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【テレビドラマ感想文】喋りすぎる人たち

今放映中のテレビドラマに「海のはじまり」という作品がある。

大竹しのぶさんが出るとのことで、他の俳優さんのことは全く知らないのに、なんとなく見ていた。

今も主演俳優さんが、現役アイドルさんということしか分かっていない。

他の主要なみなさんの名前もごめんなさいで、全然分からない。

ちゃんと調べればいいのだろうけど、不精だし、ちっとも覚えられない……。

大竹しのぶさんしか名前が分からないので、役名で感想を書こうと思う。

そして、今回はネタバレありです。

ーーー

主人公は、夏という名前の男性。

夏には、大学の頃付き合っていた同い年の彼女(みずき)がいて、大学生の時、彼女は妊娠してしまう。

みずき自身の意向(にもちょっと疑問符がつく)で、子どもは中絶することになったはずが、彼女は夏に黙って子どもを出産していた。

その後、みずきは病気で他界。

みずきの葬式の場(みずきと別れてから数年経っている)で、夏は自分に小学生になる子ども(海)がいることを初めて知る。

というのが、物語の始まり。

繊細なテーマを扱っていると思う。

誰が誰を思い、誰のため、何のために、行動したか、行動しなかったか。その選択をしたか、しなかったか。

それぞれの「私の幸せ」とは、何なのか。

先日の回では、夏の今の彼女(やよい)が、海を認知し、父親になることを決意した夏と、恋人関係を解消する、というお話だった。

ドラマだし、エンタメだし、作品だし、セリフや、行動にちゃんと意味がないと、物語にならないということは、よく承知しているのだけど、

その回の登場人物たちは、なんというか特によく喋った。

自分の気持ちを喋る。

論理的に。

(視聴者に分かるように)

「これこれこういう理由で、私は……」

「だから、……」

「まだ、(言いたいこと)ある?」と説明を促す、追いかけセリフすら用意されている。

こんなに説明するかなあと思うくらい、饒舌に論理的なセリフがいくつもいくつも並ぶ。

感情的になって、支離滅裂になればいいというものでもないし、私も求めていない。

でも人の感情にここまでの説明は(主にセリフで)必要なんだろうかと、物語の進行は恋人との別れということでシリアスなのに、説明されすぎて、私は物語に寄り添うことも、共感することもできなかった。

そんな風に理詰めで考えたら、そりゃそうなるよねえ、と納得してしまって、見ている私は悲しくもなんともないのだ。私が単純に、鈍感なのかもしれないが。

主人公・夏は、やよいが自分に背を向けて乗った電車を、泣きながら見送る。

私は最近のドラマをあまり見ていない。

だから、流行り廃りも知らないし、流行ったドラマを全て見ている人からしたら、私はわからず屋だろうと自覚している。

映画もあまり見ないし、映像関係は表現の仕方を含め、本当に疎い。

でも私自身が、小説を書くという作品づくりを通して、受けた評価を振り返った時、

説明のしすぎは、物語を壊す

ということは痛感している。

説明のしすぎは、読者を置き去りにする。

なぜなら、そこには読者に物事を感じさせる、考えさせる余白がなくなるから。

説明のしすぎは、作者が描く物語の押し付けになってしまう。

今の時代のドラマは、と語れるほど私はテレビを見ないし、見てこなかった。

だから、この「海のはじまり」が素晴らしいドラマなのか、よくあるドラマなのか、どういう支持・評価を得ているのかも知らない。SNSも追いかけていない。

このドラマ全般の描かれ方も、感情の説明セリフの多さも、繰り返されるピアノ演奏のBGMも、視聴する多くの人たちにとっての位置づけが分からない。

すぐさま駄作だとか、見る価値があるとかないとか言われるけど、そういう問題ではなくて、私はこのドラマが、あえてこういう作りを狙って作られているのであれば、視聴者とは、なめられたものだなと思ってしまう。

すべてを論理的に説明できるほど、人間は雑ではない。

だから、ドラマを描くって深くなるのではないの?

言わないこと、言えないこと、説明しないことにこそ、言いたいことや説明したいことが裏返されていると、物語だからこそ、描けると思うのだけど。

短い1時間弱の枠で伝えたいことを、もっと技巧的になんて、できない相談なのかもしれない。

でも、扱っているテーマを考えると、説明セリフをもっと省く方が、このドラマは映える気がするけどな。

【今日の英作文】
ホールデンは、学校を自分からやめたと言っていましたが、実際は放校になりました。
Holden said he dropped out school by himself, but he was actually kicked out.

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