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兎がほざく

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#音楽

兎がほざく968

兎がほざく968

バイオリニストが最初の一音を出す時には実は最後の一音まで心の中で演じ終わっているという話を聞きました。

音楽とはある一瞬を時間的に演繹する芸術ということなのでしょう。

そして演繹は最後の一音が終わる瞬間に帰納します。

因果一如という言葉を思い出しました。

兎がほざく949

兎がほざく949

オーケストラが演奏前にラの音で調音するのを聞くと、いよいよ音楽が始まるという期待が膨らみます。

そのうちただラの音を聞くだけで楽しい気分になります。

全ての音楽がラに代表され、ラは全ての音楽の始まりに立ちます。

ラで隠喩が起こったのです

ラが音楽を連れ出します。

兎がほざく943

兎がほざく943

同じ曲でも演奏の速さによって印象が変わってきます。

「浜辺の歌」は作曲者の意図は世でよく歌われるよりも速いものだったそうです。

楽譜にはAndantino と指定されています。

でもぼくはそぞろ歩きのAndanteで海の思い出を懐かしんで歌う感じもいいと思います。

兎がほざく905

兎がほざく905

自分の外に求めても手に入らないし自分の内に求めても見つからないもの。

自分の中で先達の真似をしながら稽古して育てるしかないもの。

それが芸です。

文芸もそう、美術も音楽も書芸もそう。

美にせよエンタメにせよ芸が生み出すのです。

ぼくはもっと芸達者になりたい!

兎がほざく865

兎がほざく865

音楽の美しさは音の連なる形式にあるという話を読みました。

それならば指揮者は要らなくてメトロノームがあれば済むはずです。

音楽は身体の表現です。
感情も思想も表現に含まれると思います。

指揮者は音楽の生まれて来る身体を再現して楽団員に見せる仕事なのです。