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分からないという楽しみ

朗読教室に、母国語が日本語ではない方がいる。

最近入会された方で、ものすごい勉強熱心だ。その方と話す度に、分からないとは、楽しいことだったなあと思い出す経験をさせてもらっている。

例えば、「つけあがる」という言葉が分からないと質問された。

何となく、似た言葉として「思い上がる」とかを思いつくけど、私も辞書じゃないし、その場では正確に答えられなかった。

言葉が分からないから、一つ一つの言葉に敏感で、「ここでの意味は何?」とか、「ここで使うのはなぜ?」とかを考える。その言語を何となく使えてしまうと、そんな作者の言葉遣いのこだわりに、なかなか気づけない。

私も昔、英文を読んでて「gift」が「贈り物」以外に「才能」の意味があるなんて、調べないと知らなかった。調べて、そうか!と思った時の嬉しい感じは今でも忘れられない。

言葉に興味津々で、一つ一つを読み飛ばさないのは、母国語じゃないからだろうし、言葉が好きだからなのだろうと思う。朗読教室に来ているということは、日本語もお好きなのかな。だといいな。

うまく説明できなかった「つけあがる」を、私も辞書で調べてみた。

「他人の寛大さに乗じて増長すること」(岩波国語辞典)

とあった。

要するに、最近の言葉で言えば「調子に乗る」という言葉のニュアンスが近い気がしたので、伝えてみた。

なるほどと納得してもらえて、ホッとしたら、「この『ハイカラ』とは何か」と聞かれた。

「ハイカラ」をここで使うと、どんな意味があるのか、ということだ。

ハイカラは新しいもの、流行のもの、ちょっと珍しくて、周りから浮くくらいの目新しさを指す(たぶん)。珍奇な部分もある、ような(たぶん)。だけど、作品の中で使う時のハイカラは、また別のニュアンスや意味を持つ。

ちょっと文章をさらっただけでは、答えられない感じの質問がどんどん出てくる。

その人と話していると、とても楽しいなぁと思う。

そういう不思議を大事にできる人は、稀有だ。

とてもいい出会いだなと感謝。日本語を勉強しなおせて、深く考える機会をもらえて嬉しい。

朗読教室がますます楽しみになった。

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