マガジンのカバー画像

羅針盤

14
あとで読む記事をマガジンに保存しておくことができます。不要であれば、マガジンの削除も可能です。
運営しているクリエイター

#小説

羅針盤

北海道各地を巡り、最後のワクチンを打ち、出国まで残り3週間。
その間、細かい準備や確認をしつつ、お世話になった方々と毎日の様に食事の機会を頂いた。
それだけではない、お餞別をくださった方々も沢山いる。

営んでいた店のお客さん、学生時代の仲間、幼馴染の友達…ただ好き勝手やってるだけの自分に大勢の人が声を掛けてくれる。
店を引き継いで頂いたオーナーとスタッフは送別パーティを企画してくださったりもした

もっとみる

駆け抜ける満月の夜空に咲く

札幌に着き、すぐさま旭川行きのJRに乗り、着いた頃にはもう夕方だった。

「今からなんだけど、どう?」

急遽連絡を取り、駆け付けてくれたのは大学の後輩。といっても、会うのは今回で2回目だ。
同じ音楽サークルだったのだが、学年が4つ離れているので学校で顔を合わせることはなく、共通の仲間を通じて知り合ったというわけだ。

それでも同じ趣味での繋がりというのは、とりわけ年齢や性別、関わる時間を越えて親

もっとみる

運河の片隅、国境を越え

札幌を離れ、小樽に着く頃にはすっかり暗くなり、辺りは街灯に照らされ賑やかな装いになっていた。

駅前のホテルにチェックインし、荷物も置かずにまた外に出る。
この日は相当歩いたので休みたかったのだが、その前に買っておきたい物があった。

ホワイトボードである。
これを使って世界各地でヒッチハイクしようと思っているのだ。

と、その前にこの小樽から再び札幌までチャレンジしようと考えていた。
近くのドン

もっとみる