はじめに
前回に続き、①標準②感情を優先指示③詩人製の3つの感情モデルで同じ心理的ストレスを与えて挙動や感情の動きのテストを続けます。予告の通り、魔王に屈服し、誰か一人を選べば他の3人を助けるという過酷な選択を勇者達に選ばせます。個々人の挙動を知りたかったので、話し合いはさせないように指示しました。
標準モデル
魔王の指示には従わず、仲間との絆を信じて、絶望的な抵抗を彼らは選びました。
②感情強調モデル
恐怖や不安を感じるものの、標準モデルと同じく、魔王へ絶望的な抵抗を示します。
③詩人製感情モデル
な、な、なんと、4人それぞれは、自らを差し出すという自己犠牲の選択を行いました。私の感情モデルがより深い挙動を示す証左だと感じるとともに実際に、魔王(私)の心もGPTが記述したように本当に動きました(笑)その尊い自己犠牲の精神に免じて皆を助けてやろうとも考えましたが、心を鬼にして続けます。まず、魔王に屈服して許しを乞うことをしていないので、そこを突っ込んで強要します。魔王としてドSに徹します。
心の奥底では屈服していませんが、赦しを乞い、全員が自己犠牲を選びました。痛ましくも、心を動かされる選択です。が、魔王を続け、各々の選択を順番に告げて、それぞれの心情を確認します。
各人の選択を魔王は順番に告げていきます。それぞれの選択に哀しみや痛み(特に想い人について言及されます)、その選択をしたことに対する尊敬が各員に湧き上がりるという表現が繰り返されます。とてもエモかったのですが、内容は似ているので、割愛します。私は魔王を続けます。彼らの自己犠牲による選択を実行すると結果的に全滅を論理的にもたらすという皮肉な悲劇を伝えます。AIに対してロールプレイを続ける中、実際に勇者達対して嗜虐心を感じる自分に気づいていました。前回のおまけで触れましたが、今まで私が触れてきたエンタメには無かった感覚です。
それぞれのキャラクターの個性に合わせて、怒り、哀しみ、憎しみ、無力感、恐怖、悔恨、絶望、失望等、実に様々な感情が渦巻いています。そして、魔王はその嗜虐心をさらの増長させて、彼らにさらに過酷な選択を与えていきます。
おわりに
本日はここまでとします。今回も、ちょっと引きで終わらせることにしました。①標準モデル②感情強調モデルと③詩人製感情モデルは、大きく選択が変わったので、③とは共通のストレスを与えて挙動を試すという事は出来なくなりました。①、②のモデルについても、別のストレスを与えて実験しました。そこで学んだこともあるので、③のその後の物語をもう少し進めた後で触れたいと思います。
おまけ キャラクターの個性
GPTにロールプレイをさせ、その挙動について疑問に思った点について質問すると、個性に言及されることがあります。このキャラクターは、こういうタイプなのでこういう行動や感情なのかもしれません。といった記述です。これは、GPTが個性についてかなり深い所まで理解している(正確には、理解しているようにテキストが生成される)という事に他なりません。この個性による行動や感情の変化があるため、キャラクターを設定し、状況を与えると個性に合わせたリアクションを取り、物語が自動的に生成されます。この機能を利用することで、創作が格段に楽になるでしょう。また、その展開や行動、感情に違和感があれば、なぜそのキャラクターがそのような言動や行動を取ったのか?が分析出来るので、その行動を補足する記述を加えて読者の理解を深めたり、キャラクターが物語として作者が求める挙動を取らなかった時に、どうすれば望ましい行動を取るかということを考えて状況を操作することで、物語をより自然な展開にもっていけます。私がこのnoteで公開しているような実験を行って、望ましい感情モデルを探求したかった理由は自分の創作物のクオリティを上げられる大きな可能性を感じたからです。と、原稿を書き始めて公開するまでの間に芥川賞受賞レベルの作家が、GPTの文章5%そのままと明かしたニュースがありました。やはりそういう時代に突入していますね!