牧野雅子『痴漢とはなにか』
牧野雅子『痴漢とはなにか』。雑誌・新聞記事と統計を丹念に検証した研究で、類書に出会ったことはない。分析の視点、方法はフェミニズムや社会学で馴染みのあるものだが痴漢という行為/現象/言説に真正面から迫ったものは残念ながら思い付けない。そして、娯楽としての痴漢から痴漢冤罪論にシフトしていった記事を丁寧に読み解くことは、その抜粋を読む男にも吐き気を催させるだけに相当な苦痛だっただろうと思いながら読んだ、牧野さんは「おわりに」で「辛い『作業』だった」と吐露されていた。
痴漢も痴漢冤