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楽観的な性格はこうして作られる 〜脳科学から見た心理機能〜

1.はじめに

私は各種心理テストを受けたところ、性格タイプとしてMBTIで言えばENFP、ソシオニクスで言えばIEE-Neに該当することが分かっている。
これらのタイプは性格傾向として楽観的であることが知られていて、実際、私は楽観的である。

今回の記事は、この楽観的な性格が、心理機能と脳科学のそれぞれの側面から見てどのように成り立っているのかを考えてみるものである。

2.心理機能から考える

心理機能とは、臨床心理学の用語で、C.G.ユングが提唱した人間の認知機能の枠組みである。
特定の心理機能の発達の組み合わせが、特定の性格傾向の形成に影響していることが統計的に分かっている。

例えば、外向的直観が偏って発達していて次いで内向的感情が発達しているとENFPに該当する性格を表すことが多くなる。
ENFPの性格とは、最初に紹介したように、基本的に楽観的な性格である

以下、この傾向を脳科学の側面から見ていく。

3.脳科学から考える

以下、インターネットからの情報を列挙していく。
長いので、引用の後の部分から見てもらって構わない。

楽観、悲観という感情は人間のもっとも原始的な部分と関係があるらしい。
楽観的性格の人は原始的な脳の部分で側坐核という箇所が活発に活動していることが最近の研究で明らかになった。

側坐核は快楽や報酬などに強く関わる脳の部分である。
悲観的性格の人は恐怖に深く関わる扁桃体が活発に活動している。
これらの脳の部位は人間が自然の中で生きる事にとても重要な役目を果たす。

側坐核は快楽や欲望への希求を生みだし、扁桃体は自然に潜む危険を素早くキャッチする。
楽観的な人々は快楽という刺激と欲求に過剰に反応し側坐核が活発に活動する。

その結果、ニューロンとニューロンがシナプスを通して結びつき、快楽に強く反応する神経網が形成、強化される。ただこれだけでは原始的な欲望でブレーキの備わっていない車と同じだ。
これらは前頭前野という司令搭と強い結びつきを持つことで理性的な楽観主義が生まれる。

神経伝達網は盛んに活動するほどその結びつきは強くなる。
つまり認知バイアスによってどのような情報を積極的に取り入れるかで私たちの脳細胞ネットワークは側坐核を中心視したネットワークが強化されるか、扁桃体を中心にしたネガティブなネットワークが強化されるかが決まる。

https://www.kinokuniya.co.jp/c/20141024121046.html

また直観的な戦略決定を回答する時に活動が高まる脳の領域の測定結果から、直観的な判断は大脳の帯状皮質と呼ばれる領域を中心とするネットワークで行われていることも分かった。

https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20150421_01/index.html

帯状皮質は海馬などの記憶系および扁桃体などの情動系との結合が強く、大脳皮質の中でも進化的に比較的古い部分であり、動機づけとの関連も指摘されてきました。
客観的な状況判断と動機づけが出会って主観的価値が形成される場所として機能している可能性があります。

https://www.riken.jp/press/2015/20150421_1/index.html

前帯状皮質は扁桃体の活動を抑える役割をします。

https://www.ncnp.go.jp/press/press_release130214.html

プロ棋士の多くは子どものころに、将棋のトレーニングを毎日3~4時間、およそ10年間にわたっ て受けています。
その結果、楔前部や尾状核などが鍛えられ、この特別な神経回路が確立されます。そしてプロ棋士ならではの直観として機能するようになるのです。

https://bsi.riken.jp/jp/asset/img/about/timeline/pdf/100.pdf

以上をまとめると、脳科学的に言うと楽観的な思考を心がけていると、側坐核を中心にシナプスが形成されて、より楽観的な人格へと成長するということである。
この場合、環境要因の影響は極めて大きく、ストレスの多い環境に長時間晒されると、どうしても悲観的なネットワーク形成が進みやすくなる

また、側坐核と併せて、直観に関係する帯状皮質を集中的に育てると、楽観的な価値観形成に役に立つことが推測できる。
直観(特に外向的直観)は、実際に直観をよく働かせることで帯状皮質他関連する脳機能が成長していく
成長した帯状皮質は、悲観的な姿勢に影響する扁桃体を抑制するように機能して、間接的に楽観的な姿勢に影響する側坐核の働きを助けるように働くということである。

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4.再び心理機能と併せて考える

これを心理機能と絡めて考えると、帯状皮質が発達している状態とは外向的直観が発達しているということである。
そして、帯状皮質により扁桃体の働きが抑制されている状態とは、外向的直観により内向的感情のうち悲観的な側面が抑えられている状態を指す。

このことから、外向的直観が極めて発達すると、内向的感情のうち悲観的な側面が自然と抑制されてくることが、脳科学からも説明できる。

また、側坐核が強く機能しているということは、内向的感情がある程度強く機能しているとも言える。
内向的感情とは、感情に関する脳機能を総合的に見た心理機能とも考えられるということである。

感情的な脳機能が発達すると、楽観的な性格は強調されやすくなり、また、悲観的な性格も強調されやすくなる。
楽観的な性格の背後には感情機能の発達が欠かせないということである。
そして、外向的直観が悲観的感情を抑制することで楽観的な性格が表出するのである。

これら一連の関係性が、外向的直観に優れ、内向的感情に補助される、ENFP(IEE-Ne)がその性格傾向として楽観的になりやすい理由だと考えられる。

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5.まとめ

ここまで見てきたように、脳科学的側面から人間の心理機能を説明することが可能である
そして、人間は意図的に楽観的な人格を形成し得ることが分かる。

その際重要になるのは、認知バイアスによる楽観的な情報の積極的な取得と、扁桃体を刺激するようなストレスの強い環境を避けるということ、それに、直観を意識的に鍛えるということである。

ユングの心理機能を発展させた、MBTIは科学的根拠がないなどと批判されることがあるが、私はいずれ心理機能の働きは脳科学によって説明されていくのだろうと予測している。

なお、今回はストレス耐性という要素をあえて考慮していない。
例えば、ENFPでも、ストレス耐性が低い場合、環境要因の影響を受けて悲観的になりやすいということについて留意が必要である。

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