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本のカケラ

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心に残った本の一節/ごく稀に“読むことのエッセイ”
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本のカケラ
「会いたい。そのシンプルな欲求に抗うことが出来る人は、世界にどれほどいるのか。」
 
『白いしるし』(西加奈子著、新潮文庫)33頁

𖤣𖥧𖥣𖡡

抗える人なんていない。
だって恋だから。

本のカケラ
「心持ちは苦痛、快楽、器械的、此三つをかねています」
 
『漱石先生の手紙が教えてくれたこと』(小山慶太著、岩波ジュニア新書)204頁

𖤣𖥧𖥣𖡡

漱石が、『明暗』執筆中に手紙に認めた言葉。

創作は、辛苦も伴う。
それであればこその喜び。
朗読もまたしかり。

本のカケラ
「すぐれた絵とは、人のこころをなぐさめることもできるのだと、いま、知らされました。この絵によって」

『風神雷神』(原田マハ著・PHP文庫)下巻113頁

𖤣𖥧𖥣𖡡

俵屋宗達が、ブロンズィーノの肖像画に感嘆し言った言葉。

私は、人のこころをなぐさめる朗読がしたい。

本のカケラ*駐車場の女神

本のカケラ*駐車場の女神

読むことのエッセイ

季節外れの暖かさに雪が緩んだ翌朝のこと。
とけた雪が早朝の寒気で波打つように凍りついていた。

駐車場で車を停めようとしたとき、凍った地面にさらりと積った雪でタイヤが滑り、ハンドルを切る間もなく隣の車にぶつかってしまった。
幸い相手の方も私も互いに怪我はなく、車の損傷も小さなものだった。

しかし車を傷つけてしまい、修理期間にはご不便もおかけしてしまうことが申し訳なく、私はた

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