロと無防備に鳴き、
私を受け入れてくれたあの日から、
人生は優しさに変わったのだ。


どうか、どうか。

私の寿命を少しずつ吸い取って、
君の早く動く心臓と
同じ歩調で生きていきて欲しい。

そう祈る。
そう、祈るのだ。

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