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のぞき見注意

暇だなって自覚的に思う日があって、そんな日に限って、心にもやもやを抱えていた。

悩みというよりは、迷っていることがあって、6割がた片方に傾いてはいるけれど、確信がもてるほどの傾きでもないし、その4割もなかなか存在感かある、といった類のもやもやだ。

暇ともやもやを同時に抱えた日には、受け身の情報ばかり入れてやりすごすことになる。

U-NEXTで『AND JUST LIKE THAT… 』(←SATC、セックスアンドザシティの続編)を観た。

主人公のキャリーが「歩き続けずにはいられない」といったようなことを友人のミランダに言うシーンがある。
(正確なセリフは忘れてしまったけれど)
もやもやを抱えていて、それを少しでも紛らわすために歩き続けているのだ、と。
もやもやのスケールは、キャリーと私とでは大違いだけれども、「そうだ、私も歩いて気を紛らわそう!」と思って出かけた。

目的もなく歩き続けて、行きついたのは公園だった。1時間近く歩き続けていて、そろそろトイレにも行きたくなっていた。どこかカフェにでも入って、トイレをかりようか、とも思ったが、足も疲れていたので、公園で近くにあったトイレに入った。

入口には
「のぞき、盗撮に注意。警察巡回中」
と書いてあった。
曇りの日の夕方。薄暗いのに、トイレの中は電気もつかない。

なんと物騒な!と思ったけれども、私の身体も切羽つまっていたので、そのまま入った。なんとなく、そわそわと上を見上げながら。

そんなふうにトイレを済ませたあと思い出したのは、バルセロナだったか、マドリードだったか、のトイレの壁画だった。

これを見て、ふふふと私は笑ってしまったけれど、日本だったらクレームの電話とかありそうだよなあ、と思ったりもする。
  
そんなことを考えながら、家路に向かう頃には、すっかり気が紛れていたのだった。


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